“音楽”にするんじゃなくて、あくまで“ロックンロール・バンドの曲”にしないといけないんです/本間ドミノ先生

インタビュー by キーボード・マガジン編集部 2014年9月19日

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ビンテージ・サウンドを現代に蘇らせるロックンロール・バンド、THE BOHEMIANS。彼らは今年、the pillowsの山中さわお(g、vo)主宰のDELICIOUS LABALに移籍し、8月に山中プロデュースによる新作『BUM』を発表した。彼らの持ち味であるドライブ感あふれるビンテージ・ロックに、現代的なバンド・アンサンブルも覗かせる1枚で、キーボーディストの本間ドミノ先生は、ルーツ・ミュージックを感じさせるプレイに加え、シンセ・サウンドも導入するなど新たなアプローチでアルバムを盛り上げている。ここでは、本間にアルバムの制作と鍵盤プレイについて、話を聞いた。

▲写真左から、本間ドミノ先生(k)、星川ドントレットミーダウン(b)、平田ぱんだ(vo)、ビートりょう(g)、チバ・オライリー(と無法の世界)a.k.aジャン(d)

 

主張し過ぎないことで
キーボードの必要性が高まった

————ニュー・アルバム『BUM』の制作の経緯を教えてください。

本間 去年の年末に「NEW LOVE」という自主制作シングルを出したんですが、そのときぐらいからさわおさんにお世話になっていて、自然な流れで次はアルバムを制作しよう、ということになりました。昨年までに少しずつ作りためていた曲を、さわおさんと一緒にプリプロをやりながら進めていきましたね。

————山中さわおさんとの出会いは?

本間 もともと俺と平田ぱんだ(vo)が、昔からthe pillowsの大ファンだったんですよ。学校で俺と平田が最初に会話したのも、“何聞く人?”って聞いたら、“the pillows”って平田が答えて、そこから仲良くなっていった感じで。それで、2012年にラジオ番組のレギュラーを持っていたんですが、そこで平田がthe pillowsが好き、とずっと言っていたんですよね。そのラジオのスタッフの人がthe pillowsと親しくて、俺らがthe pillowsを好きというのを本人に伝えてくれていたんです。それで2012年のライジング・サン・ロックフェスティバルの会場で初めて挨拶させてもらいに行ったら、“平田ってどれ?”ってさわおさんが聞いてきて。そして手を挙げた平田に、酔っていたのもあってかいきなり抱きついてくれたんです。俺は“俺の方がファンなんだけどな”ってうらやましかったりしましたけど(笑)、それからご飯や飲みに行ったりして、バンドのことも気に入ってくれ、今につながっているという感じです。

————アルバム制作ではさわおさんとはどのようなやりとりをしたのでしょうか?

本間 実は最初から最後まで、さわおさんがプロデューサーだ、という認識で録っていたわけではないんですよ。だけど、さわおさんが毎回スタジオに来てくれて、それぞれの楽器の音やアレンジにアイディアをもらいながらプリプロを録っていったんです。例えば「BUM」のイントロでは、あとからリズムが入るときに半拍ずれて聴こえるようにエレピのフレーズを入れたり。そういう普段自分がやらないようアイディアを出してくれたりして、6人目のメンバーとして、活躍していただいたという感じですね。今までは、バンド・メンバーがそれぞれ自分のパートのアレンジをして、それをスタジオで合わせて気になった部分だけ、ビートりょう(g)をはじめそれぞれが意見を言っていく、という感じだったんです。そしてそのままレコーディングをしていくので、プリプロも録ることがあまりなく、今回はメジャー1stアルバムの『憧れられたい』ぶりのプリプロ制作だったんですよ(笑)。

————キーボードにもさわおさんから結構意見があったんですね。

本間 さわおさんはやっぱりギタリストなのでギターほどじゃないですが(笑)。でも、「NEW VIEW」、「BUM」、「SHOPPING」、「真夏の仲間」というアルバム冒頭の4曲は、さわおさんの意見が特に反映されていて、今までと違う感じになっていると思います。アクセントになるキーボードの音が随所にちりばめられていますし、4曲それぞれ音色も違う。「真夏の仲間」のイントロがピアノだけで始まったり、途中でちょっとジャズっぽくなったりするのもさわおさんきっかけで詰め直した結果だし、俺1人だったらまず思いつかない。冒頭4曲がアルバム全体の印象に大きく影響しているな、というのはありますね。

————本間さん自身が鍵盤アレンジについて意識したことはなんでしょうか?

本間 ロックンロール・バンドとしてのキーボーディストなので、あまり主役になろうとせず、主張しすぎない、というのをどこか頭の中に入れていましたね。50年代なら主役はピアノなんですけど。1つの効果、1つのアクセント、料理で言うと最後の調味料、というぐらいの気持ちで作っていきました。前までは、ギターと並列で自分の存在を考えていたんですよ。でも、そうすると爆音のロックンロール・ライブのときは難しい。例えばピアノの低音は聴こえないものと思ってやらないといけないし、バンド・サウンドに厚みを出すくらいしかできなかったりしますからね。スタジオで弾いた音とは別に、ヌケる音をライブ用に用意しなくてはいけないし。今までは、やっぱりどうしても前に出たいという気持ちがどこかにあったんですが、今回のアルバム作りでちょっとずつ変わってきたなっていう感じです。そういう意味で、今回はキーボードの必要性が強まっていると思います。

————確かに、今回のアルバムはキーボードの音が耳を引くシーンが多いですね。

本間 アクセントを効かせられたというのもあるし、多分音色のせいもあると思います。一番顕著なのは、「NEW VIEW」や「BUM」で使っているような電子音。よく分からないけどツマミとボタンいじってたら格好いい音ができたので使いました。基本的にはピアノとオルガンが好きなんですが、さわおさんのおかげもあってこれまでと趣向の違う音も使うことができたと思います。

————ギターとの関係性はどのように考えていきましたか?

本間 自分たちで作る部分に関しては、たとえばギターと絡み合うとか細かい音楽的なアレンジっていうのはあまり考えないでやってたんですよ。ロックンロールなので難しいことはしない、ということもありますし、あまり考えてやると“音楽”になってしまうので。“音楽”にするんじゃなくて、あくまで“ロックンロール・バンドの曲”にならないといけないんです。でも、今回さわおさんと一緒にやることによって、今までで一番音楽的な、音楽とロックンロールの狭間で絶妙なバランスを保っているアルバムになったと思いますね。

————レコーディングで使った機材は?

本間 Nord Electro 3の61鍵と73鍵の2つです。結構重ね録りをしたので、ライブ・ツアーでこのアルバムの曲をやるのは結構大変です(笑)。音色切り替えも多いし、左手と右手で違うリズムを弾く曲もあるしコーラスもあるし。そのためにもあまり難しいことはしていない、ということもありますね。

今までの自分たちと新しい自分たち
両方が入っている1枚になった

————それでは各曲について聞かせてください。「SHOPPING」は、イントロや間奏、アウトロに必ずエレピのフレーズが入ってくるアレンジになっていますが?

本間 イントロに関して言うと、さわおさんに最初、装飾音符のようなフレーズをちょっと入れてみてほしいって言われたんですよ。“なるほど、こういうアクセントの入れ方もあるんだな”って。でもこれはもっと広げられる部分だと思ったので、そのアイデアをもとに長いメロディ付けていったんです。間奏のソロは、自然な流れでもともとやっていたものですね。多分、間奏で空間があったので、自然に埋めようとして弾いたんだと思います。

————「Nadine」はキーボードのころがしフレーズが印象的で、これぞ!と思いました。

本間 この曲のタイトルは、チャック・ベリーの同名の曲からとったもので、2000年前後から今までに出てきた中でザ・ヴァインズ的なギター・ロック・バンドの重たい感じを出したかった曲ですね。スキマに入っている50年代っぽい転がしのフレーズは、ビートりょうに頼まれたんですよ。チャック・ベリーと一緒に演奏してたピアニスト、ジョニー・ジョンソンのように、超速いフレーズを弾いてくれないか、と。それで確か、Amの上でE♭とE♮とAの3音で転がすフレーズを弾いています。

————「THE ALWAYS」では、Aメロで不思議なキーボードの音が白玉で入っていますが、この音色はどのように作っていったのですか?

本間 あれもビートりょうに入れてほしいと言われて、ハープシコードの音色に、アンプ・シミュレーターを通して、音を揺らすパラメーターをすごく速めて作っていきました。それに、アンプのドライブも上げて割れる感じにしたり、リバーブも上げたりしています。

————この曲ではサビのレスリーを回したオルガン音色も解放感があって気持ち良かったです。

本間 サビでロータリーを回すんですが、やっぱりそこにくるまで回さないでおくと、サビに広がりが出ますね。このオルガン音色はハモンドB3の音色ではなくて、Nord Electro 3に入っているファルフィッサの音色を使っているんですよ。それをいろいろいじって使っているんです。ベースに合わせてイントロを弾くんですが、それがハモンドの音色だと合わないな、と思って。「NEW VIEW」もファルフィッサの音色がベースで、B3を使ったのは「SHOPPING」、「真夏の仲間」、「DRIVE LOVE」です。

————アコースティックな曲調の「shyboy」は、ピアノが前面に出ていますね。

本間 かなりギターの音量が抑えられてる曲なので、ピアノが必然的に聴こえてきますね。この曲の鍵盤のフレーズは、やっぱり何も考えないで作っていきました(笑)。Bメロ行く前に、ギターは上に上がっていくフレーズで、俺は上から降りるフレーズにしたりしているんですが、そういうのも意識せずなんとなくでやっていく。「shyboy」に関してはアレンジを話し合った記憶がないですね。個人的にはすごく好きな1曲です。

————どのような点が?

本間 50~60年代のスウィング・ミュージック風で、もともとこういう曲調が好きなんですよ。サビの中でAからF#に降りていく進行も、定番のコード進行で良いですね。あと、ライブでは多分この曲のコーラスやることになるから、個人的に楽しみなんですよ。自分の声域は比較的ボーカルと近くて、さらに目立たない声なので周りの音に溶けていくんです。だから、自然な厚みを出せる。「shyboy」に関しては、ピアノも目立つし、コーラスも目立つし……本当は目立ちたいのかも知れないですね(笑)。

————アルバムができてみて、本間さんにとってどのような作品になったと思いますか?

本間 そうですね。今までインディーズで1枚、メジャーで3枚と出して、フル・アルバムとしては5枚目のアルバムになるんですが、文字で表すと“・(ナカグロ)”的な1枚となっていると思います。今までの自分たちと、さわおさんという新しい風が入った中で昇華できたもの、どっちも入っているということで。ビートルズで言うと、『ヘルプ!』や、『ラバー・ソウル』とか、あそこらへんのものかな、と。

————9月23日からアルバムを引っ提げてのツアー、『AUTUMN ROYAL BUM TOUR 2014 ~僕の復活~』が開催されますが、意気込みの方をお願いします。

本間 CDは物体で、ライブは生もの。ステージではCDの曲が生ものとして存在するから、CDを聴いてちょっとでも気になってくれたら、ぜひライブを観に来てほしいですね。

 

秋の全国ワンマンツアー『AUTUMN ROYAL BUM TOUR 2014 ~僕の復活~』

9月23日(火・祝)東京・新宿 red cloth
9月27日(土)高松・DIME
9月28日(日)福岡・Queblick
10月8日(水)金沢・vanvanV4
10月10日(金)大阪・Music Club JANUS
10月11日(土)広島・Cave-Be
10月17日(金)仙台・LIVE HOUSE enn 2nd
10月26日(日)名古屋・CLUB UPSET
11月1日(土)札幌・KRAPS HALL
11月3日(月・祝)東京・キネマ倶楽部

※ツアーの詳細はコチラのページをチェック!

 

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