スクラッチ・ワードプレイ、Feat.勢、寝る時間……などなど、Part.2もHipHop度数高めだから、振り落とされないように! ではでは、ISSUGI & BUDAMUNKのロングインタビュー後編をお楽しみください。
※前回のPart.1をまだお読みでない方は必ずPart.1からお楽しみください。
Get Ready / ISSUGI&BUDAMUNK
http://www.youtube.com/watch?v=Jn4Z_xvwEzM
MONJU、SICK TEAM としての活動や、2013年2月に発表したニュー・アルバム『EARR』が各方面で大絶賛された“ISSUGI”。同じくSICK TEAM やmabanua とのユニット、GREEN BUTTER、さらにはアメリカ西海岸のアンダーグラウンドなシーンにもその名を轟かせ活動を広げているDJ /プロデューサーの“BUDAMUNK”。この2人が“ISSUGI & BUDAMUNK”始動を告げるファースト・アルバム『II BARRET』をリリース。5lack、仙人掌、KID FRESINO(Fla$hBack$)、OYG、16FLIPらが参加し、HIPHOP シーンはもちろん、この類い稀なセンスを持つ2人の音楽性は新たなミュージックシーンに届く作品に仕上がっている。
shakke:ラップを入れたあとに、アルバムに入らなかったようなアウト・テイクってありますか?
ISSUGI:今回はないですね。
shakke:トラックを選んでいる時点で、だいぶ絵が見えてきたってことでしょうかね。
ISSUGI:はい、そうですね。
SEX山口:制作期間はどれぐらいでした?
ISSUGI:『EARR』制作中からトラックを聴かせてもらったりしてたけど、終わってから制作開始ってなると2013年3月~10月ぐらいですかね。
shakke:一番踏ん張った時期は?
ISSUGI & BUDAMUNK:納期前ですね(笑)。
SEX山口:今回はワードプレイというか、ISSUGIさんのリリックに合わせたスクラッチも多いですよね。
ISSUGI:ああ~、今回はおれもスクラッチをいっぱい入れたアルバムだなーって思ってました。
BUDAMANK:ほとんどスクラッチはやってきてないのに、ノリで。一番初めにやったのはOYGのやつ。FULLMENBERのJUCOくんトラックの上でスクラッチさせてもらいました。スクラッチ…すげーいいなぁって。全然上手くないんすけど。
shakke:いやでも、スクラッチっていうのは上手い下手ももちろんあるかもしれないけど、楽曲における最大の注目ポイントはコスリネタのチョイスとか、味だと思うんですよね。
SEX山口:自分もそう思う。フェーダーを切らないスクラッチとかダッサダサの大味なコスリとか、やっぱり大好き。コスリネタひとつ取ってもスタイル・ウォーズだと思う。
ISSUGI:ここ何年かで、またオールドスクールのHipHopがさらにヤベーって超なってて。JB’s、RUN-DMC、EPMD、、、もっとあるけどここらへんをBUDAくん宅に持って行って、スクラッチできる箇所を2人で探して。
BUDAMUNK:まずはISSUGIくんのリリックありき。そこに合いそうなレコードをISSUGIくんが持ってくるのですが、HipHopの基礎がちゃんとあるから、おれらが聴き始めたHipHopより全然前のもっとベーシックなところを持ってきてくれる。オールドスクールの無骨な知識がちゃんとあるから成立しましたね。
SEX山口:いや~、だから自分なんか引っ掛かりまくりですよ。「お! フレッシュ!」「あれ? この声は誰だったけか?」が何回かありましたよ。
shakke:ニヤリとさせられた、ってことですね。
ISSUGI:入ってるだけであがると思うんですよね。声がもうHipHopっていうか(笑)。カッケーみたいな。
shakke:かつ、そこに意味が加わってくるとなおさら厚くなる。声ネタってそういうことですもんね。
ISSUGI:確かに。そういうところがHipHopの好きなところです。
SEX山口:5lack、仙人掌、KID FRESINO、OYG、16FLIPが参加していますが、なぜこの皆さんが参加に至ったのか訊かせてください。
ISSUGI:普段からいつも一緒に遊んだり、ライブやったりしてる奴らだし。って感じですね。
shakke:今回、目新しいところで言うと、佐々木くん(KID FRESINO)が入ってるじゃないですか。これはどういった経緯で?
ISSUGI:そうですね、トラックを聴いたときに「これ佐々木だなぁ」って思って。
一同:だははははは!
ISSUGI:あいつもFeat.して欲しいな、って思ってて。佐々木はこのトラックだなって直感で感じて、そのまま誘った感じです。
shakke:佐々木くんのラッパーとしての魅力ってどういうところだと思いますか?
ISSUGI:やっぱりあいつはノレると思いますね。
SEX山口:仙人掌のリリックに「夜中に眠る 当たり前をこの手に取り戻す」っていうラインがあって、最近ずっと同棲相手に「夜寝て朝起きて昼間に仕事しなさいよ」って言われてて。「あ、仙人掌も言ってる!」ってなったんですよ。タイムリー過ぎて驚きました!っていうのと、そのとおりだよなぁ…という感情が。言い当てられてグッときてしまった。
ISSUGI:おれの友達もそこ良いって言ってましたね。
SEX山口:AmebreakでのSick Teamのインタビュー読んでたら「制作は昼間やって夜は寝るようにしてた」って書いてあって。今回はどうだったのかなぁ、って気になって。
BUDAMUNK:そうですねぇ、昼間は起きて夜は寝てましたね(笑)。
一同:だははははは!
shakke:普通のこと言ってるだけじゃないですか(笑)!
SEX山口:いや、まぁそうなんだけどね(笑)。
ISSUGI:レコーディングは昼から夕方とか、終電前ぐらいまでに終わるようにはだいたいやってましたね。
BUDAMUNK:個々の作業は別れてから朝までやって、あとは、、寝ますね(笑)。
SEX山口:自分も昼間は起きて夜寝るようにしたいです。
shakke:また普通のこと言ってる気がしますが(笑)!
BUDAMUNK:L.A.に居た時は2時にはクラブが終わるから、だいたい3時にはベッドに入ってるんですよ。寝ても昼前には起きる。友達とかも朝8時、9時には起きて、10時には尋ねて来たりする。それが割と普通でしたからね。
shakke:BUDAさんを取り巻く制作環境の中で、L.A.での制作スタイルと日本での制作スタイルを比べてみてどこか違いはありますか?
BUDAMUNK:向こうでやってた諸々の過程も、こっちでやってる諸々の過程も、驚くほど違いがないんですよ。特に変わってないというか。
shakke:ほほう。それがやっぱりISSUGIさんとウマが合う由縁なんでしょうね。逆にISSUGIさんがBUDAさんを見て、相性がいいなって思う理由はどこだと思いますか?
ISSUGI:お互いが持ってるGrooveが違うんすよ。だから、BUDAくんの持ってるトラックのGrooveに、おれのGrooveを乗せた時に掴み合うっていうか、ガチッと違うGrooveがハマるっていうか。おれ好みのありものトラックでラップを乗せてみるとGrooveが割と寄り添っちゃうっていうか。
BUDAMUNK:タイミングって人によって違う。揺れ具合とか。Grooveってそういうことだと思うから。やっぱり人によって持ってるものが違うからいいワケで。それを遊ぶのがHipHopだと思う。ビートもラップもスクラッチもダンスもタイミングで遊ぶのがHipHop。
ISSUGI:タイミングが気持ち悪かったらノレないかもしれない。
一同:ああ~。
SEX山口:わかるぅ!
shakke:それでは、アルバム以外で訊きたかったことを一問一答形式で。最近、面白かったアルバムとか曲とかってありますか?
BUDAMUNK:Kendrick Lamarのアルバムを聴いたんですけど、1、2曲良いビートありましたね。あと、Schoolboy Q。
ISSUGI:おれはAction Bronson好きですねー。ラップもノッてるし、トラックのチョイスもイケてますね。
shakke:ラッパーでもビートメイカーでも年齢を取ること問題っていうのがあると思うんですよね。HipHopってフレッシュであったりキッズであったりしなきゃいけない側面があるじゃないですか。そんな中で年を取りながらHipHopを続けていくワケで、考え方を変えるという選択と、貫き通すっていう選択があると思うんですけど。そこらへんはどう思いますか?
BUDAMUNK:おれは年齢は関係ないと思いますね。O.G.のラッパーでKING-Tとか未だにいるじゃないですか。そういうO.G.がアンダーグラウンドでイケてるっていうのは、おれは好きっすね。貫き通してるから自分はそっち聴いちゃう。自分のスタイルを進化させていくことのほうが大事だと思うんです。やってることをどんどん変えてっちゃう人が多いけど、それが良くないんじゃないかと思う。
ISSUGI:ラッパーもビートメイカーも年を取っていく過程で進化していくと思うんですよね。10代で作っていたビートより、30代で作ったビートのほうが絶対渋いんすよね。聴いててそう思う人も少なくないし。同じことでだんだん年を取っていけば絶対間違いないと思います。
shakke:若い世代で面白い子とかいますか? 佐々木くん以外で(笑)。
BUDAMUNK:ill.sugiですね。すっげーアンダーグラウンドでかっこいいビート作るんすよね。
ISSUGI:おれはFla$hBackS。全員かっこいいと思いますね。佐々木入ってますけどね(笑)。
SEX山口:最後は駆け足になっちゃいましたけど、本日はありがとうございました!
shakke:書けないこともたくさんありましたが(汗)、それはまたの機会に。ありがとうございました。
ISSUGI & BUDAMUNK:ありがとうございました。2014年はお互いいろいろと発表できると…思います。
といった感じのISSUGI & BUDAMUNKロングインタビュー Part.2、いかがでしたでしょうか。時間が経つに連れて、打ち解けていく4人を感じ取っていただけたでしょうか。
1996年~2006年の10年間をL.A.で過ごしたBUDAMUNK氏。他を認めつつ、今の仲間を全力でリスペクトする姿勢。そんな氏が惚れてしまったill.sugi氏を我々もしっかり注目していきたいと思います。そして、今作においてもHipHopな真っ向勝負を挑み続けるISSUGI氏。自らの進化の過程で「変わらず進化を」と制作の手を決して止めないハングリー精神にやられてしまいました。
2人をもっと知りたい方は是非、ライブへ足を運んでみてください。両氏と仲間の生の息遣いを目撃していただきたい!

ISSUGI FROM MONJU 〈左〉
東京を中心に活動するMONJU/DOWN NORTH CAMP/SICK TEAM のメンバー。仙人掌、Mr.PUG と共にMONJUとして『CONCRETE GREEN』を始めとする数々のCD への参加で注目を集め、2006 年にファーストEP『103LAB.EP』、2008 年にはセカンドEP『Black de.ep』をリリース。2009 年にはソロとしてのファースト・アルバム『Thursday』をリリース。16FLIP と共に作られた音楽性はISSUGI のスタイルや空気を一枚で浮かび上がらせ、音源を通して各地に届くようになる。以降は東京内外からのライブ・オファーで遠征する中、2010 年にセカンド・アルバム『TheJointLP』をリリース。16FLIP に加えBUDAMUNKY(a.k.a. BUDAMUNK)、MASS-HOLE、PUNPEE、Malik、K-MOON をプロデュースに迎え、自身の内面をより深く投影した作品で着実に一回り大きくなった存在感を残した。2011 年にはBUDAMUNK、S.L.A.C.K. とのユニット、SICKTEAM としてのアルバムやDJ SCRATCH NICE とのミックステープ『WHERE OWN WONDER』をドロップ。数々のライブや作品で聞かせるフロウとリリックは独特なスタイルであり、MONJU やSICKTEAM、SCRATCH NICE とのコラボ名義を経て、さらに色濃く自身を表すようになっている。2013 年、サード・アルバム『EARR』をリリース。
BUDAMUNK(Soul Jugglerz / Jazzy Sport)〈右〉
Hip HopのプロデューサーBudaMunkyは96年にLos Angelesに渡米。後にDJやビート作りを始める。2004年にMCのJoe StylesとOYGとKeentokersとして活動を始める。Keentokersは仲のいいクルーLive Radioらと共にSoul JugglerzとしてもL.A.アンダーグラウンドのステージで多くの通をうならしてきた。BudaMunk個人としてもローカルのイベントでビートバトルでの優勝やDibiaseらローカルのプロデューサーとビートセッションに参加するなど、日本人でありながらLAのシーンで活躍してきた。2006年帰国後、JazzySportやDogearからの作品リリース、ビートバトルでの優勝、S.L.A.C.KやISSUGIのプロダクション、自信のソロの作品意外にもSick TeamやGreen Butterなど日本での活動の幅を広げてきた。最近ではDown North Campの仲間ISSUGI、仙人掌や、L.A.の盟友Joe Stylesとの作品以外にも、ill.sugi、 Elaquentなどプロデューサーとのコラボレーション作品も製作中。
SEX山口

1976年生まれ、神奈川県出身のメガネをかけた牡羊座。幼少時に観たM.J.のパフォーマンスに多大なる影響を受け、小2で“ムーンウォーク”を習得。と当時に、たけし軍団や志村けん、とんねるずといった“ハードかつタイトな東京のお笑い”への尊敬と憧れを現在までKeep Onし続ける。最近はやたらしゃべるディスクジョッキーとして日本各所でメイクサムノイズしつつ、音楽専門誌・web等で小粋な執筆もちょろちょろ。自身のトレンディーアパレルブランド「S.E.X.Y. by NAOKI YAMAGUCHI」のアイテムや危ないおMIX CDも随時デリバリーしております。あと、宇多田ヒカルが大好き。