UKのエレクトロニック新世代 – James Blake

青真鶴日記 by 鶴谷聡平(真っ青) 2011年2月3日

1月某日
もうすぐ出るJames Blakeのアルバムが楽しみでしょうがない。LPとCDを両方予約したなんて生まれて初めてだ。

2010年に聴いた新しいアーティストの中で、僕が最も衝撃を受けたのはJames Blake(ジェームズ・ブレイク)だ。ロンドン在住でまだ22歳という若さ。最初に聴いたのは、「Dubstepシーンから生まれたソウルフルな名曲」というキャプションを見て手に取った10インチ『Limit To Your Love』だった。音数の極端に少ないトラック、色気のあるボーカルと生ピアノ、そして時おり低い所でうねっているベースという組み合わせがあまりに新鮮かつ強烈で、この曲がFeistのカヴァーだとはしばらく気が付かなかったほどだ。

普段はダブステップをフォローしていないので、この時までJames Blakeを知らなかったことが悔やまれるが、彼の作品をチェックしてみると徐々にサウンドが変化してきていることがわかる。ダブステップの本流からすれば随分とエレガントだし、ダークさも全然なく、初めはもっとダンサブルなエレクトロニック・ミュージックだった。R&Bをサンプリングした『CMYK EP』は結構ヒットしたらしい。個人的にはその後の『Klavierwerke EP』が大好きだ。このタイトルはドイツ語だが、英語で言えば”Piano Work EP”ということになる。そう、彼自身が歌ったヴォーカル素材やアコースティック・ピアノを加工し、それをミニマルなダブステップとでも言うべきトラックに落とし込んでいるのだ。こうなるともうダブステップという枠を超え、エレクトロニカやアンビエントとしても聴ける。エレクトロニカ的なダブステップといえば僕はMount Kimbie(マウント・キンビー)を真っ先に思い浮かべるが、実際彼らはBlakeのライブバンドのメンバーとして一緒に演奏もしているそうだ。

昨年4月にPitchforkにアップされたJames Blakeのインタビューによると、彼はD’Angelo(ディアンジェロ)のアルバム『Voodoo』の大ファンで(僕も大ファンだ!)、D’Angeloのように鍵盤を弾きながら歌うのが自分の本当にやりたいことだと発言している。そして、「ピアノを元にした曲をリリースする予定で(※『Klavierwerke EP』を指す)、それはダンス・ミュージックということではなく純粋に美しい音楽を目指している。最終的にヴォーカル・アルバムが出ればすべてわかるだろう。(引用・訳:Pitchfolk:Rising: James Blake)」というようなことも言っている。

そのヴォーカル・アルバムというのが、2月7日(月)にリリース予定の『James Blake』なのだ。例のFeistのカヴァーも収録されている。この原稿を書いている時点では残念ながら他の曲はまだ聴けていないのだが、どんなことになっているのか本当に楽しみだ。

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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