【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】Vol.1 ビリー・ジョエル『ニューヨーク52番街』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年9月27日

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みなさん、はじめまして!

このコーナーでは、キーボード・マガジンの新人編集部員I子が、恐れ多くも名盤のディスク・レビューに挑戦させていただきます! 温かく見守っていただけましたら幸いです。

 

Album Profile

今回紹介するのは、ビリー・ジョエルの通算6枚目のアルバムである『ニューヨーク52番街』。アルバムのタイトルはレコーディング・スタジオの住所から名付けられた。前作『ストレンジャー』を大ヒットさせた翌年1978年にリリースされた作品である。ビリー・ジョエル初の全米チャート1位獲得アルバムであり、1982年には世界初の商業CD化作品となった。発売から40周年を迎えた2018年には“40周年記念デラックス・エディション”が発売され、今なお愛され続けている。

 

 Disc Review

まるでニューヨークを舞台にした約40分間のミュージカルを観ているようだ。アルバムはピアノ、ドラム、ギターの力強さに圧倒される「ビッグ・ショット」で華々しく幕を開ける。2曲目「オネスティ」ではそのムードが一変し、美しくも切ないピアノとビリーの倍音豊かな声が心に深く響き、“誠実”の寂しさについて強く訴えかけてくる。続く「マイ・ライフ」の曲調は軽やかだが、1音ずつに重みがある演奏で、自分の人生を生き抜こうという決意を感じる。

その後も表情豊かな楽曲が続き、「ザンジバル」ではバーで1晩を過ごす男の感情の起伏を表現するかのように、1曲の中でロックとジャズが混ざり合い、フレディ・ハバードのトランペット演奏が光る。対照的に、マリンバやエレピの柔らかな音色が心地良い、ラテン調の「ロザリンダの瞳」では自分の理解者“ロザリンダ”への深い愛情が溢れ出す。そして作品の最後は愉快で上質なジャズ・セッション・ナンバー「ニューヨーク52番街」で締めくくられる。だが、ここまで聴き終えると、新たな夜明けを迎えるような希望に満ちた余韻が残り、また繰り返し頭から再生したくなってしまう。国境も世代も超えて、感情や情景の移り変わりをじっくりと楽しめる1枚である。

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