ハンドメイドという選択肢

青真鶴日記 by 青野賢一(真っ青) 2011年4月7日

4月2日
オルタナティヴスペース「VACANT」を運営するNO IDEAが始めた音楽レーベル
「lOW VOl. records」の第一弾がリリースされた。

2009年にオープンし、その独特な切り口と高い審美眼で一躍原宿のアート、カルチャーシーンを牽引する存在となったVACANT(ヴァカント)は、私もよく展示やライヴを観るために訪れる場所だ。かつて私が選曲を担当したファッションブランド「THEATRE PRODUCTS」のショーもここで開催された。VACANTを運営しているNO IDEAのみんなとは、同じ原宿仲間ということで、気さくに付き合わせてもらっている。
年齢は私よりもぐっと若いが、みんな音楽やアートに対する造詣も深く、
会話していて色々な発見があるから愉しい。

そんな彼らが、音楽レーベルを始めるということを聞き、正直耳を疑った。CDというプロダクツが奮わなくなっているこの状況で、いったい彼らは何を思ったのだろう、と。
しかし、話を聞くうちに、それが杞憂であったと分かった。「カセットテープをダビングしていた頃、レコードショップの試聴機でレコードに針を落としていた頃、音楽にはもっと”手触り・質感”があった(レーベルリリースより抜粋)」というように、質感にこだわり、それを実現するために、さまざまな方法をとる、と言うのだ。

レーベルの第1弾は、アルゼンチンのアーティストPablo Malaurie。ウクレレを中心としたシンプルなサウンドに、スペイン語の歌詞が乗るものだ。ライトな編成ながら、じっとりとした熱風のようなその音楽は、こうしたスタイルによく見られる爽やかな印象ではなく、むしろまとわりついて離れない濃密さをたたえている。
蠟で封をした手刷りの封筒の中には、ブグロー『ニンフとサテュロス』をアートワークに採用した小冊子風なものがあり、そこにCDも収められている。一点ずつ手作業で仕上げられるこれらには、作り手の熱気がそっくりそのまま封じ込められているのだ。

これまで築き上げられてきたものが崩れさってしまった今、
こうした、手を使ったもの、愛情を込めたものが世に出る意味は大きい。

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EL FESTIVAL DEL BESO
Pablo Malaurie

レーベル:lOW VOl. records
発売:2011 年4月2日
価格:1,575円

詳細を見る(VACANT):http://vacant.n0idea.com/post/3565204076/low-vol

VACANT、BEAMS RECORDS / BEAMS Online Shopmother (中目黒 直営店)、Utrecht〈ユトレヒト〉にて発売中(2011/4/5現在)

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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