【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】Vol.2 ノラ・ジョーンズ『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年10月1日

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Album Profile

『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』はノラ・ジョーンズのファースト・アルバムで、邦題は『ノラ・ジョーンズ』となっている。後に代表曲「ドント・ノー・ホワイ」を手がけるジェシー・ハリスらと結成したバンドが当時の社長の目に止まり、ノラはブルーノートと契約。2002年に名プロデューサー、アリフ・マーディンのもとリリースされたのがこの作品である。全世界で累計2000万枚以上を売り上げ、グラミー賞では8冠を獲得するなど、デビュー・アルバムであると同時に、超ロング・セラーの大ヒット・アルバムとなった。

 

Disc Review

なんて優しい音色なんだろう。丁寧に奏でられる柔らかい音色に乗った、温かみのある歌声を聴いていると、疲れも悩みも吹き飛んでしまうようだ。『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』はノラ・ジョーンズが20代前半の時の作品。ノラは現在に至るまでに、ギターを中心としたナンバーやカントリー調のものなど、さまざまなテイストの楽曲を披露していて、最近では深みのある歌声が色気を感じさせるが、このファースト・アルバムはシンプルで純粋なサウンドが聴く者の心に染み渡る。

シングルとしても大ヒットを記録した「ドント・ノー・ホワイ」から始まる全15曲は、BGMとして流せば癒しの空間を作り出すこともできるが、じっくりと繊細な1音1音に耳を傾けてみよう。ノラのピアノは、優しくも筋が通ったような凛とした音色である。そして、それを彩るギター、ベース、ドラムがピアノを、そしてノラの歌声を引き立てる土台をしっかりと築き上げている。楽曲は“あなたをじっと待つわ”と歌う「ターン・ミー・オン」や、別れた恋人との過ぎた夏を振り返る「シュート・ザ・ムーン」など切ない恋の歌も多いが、それとは対照的に、つらいことも乗り越えていこうと思えるような不思議な力強ささえ感じる。日常生活にそっと寄り添い励ましてくれる心温まる作品である。

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