DJ機器のスタンダードモデルを多数リリースしているパイオニアがリリースしたDASシリーズは、音質と信頼性にこだわったケーブル。ラインナップはRCAアナログケーブルのDAS-RCA020R、同軸タイプのRCAデジタルケーブルのDAS-DGC020R、XLRケーブルのDAS-XLR030Rの3タイプとなっている。そこで、DJにとっての“現場”であり、音質面でのアドバンテージを最も発揮できる場はクラブということで、各モデルを持ち込んでの試聴会を開催。西麻布elevenのメインフロアを会場に、elevenのサウンドエンジニアの須藤健志氏、テクノ系フィールドで活躍するDJ/トラックメイカーのGonno氏、ベースミュージックにフォーカスしたelevenのレギュラーパーティ“SDM”でもレジテントを務めるセレクターのMaL氏という3名にそのポテンシャルを体感してもらった。
Photo : Hiroki Obara

試聴の流れ

 ダンスミュージックのクオリティを最大限に引き出す高音質設計をコンセプトに開発されたDASシリーズ。“クリアな音質”“ 力強い音場”“ノイズレス”を主眼に現場での取り回しに配慮した高い柔軟性も併せ持つのが特徴だ。さらに、日本国内での製造、高度な半田付け技術をもったマイスターが丹念にケーブルを作り上げている。なんと、1本につき20分以上かけて製造しているそうだ。そんなDASシリーズの試聴会場として協力いただいたのが、西麻布の名クラブeleven。その出音を最も知るサウンドエンジニアの須藤氏に加え、同クラブでのプレイ頻度も多く出音についての意識が高いDJとしてGonno氏とMaL氏を交えてチェックしていこう。
 試聴方法は至ってシンプル。eleven常設の他社ケーブルが先攻、DASシリーズが後攻という流れで試聴用の音源を再生する。もちろん再生する音源と接続機材/ルーティングは同一で、両ケーブルでの交互再生を複数回で繰り返えしていく。チェックしていただく3名にはフロアの任意の場所でスタンバイしてもらっての聴き比べだ。

試聴システム

▲試聴システム。RCAアナログ/デジタルケーブルはCDターンテーブルとDJミキサー間で、XLRはDJミキサーのマスター出力とデジタルプロセッサーとの接続に使用。
なお、試聴用の音源はBeyonce「Run The World(Girls) Stopme Girlie Mix」をメインに、Simon Phillips「Red Rocks」「Wall Street」(以上、須藤氏)、Blend Mishukin「Mama Proud」「MaL RFX」(以上、MaL氏)、Gonno氏のオリジナルトラックを使用

RCAアナログ

 まず試したのはRCAアナログケーブルで、CDターンテーブルとDJミキサー間に接続。ケーブルをDASシリーズに変更して再生した瞬間、即座に変化を実感したようで、各自の顔に思わず笑みがこぼれたのが象徴的だ。その印象について「全然違いますね。確実にDASではレンジが広がっている」と最初に口を開いたのが、MaL氏。この発言を受け、Gonno氏も「分離もすごい」と続ける。須藤氏も同感のようで、「曲の最初になるキックで違いが分かります。ローエンドが出ているんですよね。通常のケーブルでは膝上から包み込むような低域なのですが、DASでは体を包み込むようなキックになる感じ」とのこと。「しかもハイハットも奇麗に聴こえる」(MaL氏)、「高/低域ともにDASの方が奇麗に出ていて、クセがないので聴き疲れもしなさそうな音でもある」(Gonno氏)という発言も出た。

DAS-RCA020R

DAS-RCA020R

オープンプライス(市場予想価格:22,000円前後)
DJ機器とDJミキサーの接続などで使用頻度の高いRCAアナログケーブル。ケーブルはノイズ対策を施した構造でありつつ柔軟性にも配慮されているので、取り回しのしやすさもポイント。プラグは締め付けてロックするコレットチャック方式を採用しており、高い信頼性を実現している。
SPECIFICATIONS

  • ケーブル:外径6.5mm同軸1芯シールド
  • 導体:6N-Cu
  • プラグ:RCAピン
  • 長さ/同梱本数:2m/LRペア

RCAデジタル

 続いては同軸タイプのRCAデジタルケーブル。こちらも同じくCDタンテとDJミキサー間で使用したのだが、DASシリーズに変更して最初の数小節が再生されただけで驚きの声が。念のためにと複数回の試聴を経てコメントを求めると「予想とは反対だった」と、まず須藤氏が発言した。「デジタルケーブルということで、もっとキツイ音になるのかなと思っていたけど、高域のレンジが明らかに広がりながらも耳にうるさい部分が全く無いですね」
 「こっちの変化もすごい」とはGonno氏で、「キックのアタック部分だけでなく、余韻の部分もしっかり出ていてRCAアナログよりも変化の量が多いと思います」と語る。この発言を受け、MaL氏は「変化の方向性がちょっと違う」とのこと。「いずれも良い方向での変化ですが、RCAデジタルの方が透明感がありつつ、ゆとりのある音というか。電圧が上がったときのような変化というと分かる人もいるんじゃないかな」

DAS-DGC020R

DAS-DGC020R

オープンプライス(市場予想価格:14,000円前後)
デジタル出力を備えたDJ機器で活用する同軸タイプのRCAデジタルケーブル。導体にはスズメッキ軟銅線を採用し、シールド材やケーブルネットなどのノイズ対策や、柔軟性、プラグ部のコレットチャック方式の採用などは同シリーズのRCAアナログケーブルと同様の信頼性の高さ。
SPECIFICATIONS

  • ケーブル:外径5.1mm同軸1芯シールド
  • 導体:スズメッキ軟銅線
  • プラグ:RCAピン
  • 長さ/同梱本数:2m/1本
  • 特性インピーダンス:75Ω

XLRケーブル

 最後にチェックしたXLRケーブルはDJミキサーのメイン出力とパワーアンプの前段にあるデジタルプロセッサーとの間に接続。変化の量や方向性などのイメージがあったようだが、事前の想像とはちょっと異なっていたようで、「既にRCAを試した後なので、それと比べて変化量が少ない気がします。ただ、傾向は似ていて、分離は良くなりますね」とGonno氏が語る。この発言にはMaL氏も同感のようで「変化量は減ってもDASの方がゆとりが出るという傾向は近い」と語る。
 一方、須藤氏は「量の大小というよりも、変化の方向性が言葉にしづらい」とのこと。「DASの方が解像度は確実に上がっていて、しかもクリアな出音なので、体が反応するかどうかは音源次第なのかな。あと、ステレオ感は倍増しますね」とも語ってくれた。

DAS-XLR030R

DAS-XLR030R

オープンプライス(市場予想価格:26,000円前後)
DJミキサーのマスター出力などで採用例が多いXLRケーブル。導体には軟銅撚線が使われており、4芯ツイスト構造などのノイズ対策も施されていることに加え、高い柔軟性も両立。プラグはノイトリック製となっており、耐久性にも配慮がなされた仕様になっている。
SPECIFICATIONS

  • ケーブル:外径6.8mm4芯ツイストシールド
  • 導体:軟銅撚線
  • プラグ:XLRオス/XLRメス
  • 長さ/同梱本数:3m/LRペア
安定感で選ぶRCAデジタル 迫力が増すRCAアナログ(MaL)

「安定感で選ぶRCAデジタル 迫力が増すRCAアナログ」
(MaL)

再生能力の高さで言えば 確実にDASシリーズ(須藤)

「再生能力の高さで言えば 確実にDASシリーズ」
(須藤)

DASシリーズ共通の傾向は 音の分離が良くなること(Gonno)

「DASシリーズ共通の傾向は 音の分離が良くなること」
(Gonno)

トータルインプレッション

 3タイプの試聴後、さらに通常のRCAアナログ/デジタル+XLRケーブルという組合せと、DASシリーズでの同様の組合せのセットを使った聴き比べを経て、全体の印象を聞いてみた。
 真っ先に「DASのRCAデジタルと同じくDASのXLRという組合せが一番好み」と語ってくれたのが、Gonno氏。続いて須藤氏が「フロアで観客に踊ってもらえるかを判断基準にすると選択は難しいのですが、再生能力の高さで言えば確実にDASシリーズの組合せ」と語る。また「その日の出演DJによってケーブルを選ぶといったぜいたくな活用例も考えられるレベルだと思います」とも語ってくれた。MaL氏も再生能力の高さは同感のようで、「そこを踏まえつつ、DASのRCAアナログ/デジタルのどちらを選ぶかは完全に好み。安定感で選ぶRCAデジタルと、迫力が増すRCAアナログという感じで、僕はRCAアナログかな」とのこと。
 今回のようなクラブという現場だけでなく、自宅の制作システムなどへの導入も考えられるという発言も聞かれたのだが、DASシリーズのポテンシャルの高さには3名ともに驚いたようだ。音にこだわりたいという本誌読者であれば、ぜひ一度試してみてほしい。

info:パイオニア カスタマーセンター
tel:0120-944-222
url:pioneer.jp/cdj

※本記事は『GROOVE SPRING 2012』の内容の一部を転載しております。