空間とスピーカー

青真鶴日記 by 鶴谷聡平(真っ青) 2010年9月30日

9月23日 雨
雨の日って、音楽が良く聴こえるような気がする。感傷的になってるだけかな。

今日は雨のせいで店が暇だったので、久しぶりに自分の店の中でゆっくり音楽を聴くことができた。代々木八幡のNEWPORT。代々木公園の近くにあるいわゆるカフェ・バーで、ワインを売りにしている店だが、実は音楽をちゃんとかけている。

ちゃんと、というのは音質の点でのことだ。音楽の種類に関しては個人の好みの問題も大きいので、まあ基本的にはその時に聴きたいものをテキトーにかけているわけだが、いい音でかけるというのはこの店を作る際のコンセプトとして最初から頭にあった。気軽に行ける店で、いい音で音楽がかかっている場所が今の時代にこそ必要だという思いがあったからだ。

いい音と一言で言ってもこれが中々むずかしい。音響の専門家ではない僕にとっては尚更だ。

店の広さは席数が24と小ぢんまりしているが、普通の部屋に比べたらだいぶ広い。余裕のある音を鳴らすためにはそこそこのスピーカーとパワー・アンプが必要だろう。かといって、居心地のいい空間でなくてはならないので、必要以上に存在感のある大きさのスピーカーも適さない。こう考えていくうちに出てきた答えは、小振りのパワードのスピーカーを4発、天井の四隅に設置するというものだった。

このイメージをもとにスピーカー選びとなった。これはもうフィーリングでしかない。そのころたまたま知り合いのエンジニアさんの自宅兼スタジオで聴かせてもらったMusikelectronic Geithain(ムジークエレクトロニック・ガイザイン)のRL 906の印象がとても良くて、これの木の材質を変更して注文した。設置は音響施行会社にお願いし、鳴りを確かめながらイコライジングしてもらった。

結果はとても満足している。定評のあるモニター・スピーカーだが、リスニングとしても暖かみがあって、どんなジャンルの音楽も気持ちよく鳴っていると思う。よく言われているように、音量が小さくてもバランスや音色が変わらないのは本当に凄い。大きい音で鳴らしても耳が痛くないし、なぜか会話の邪魔にもならないから不思議だ。

musik_newport

居心地のいい空間とは何か。それは場所だけでも駄目だし、家具だけでも駄目だし、人だけでも駄目だし、音だけでも駄目だ。そのすべてが見えないところで影響し合って空間を作り上げている。間違いなく言えるのは、僕はムジークとの相性が良かったし、今のNEWPORTはこのスピーカー無しでは考えられないということだ。

NEWPORT

〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-6-8 モリ-ビル1F
月 – 金 11:30 ~ 0:00 (L.O. 23:00)
土・祝 12:00 – 0:00 (L.O. 23:00)
定休日:日曜 (月曜が祝日の場合は日曜営業、翌月曜休)
http://nwpt.jp/ 

 

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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