[こと] はじめてのライヴ

青真鶴日記 by 青野賢一 2011年7月28日

7月18日、「真っ青」の3人は浅草に居た。「花やしき」で民家に飛び込みそうなジェットコースターに乗っていたわけでもなく、「神谷バー」で昼間から電気ブランを飲っていたわけでもない。アサヒ・アートスクエアで初のライヴを行なうためだ。

2009年にスタートし、2089年まで開催される「すみだ川アートプロジェクト」の1プログラムとして、蓮沼執太くんが企画したイベント「ミュージック・トゥデイ・アサヒ」。このイベントで「何か真っ青で演ってくれませんか?」という嬉しいオファーを受けた。
共演者の名前を見ると、蓮沼執太、飴屋法水、空間現代、毛利悠子、木下美紗都、南波一海、nukeme、ucnvといった面々。一癖も二癖もあるアーティスト達に混じって、我々は何を成すべきか?という議論を重ねた末、音楽を奏でることにしたのであった(実現しなかったアイディアの中には「3人並んで怪談噺」なんていうものもあったのだが)。

演奏する、と言ってもさまざまな方法があり、どんな音楽を奏でるのかも問題だ。
一般的なバンドであれば、自身のオリジナル曲やカバーが可能だろうけれども、我々は選曲ユニット。その持ち味を活かしてやるパフォーマンスとは一体どんなものだろう?と思索対話逡巡構築破壊を繰り返して、サンプラーとドラムマシンという今や懐かしさすらある機材を軸に、選曲的な味付けをするという方向に落ち着いた。
しかし、なかなかすんなり行かないのが世の常。何度かリハーサルを重ねるうちに、必要なもの、必要でないものが取捨選択され、また30分という演奏時間の中での展開も何度も再考された。何となくイメージが固まったのは、本番の前日であった。

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さて、当日。午前中に会場入りし、機材のセッティングを終えて簡単なサウンドチェックを済ませた私たちは、昼食に鰻を食べ、再び会場に戻った。
開演直後から満席で、かなりの数の観客だ。我々の出番は(初ライヴにも拘らず)トリのふたつ前。衣装に着替え、機材の背後で出番を待った。

そして本番。真央の出すレコードのノイズから始まり、サンプリングしたノイズや中世の声楽曲、ストリングス、レコードやCDの音などを即興で鳴らしてゆく抽象的なパートから徐々に重たいビートが入って、「曲」としての輪郭が見えてくる。
後半はBPMを上げて少しダンサブルに展開し、30分の演奏時間は終わった。

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振り返ってみると、色々反省点はあるものの、自分たちも心地よく感じる瞬間が幾つかあったことは収穫であったし、何より新しいことに立ち向かい、対話をし、共に考えるという機会が得られたのはよかった。

こうした機会を与えてくれた蓮沼くん、衣装を手掛けてくれた高木さん、素晴しいパフォーマンスを披露してくれた共演者の皆さん、そしてわざわざお越しいただいた大勢のお客様には、この場を借りてお礼申し上げたい。

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使用機材:
<真>
Roland TR-808
Technics SL1200MK3+PIONEER CDJ+DJ MIXER
<つ>
AKAI MPC3000
BOSS DD-3、DD-6、RV-5
<青>
AKAI MPC2000XL
Roland SPD-20

撮影:後藤武浩(ゆかい)

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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