選曲と選書

青真鶴日記 by 青野賢一(真っ青) 2011年1月6日

12月某日
ちょうどこの原稿を書く少し前、NEWPORTで行っているイベントの来場者に配布する
ミックスCDの選曲をしていた。

「真っ青な○○ナイト」と銘打ち、毎回テーマに沿った選曲を披露するこのイベント。今回は「真っ青なシネマティックナイト」ということで、サウンドトラックを中心にした音楽をプレイするので、ミックスCDも当然その流れに沿ったものになる。一度、各自が候補曲を持ち寄り、試聴。数日の後、再度流れを考えながら曲を絞り込み、録音、という手順で制作するわけだが、絞り込みをするまでが一苦労だ。あまりさらりとしすぎていても心に残らないし、かといって必要以上にトリッキーでも聴きにくい。ミックスとは言いながらも、それは技術的な意味合いではなく、あくまでも流れをかたち作るための手法なので、必然的に曲のクオリティが重視される。そうしてふるいにかけられた曲たちは、時代を越えて輝くものばかりだと自負しているのだが、聴かれた方はいかがだったろうか。

さて、選曲とは、場所、対象、目的に相応しい音楽を選ぶことである。時としてそれは主役になることもあるが、どちらかというと全体の表現の中のひとつの要素として私は捉えている。先日、中島ノブユキが即興でピアノを奏で(しかもプリペアードピアノ!)女優・馬渕英俚可がリーディングをするというイベントで、この考えに基づき選曲ならぬ選書(選話)を行ったのだが、これは刺激的なものだった。「冬」をテーマに、古今東西の本から話を抜き出して繋ぐ作業は、容易なことではなかったが、結果的には面白い架空のアンソロジーとなったのではないだろうか。会場内は一音、一言も聞き逃すまいというある種異様な緊張感があって、やっている側も背筋の伸びる思いだった。

どう聴かせるか。どう見せるか。どう感じさせるか。選曲や選書は言い換えれば舞台演出のようなものであると私は思う。演じてくれるのはレコードやCD、また本や文章であり、それに新たな息吹を吹き込むために、それらを掘り下げ、理解しようとする。演者が活き活きと演じてくれるような枠組みを組み立て、それを観客に余すところなく伝える。最後に『8 1/2』よろしく大きな輪になれば素晴しい。
「人生は祭りだ!ともに生きよう!」

「真っ青なシネマティックナイト」よりセレクト

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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