【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】vol.4 マルーン5『ソングス・アバウト・ジェーン』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年10月9日

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Album Profile

2002年に発売されたマルーン5のデビュー・アルバム『ソングス・アバウト・ジェーン』。リリース後すぐにヒットとはならなかったが、1stシングル「ハーダー・トゥ・ブリーズ」が全米のラジオ局で盛んにオンエア。さらに、映画『ラブ・アクチュアリー』の劇中で「スウィーテスト・グッドバイ」が使用されるなどして、その評判は次第に広まる。そして、発売から2年以上が経った2004年9月に遂にトップ10入りを果たし、結果的に全世界で1000万枚以上を売り上げる大ヒット作となった。

 

Disc Review

本作はマルーン5がデビュー作として送り出したアルバムである。とは言え初々しさはまったくと言って良いほど感じず、完成度の高い曲が並ぶ。ロック・バンドではあるが、多くのジャンルから制作のヒントを得ていることが感じられ、作品中にはビートルズのようなUKらしさやスティーヴィー・ワンダーのようなファンキーなグルーブが漂う。また、キーボードのジェシー・カーマイケルは以前キーボード・マガジンのインタビューにて、“ビル・エヴァンスのコード進行から「サンデイ・モーニング」がひらめいた”と語っていた。しかし、それらは見事にマルーン5ならではのロック・サウンドとして昇華されているのだ。

楽曲の多くはボーカルのアダム・レヴィーンとジェシーの共作で、ロックなギター・サウンドが響き渡ったかと思えば、ピアノで爽やかな空気を作り上げ、気付けば彼らの世界観にどんどん引き込まれていく。そして、ギターがメインの曲こそ、ジェシーのプレイの本領が発揮される。「ディス・ラヴ」のピアノのバッキングや、「スウィーテスト・グッドバイ」の短いエレピのフレーズがその1例だ。手数は少なく、シンプルであるが、その音はしっかりと耳に届く。それがアクセントとなり、他のパートの音がより引き立つ。ジェシーの絶妙な鍵盤サウンドが、親しみやすくも深みのある彼らの楽曲にとって重要な役割を果たしているのである。

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