【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】Vol.3 スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年10月4日

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Album Profile

1976年に発売されたスティーヴィー・ワンダーの18枚目のアルバム『キー・オブ・ライフ』は14週もの間、全米チャートで1位を獲得し、グラミー賞にも輝いた記録的な作品である。発売時には2LP+1EPの形態でリリースされた。3部作と言われる『トーキング・ブック』『インナーヴィジョンズ』『ファースト・フィナーレ』に続いてリリースされた本作は、「愛するデューク」「可愛いアイシャ」など、現在でもCMソングに使われるような名曲が収録されている。

 

Disc Review

スティーヴィーの魅力がシンガー、プレイヤー、ソングライター、プロデューサーというさまざまな角度から堪能でき、ハービー・ハンコックやジョージ・ベンソンの名演、ミニー・リパートンの美声などが1度に聴ける贅沢な作品が、この『キー・オブ・ライフ』だ。ホーン・セクションが明るく響く「愛するデューク」、思わず身体が動くファンキーなナンバー「回想」、ハープが美しい「イフ・イッツ・マジック」、スペーシーなシンセ・サウンドの「土星」など、全21曲のバラエティ豊かな作品が並ぶが、その根底にはスティーヴィーの音楽の真骨頂であるグルーブ感が作品を通して溢れていて、最高に心地良い。

そして、LP盤ではラストを飾る2曲が実に熱い。ハービー・ハンコックのエレピでクールに始まり、曲が進むにつれて演奏のボルテージが高まっていく「永遠の誓い」から、ラテンのリズムに乗って力強いボーカルとピアノ、哀愁のあるギターやコーラスが混ざり合う「アナザー・スター」へと続くのだが、この流れは何度聴いてもしばらく胸の高鳴りが治まらなくなる。スティーヴィーの情熱が時に穏やかに、時には激しく詰め込まれた、音楽界の貴重な財産として語り継がれる名作である。

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