【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】vol.6 ベン・フォールズ・ファイヴ『ベン・フォールズ・ファイヴ』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年10月17日

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Album Profile

ピアノとボーカルを担当するベン・フォールズを中心に結成された、ピアノ、ベース、ドラムからなる3ピース・ロック・バンド、ベン・フォールズ・ファイヴ。彼らのグループ名を冠したデビュー・アルバムが『ベン・フォールズ・ファイヴ』である。1995年に発売され、本国であるアメリカよりも先に日本でヒットした。ドラマ「ロングバケーション」の挿入歌として使われた「フィロソフィー」やCM曲として使用された「ジャクソン・カナリー」など、全12曲が収録されている。

 

Disc Review

ベン・フォールズ・ファイヴのフロントマン、ベン・フォールズは、紛れもなく“ロック・ミュージシャン”であり、“ピアニスト”だ。現在に至るまで、バンドだけでなくソロでも活動を続けてきた彼の、初期衝動を感じる熱い作品が詰まっているのがこのアルバムである。「ジャクソン・カナリー」、「ジュリアンヌ」、「アンクル・ウォルター」で威勢の良い豪快なパフォーマンスをしたかと思えば、「アリス・チャイルドレス」や「ボクシング」では繊細な旋律を奏でる。尖っているが哀愁も感じさせるハスキー・ボイスのボーカルも味わい深い。

さらに、「フィロソフィー」や「ホウェアーズ・サマー・ビー?」などの爽やかなサウンドの裏にはどこか切なさも漂い、青春の甘酸っぱいような感覚が心にじわっと迫る。「スポーツ&ワイン」や、「ザ・ラスト・ポルカ」では、ドラムの軽快なビートに乗せたリズミカルな曲の展開に心が弾む。2作目以降はストリングスなどを加えて作られた作品もあるが、本作では3パートのサウンドがシンプルかつストレートに届けられる。勢い良く全曲通して聴けてしまうが、振り返ってみるとそれは各曲の持つ魅力が個性豊かで、気が抜ける瞬間がないからだと気付く。“ピアノの持つ表現力はやっぱり奥深い!”と、改めて感じさせてくれる作品である。

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