[こと] 舞踊、そして音楽

青真鶴日記 by 青野賢一 2012年2月23日

先日、劇場公開に先駆けて『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』の試写に行ってきた。2009年に亡くなってしまったピナ・バウシュの作品『カフェ・ミュラー』『春の祭典』『フルムーン』『コンタクトホーフ』を軸に、ピナが芸術監督兼振付家を務めていたヴッパタール舞踊団(ドイツ)の団員のインタビューや、劇場以外の場所でのソロパフォーマンス、生前のピナの映像などが展開されるこの映画は、ヴィム・ヴェンダースによる3D技術を駆使した、躍動感溢れる、それでいて、「ノイエタンツ(新舞踊)」の系譜に位置づけられる、踊りに見られる内面性の表現が十二分に引き出された、興味深い作品であった。

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© 2010 NEUE ROAD MOVIES GMBH, EUROWIDE FILM PRODUCTION

その数日後、とあるイベントで「ほうほう堂」とご一緒する機会を得た。ほうほう堂は、身長155cmの女性ダンスデュオ。この日は、短いパフォーマンスと、木下美紗都さんのソロライブの最後の曲で踊ってくれた。彼女たちのパフォーマンスを実際に観たのはこれが初めてだったのだが、とてもキュートな仕草が印象的である。紙飛行機を使ったパフォーマンスは、ダンスの枠組みに囚われないおもしろさもあった。

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思えば、私たち「真っ青」は、こうしたダンスパフォーマンスに縁がある。
昨年10月、横浜中華街の老舗「同發新館」で行われた、ダブルフェイマスと康本雅子さんの公演をはじめ、一昨年の「スペクタクル・イン・ザ・ファーム」での諏訪綾子さん(FOOD CREATION)とのセッションも、料理と音楽、そしてダンスパフォーマンスの要素が加わったものであった(これらは「真っ青」のひとりである山崎真央の尽力に拠るところが大きい)。個人的には、数年前に康本雅子さんのパフォーマンスを目前で観て以来、舞踊により興味が湧いてきており、このようにご一緒出来る機会を持てることが、非常に楽しいのである。

ところで、舞踊のための音楽、ということで思い出されるのはPhilip Glassの『Dance』シリーズや、プリペアドピアノによるJohn Cage『Three Dances』だろうか。
とりわけ後者は、およそピアノの音とは思えないパーカッシヴなサウンドで、ガムランのような印象である。この曲で一体、どんなダンスが繰り広げられたのだろうか。興味は尽きない。

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また、クラシックバレエに使われる曲なども、その演目のために作られたものが散見される。冒頭に書いたピナ・バウシュの『春の祭典』は、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが、ロシアバレエ団のために書き下ろしたもので(1913年に完成)、初演はニジンスキーが振付けを行った。初演時は、音楽だけでなく衣装や振付けに対して、賛同派と非難派に分かれての大乱闘騒ぎになったそうである。

現代では、舞踊のための音楽も、音楽に合わせた舞踊も存在する(後者の方が多いのだろうか?)。「真っ青」も、こうした舞踊と音楽との組合せには積極的に参加していきたいと思っているわけだが、春頃には、ひとつ実現しそうなものがある。それぞれの場所で生み出されたダンスと音楽が、どのように交わり、また、交わらないのか。今からとても楽しみである。

ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

ほうほう堂

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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