真っ青な休日

青真鶴日記 by 山崎真央(真っ青) 2011年4月21日

4月某日
気温高めの快晴。適度な風が吹き、桜は散りかけだが、半分ほどまだ残っている。桜吹雪が舞った、まさにこれぞ小春日和な休日。

前々日の徹夜の影響か、睡眠のサイクルが狂いつつある。夕方くらいまで寝ていたい気分なのだが、ふと今日の予定を思い出して11時に起きた。メンバーに時間を伝えていなかったので、起き抜けに鶴谷へと電話をし、用件のみを話して電話を切った。

今日はNEWPORTの恒例イベント「真っ青な○○ナイト」の第4弾「真っ青なダンシング・オールナイト」へ向けて、これまた恒例のミックスCDを作ろうという日。今回はダンスミュージックがテーマという事もあり、落ち着いた環境で挑もうと、我が家(自宅兼事務所)で行うことになった。
15時すぎ、真っ青のメンバーが到着。2人は毎回ここへ来る途中、サンドイッチや和菓子やおにぎりなどの食べ物を買って来る。それらを大小の皿に並べて食べながら、世間話まじりで、ああしよう、こうしようと作業にフェイドインしていく感じは、かなりゆるゆるな、おっさん達(言ってしまった)の休日といったところ。

ミックスCDとは、ざっくり言うといわゆるDJプレイをそのままCDR(もしくはCD)にレコーディングしたもの。自宅で用意できるレコーディング・再生メディアがカセットテープだった時代の「ミックス・テープ」に由来した名称だと思うが、ミックス・テープは80~90年代にかけて、アメリカやイギリスのDJ文化をアンダーグラウンドで支え、メジャーグラウンドへと広める事に貢献して来た重要な文化でもあった。ちなみにそのミックスとは曲と曲を繋ぐ「DJミックス」を指すのではなく、色んな音楽を選んで編集して1つのメディアに収めている部分を指す(たぶん)。90年代はよくトニー・ハンフリーズやDJハーヴィーやフランソワ・ケヴォーキアンのミックス・テープをどこからともなく入手して、アメリカやイギリスのリアルなDJスタイルを聴いては、その振り切ったパワーや、時代の先を走っているセンスに感動したのを覚えている。

前回の作業は、1曲目から順に選曲、ひとまずレコーディングまで終了していて、スムースでいい感じの流れであった。ほぼ完成だったのだが、それらを各自が持ち帰って聴き、ちょっとだけ構成を考え直して録り直そうということになり、やや楽勝気分で集まったのが本日。
しかしこういうのは不思議なもので、完成が見えていない状態で探り探りやっていた前回と、シナリオが決定しそれを正確に進めていくだけの今回とだと、あきらかに今回の方がうまくいかない。今やパソコンのソフトでも制作できるところを、あえてターンテーブル2台を駆使して繋ぐ、編集はしない、僕らが影響を受けたあの時代のライブ感を出す為に(当時のミックス・テープは針飛びした音も入っているものもあった)一発録りをする、という方法を選んだのも原因でもあるが、妙なきっちり感や、逆に変な安心感や、意味のない緊張感などが邪魔をして、OKテイクが出るまで結局4回録り直し、22時すぎまでかかってしまった。

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photo by Kenichi Aono

終わったら駅前アーケード脇の焼き鳥屋で男3人で飲むという前回と同じコース。これも今後恒例になりそうだ。

自分が10代の頃、もちろん自宅にターンテーブル2台なんてなかったので、ターンテーブルとカセットデッキの往復をしながら、録音と停止を繰り返し、曲と曲なんて繋がっていない、ただのお気に入りの曲を集めたミックス・テープを作ってはせっせとまわりの人達にあげていた。それなりに喜ばれていたし、その後、そこからDJもするようになったり、それが今の自分の仕事の基礎にもなっていると思う。
世の中にあるものを、自分の感覚で収集し編集するという感覚は、DJはもちろん、レーベルやショップ、CDのプロデュース業やイベントの制作、企画などにおいて、僕の中ではかなり重要な要素であって、結局それが仕事として20年くらいずっと続いている。当時は何も考えていなかったが、気付いたら確実に積み重なってる自分の財産でもある。とは言っても実は昔と根本的にはあまり変わらないのだけれども、歳はとってもまだまだ、謙虚に視野を広く持って、もっと感覚を磨いて積み重ねていきたいなと思う今日この頃だ。

ちなみに今回作成したミックスCDはもちろん売ったり、私欲の為に利用したりはしません。でも欲しい方には差し上げますので、「真っ青なダンシング・オールナイト」是非いらして下さいませ。

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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