蓮沼執太フィル・ニューイヤーコンサート

青真鶴日記 by 山崎真央(真っ青) 2011年1月20日

2011年1月8日
13時30分にvacantに到着。この日は蓮沼執太フィルハーモニック・オーケストラのニューイヤーコンサートが行われた。

僕は開演前のDJとして会場入りした。ライブ前のDJというのは、結構楽しい。始まるまでの会場作りをするために、あげすぎず、さげすぎず、ニュートラルなテンションを保ちながら、ワクワクとした気持ちになるよう緩やかに場内を温めていく。ここで空気を読まずに盛り上げようとしようものならとても寒い思いをしたりもする。僕のDJも少しは何かするかもと期待して来た人にとっては肩透かしを食らったかもしれないが、しかしここで自分のエゴを出してしまうような事は、僕の経験上あまり良かった試しがない。

この日はvacantの雰囲気にあわせて、『パリ・テキサス』のサントラや、金延幸子の『青い魚』やドアーズの『Indian Summer』などのサイケデリックなものと、蓮沼フィルにあわせてマイケル・ホワイトの『The Blessing Song』など、明るめのスピリチュアル・ジャズをかけた。

さて、蓮沼執太フィルハーモニック・オーケストラだが、昨年のスペクタクル・イン・ザ・ファームを通じて知り合ってから彼の音楽を知り、趣味嗜好も合ったので、それ以来とても親しくさせて頂いている。これまでも何度か彼のライブにはお誘いをうけていたのだが、今回ようやく観ることができ、そのセンスや才能に確信を得る事ができた。

ステージは会場の中心に設けられており、お客さんはそれを囲んで観賞する。そして照明は天井からステージ上だけに吊り下げられた裸電球。あとは会場内の照明をそのまま使用していた。ライブが始まるとまずは導入としてHEADZ所属のアーティストで蓮沼フィルのヴォーカリストとしても参加している木下美沙都さんが弾き語りを始める。数曲終えるとそのまま蓮沼フィルのライブに突入していった。この日は昼・夜の2回公演を行ったのだが、これらすべて音楽コンサートとしてはあまりない試みであり、演劇など他の分野の制作からの影響が伺える。これらすべてを蓮沼氏が演出しており、その広い視野とバランス感覚、センスが本当に素晴らしかった。ライブの内容も、9人のメンバーを引率し蓮沼ワールドを展開。窓の無い空間に明るい光が差し込むような爽やかで元気な演奏を繰り広げていった。またサン・ラの『Door Of Cosmos』やテリー・ライリーの 『In C』のカバーに挑戦するあたりも彼の純粋でまっすぐな音楽に対する姿勢がとれ、とても好感が持てた。

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写真:後藤武浩(ゆかい)

こういう大きな視野を持って自らを演出できるアーティストは珍しい。見る事と聴く事対するバランス感覚、今という部分をちゃんと組み込んで自らを創造していくプロデュース能力。新しい世代感。とてもピュアでまっすぐな感性。彼にはこのまま成長していって欲しい。僕も含めてだが上の世代がちゃんとサポートして育てていくことがとても大事だと感じた。
さすれば日本の未来を担う、世界で活躍するアーティストになるに違いない。

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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