[こと] トム・ウェイツ・ナイト

青真鶴日記 by 鶴谷聡平 2011年12月8日

毎回1人のアーティストに焦点を当て、そのアーティストの楽曲やカヴァー曲ばかりかけるという企画をNEWPORTで不定期に開催しています。第1回がニーナ・シモン、次がセルジュ・ゲンズブール、その後がジョニ・ミッチェルと続いて、次回は12月12日にトム・ウェイツ・ナイトです。

massao-11-1.jpg

このシリーズでは、キャリアが長く、独特な音楽性で、時代によって変化があるアーティストを選ぶようにしています。好きな曲はいっぱいあるけど全部は聴いたことがなくて、このために聴き直したり買い足したりして自分にとっても新たな発見があるアーティスト。そして来てくれた人にも驚きを与えられるような選曲ができたらいいなと思っています。

massao-11-2.jpg

ニーナ・シモンは50年代から活躍したジャズ・シンガー/ピアニストで、ブルースやアフリカ音楽からの影響も強く、スタンダードをやっても独特な解釈で完全に自分の色に染め上げてしまうタイプのミュージシャン。”My Baby Just Cares Foe Me” や “See Line Woman” などクラブ・クラシックも沢山あります。ロックやポップスのカヴァーも多いのですが、一番の発見はボブ・マーリィの “No Woman No Cry” のカヴァーでした。これは93年のアルバム『A Single Woman』のリマスター再発盤のボーナス・トラックで聴くことができます。

massao-11-3.jpg

ゲンズブール・ナイトの選曲は真っ青のメンバーでもある青野賢一さんにお願いしました。セルジュ・ゲンズブールといえば、音楽や映画だけでなく生き様そのものでフレンチ・カルチャーを体現した人物。この人も50年代から80年代まで時代によって音楽のスタイルはさまざまです。”Couleur Cafe” や “Melody” などこちらもクラブ・クラシックが多数で、ジャズやラテン、ロックなどを取り入れた作品が最も知られていますが、79年にはジャマイカでスライ&ロビーらとともに本格的なレゲエ・アルバム『Aux Armes Et Caetera』を録音しています。ゲンズブールの中ではこれが最も異色作でしょう。

massao-11-4.jpg

ジョニ・ミッチェルのイメージは、68年のデビューから70年代中頃までのフォーク・シンガー。それとも70年代後半にジャコ・パストリアスやウェイン・ショーターなど一流のジャズ・ミュージシャンを迎えて制作した唯一無二のシンガー・ソングライターでしょうか。前者なら『Blue』、後者なら『Don Juan’s Reckless Daughter(ドンファンのじゃじゃ馬娘)』が有名ですね。でも自分にとっては未知の領域だった80年代や90年代のジョニ・ミッチェルのアルバムが素晴らしくて驚きでした。一段階成熟した感のあるポップス。『Chalk Mark In A Rainstorm』(88年)や『Night Ride Home』(91年)がおすすめです。

massao-11-5.jpg

先日7年振りの新作『Bad As Me』がリリースされたばかりのトム・ウェイツ。久しぶりに初期のアルバムを聴いてみたら、トレードマークのしゃがれ声や変幻自在の声色はまだ鳴りを潜めていて、シンプルにジャズやブルースを基本にした酒場の歌が逆に新鮮でした。
でもやっぱり80年代のアイランドからの3枚のアルバムは別格ですね。この時期の作品は音作りの面でもかなり斬新で今聴いてもすごい。それ以降では、99年の『Mule Variations』の充実振りが光ります。もちろん、最新作からもいろいろとかけるつもりです。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


TUNECORE JAPAN