Vol.1 2人が知り合った経緯~リリックについて

特集 by 編集部 2012年5月9日

それで僕が40歳になってSOPHNET.のファンになったと(ILL-BOSSTINO)


2人が知り合った経緯

KIYONAGA(以下K) 『Phase 3』のPVを撮るときにレーベルの担当者からBOSS君を紹介されたんです。その方は僕がTHA BLUE HERBのファンだと知っていたこともあって、衣装などを探していると連絡をくれて。
ILL-BOSSTINO(以下B) 僕はそのときに初めてSOPHNET.を知ったんですよ。そのときは僕たちの時間があまりなくて、本当に顔合わせみたいな感じで。
K そうですね。
B そのまま時間が経ったんですが、今回のプロジェクトを始めるときに僕の方から清永さんの服を着たいとコンタクトをとって。それが去年の秋くらい。
K お互いが直接の連絡先を知らなかったので、間が空いていたんです。それで札幌の取引先の方を経由して連絡をくれて、電話で長話をするようになったと。アルバムを作るにあたって地方をまわっているときとか。
B リリックを書きためるために旅行しているとき。
Kそこからメル友になったと(笑)。
B 僕は携帯電話は持っていないんですが、メールを見られるようにPCは持ち歩いていて……メールは早いっすよ。そんなの自慢にならないか(笑)。
Kだから、昨年末くらいには電話でアルバムを出す予定だと聞いていた。
B 旅の途中だったということもあり、九州だとどこがいいですかみたいな話とか(編注:清永氏は大分県出身)、サッカー談義だったり。
K 簡単に言えば、僕が1ファンだったというきっかけなんですけど(笑)。
B それで僕が40歳になってSOPHNET.のファンになったと。

THA BLUE HERBとの出会い

K 最初は(DJ)KRUSHさんの作品にフィーチャリングされていた曲(編注:DJ KRUSHを中心としたユニット、流が1999年にリリースした「ILL-BEATNIK」「流」などに参加)。その後、ビデオ(編注:1999年の東京初ライブを収録した『演武』。2009年にDVDで再リリース)を見たりして。
B 1999年のライブですね。
K それで、これを本人を前にして言うのも何だけど、日本人にとっての演歌だと。
B (笑)。
K 僕は日本語のヒップホップは演歌であるべきだと思っているんです。言葉で人の哀愁や人生を代弁するという。音の感覚なんですけどね。
B 演歌は英語で何と言うんでしょうかね……ソウルミュージックとか……ブルースか。
K そういうこと。ちょっと前の世代であればフォークなどのイメージなのかな。そういうとらえ方だから、最初に聴くときは歌詞カードが必須(笑)。
B オレもそう思いますよ。オレらが1st(編注:『STILLING, STILL DREAMING』)を出したときにも歌詞カードを付けたんですが、1999年の当時ですら歌詞カードを付けることが新しいと言われていた。自分たちにとっては曲の中身を知ってもらわないとどうしようもないから。
K 自分で聴き取れるだけで十分だという人もいるだろうけど、僕にとっては歌詞カードは重要。母国語であっても聴き取れていない部分もあるから。
B なるほど。ラップだから隠語みたいなものも多いし、そこは歌詞カードを付けることで正確に知ってほしいというのはあります。受け手側からはどうなのか分からないけど、ちょうど清永さんから言われてなるほどと。

簡単に言えば、僕が1ファンだったというのがきっかけ(KIYONAGA)

リリックについて

K リリックでサッカーの話題が入ってくるのもうれしいんですよね。ベッカムとか(編注:元イングランド代表のMF。2ndアルバム『Sell Our Soul』収録の「人斬り」の一節)。
B あの当時はセンセーショナルだったけど、あの後で有名になり過ぎちゃったからな(笑)。
K ほかにもフィーゴとか(編注:元ポルトガル代表のMF、FW。3rdアルバム『LIFE STORY』収録の「THE ALERT」の一節)。
B そうですね。
K 今回のアルバムでも出てくるし。
B イニエスタですね(編注:FCバルセロナに所属するアンドレス・イニエスタ。ぜひ聴いて探してください)。
K そのセレクションも共感できるというか。
B 同時代感覚。ラップって言葉遊びが重要で、どこで遊ぶかでMCのセンスが分かれる。ベッカムという言葉もそうだけど、それが旬だったときもあれば、だれでも知っている言葉になるときもあるという、そういう言葉の聴こえ方の変化も面白くて。そういう意味でサッカー選手はどんどん移り変わっていくのが常だから。本当にピークだと言えるのは数年くらいしかないので。だから、イニエスタが出てくるリリックを書いた時点で、今はどうなんだと言われれば変わってきていますからね。
K 内容も的確なんだよね。本当に、やるときはやるイニエスタ(笑)。決して目立つ選手ではないんですけどね。
B 2010年のFIFAワールドカップの決勝でもゴールを決めましたからね。あのシュートの印象は強い。
K メッシ(編注:FCバルセロナに所属するアルゼンチン代表のCF、リオネル・メッシ)ではない。
B メッシも書いているんですよ(編注:客演したSEEDAの「WISDOM feat. ILL-BOSSTINO, EMI MARIA」の一節)。スコセッシ(編注:音楽関係の映像作品も手掛ける名映画監督マーティン・スコセッシ)とのつながりで。映画監督もリリックに出てきますね。
K 人名で韻を踏むことも多いよね。
B そうですね。

……Vol.2 に続く(公開日:5月16日)

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