【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】vol.7 キャロル・キング『つづれおり』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年10月28日

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Album Profile

キャロル・キングが、アレサ・フランクリン「ナチュラル・ウーマン」、シュレルズ「ウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥモロウ」などで作曲家としての成功を経たのち、1971年に発表した2枚目のソロ・アルバム。ビルボード・チャートで15週連続1位を獲得し、1971年のグラミー賞では、最優秀アルバム賞、最優秀女性ポップ・ボーカル賞、収録曲の「君の友だち」が最優秀楽曲賞、「イッツ・トゥー・レイト」が最優秀レコード賞を獲得、そして6年間にわたりチャート入りを続けた。

 

Disc Review

せわしない日々を過ごす中で、誰もが感じる寂しさにそっと寄り添ってくれる作品がこの『つづれおり』だ。「ナチュラル・ウーマン」や、「ウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥモロウ」、「君の友だち」など、ほかのアーティストの歌声で馴染みの深い楽曲も多く収録されているが、キャロル・キングの芯の強い、それでいてあどけなさが残った歌声で聴くと、たまらなく癒される。

さらに、キャロルの奏でる美しいピアノのメロディがぐっと心を掴む。「去りゆく恋人」や「君の友だち」で切なくも優しい音色を響かせる一方で、「空が落ちてくる」や「スマックウォーター・ジャック」で聴かせる筋の通ったパワフルな演奏がまた格好良い。ベトナム戦争の最中のアメリカで、人々の疲れた心を癒す作品として愛されたという『つづれおり』だが、発売から50年近く経った今聴いても心に響くものがある。喜怒哀楽それぞれの思いが込められた曲があり、聴く状況や時代が違えども、深い愛情を感じさせてくれる作品である。

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