真っ青な那須の夜

青真鶴日記 by 山崎真央(真っ青) 2010年12月9日

11月27日、スペクタクル・イン・ザ・ファーム 2010が開催された。ひとつ目の演目、「アメージング学園祭」が終わってすぐ、僕は車で那須を北上した。那須の中でも佇まいが素敵かつ秀逸な老舗旅館”山水閣”にて、”food creation”の諏訪綾子さんによる企画の演目「酩酊ナイトバー」に真っ青で出演するためである。

諏訪さんとは2年前に、パフォーマンス集団”悪魔のしるし”主催の「注文の夥しい料理店」でご一緒させてもらって以来だった。僕の勝手な解釈かもしれないが、諏訪さんは「おいしい」とか「まずい」とか「満腹」などの基準ではない、まったく別の感覚で食を使ってクリエイティブな活動をされているアーティストである。金沢21世紀美術館やラフォーレミュージアム原宿などでの展覧会も記憶に新しい。

今回も諏訪さんが作り上げた内容で、木々がうっそうと生い茂る山の中の旅館を、存在の知れない何者かに化かされたような一夜にするという企画だった。僕たち真っ青の3人は、黒いスーツにボウタイをし、顔には狐や狸に似せたメイクでDJをする。山水閣のスタッフの方々も同じように動物的なメイクをし、何食わぬ顔で通常通りの振る舞いをする。
諏訪さんのアレンジする料理は未知なる刺激を味覚に与え、そこに僕たちが音楽を付ける事によって、まるですべてが夢だったかのように、不思議なおとぎ話の世界に包み込まれる……という内容だった。

時間の経過とともに演出が変わっていき、会場は完全に諏訪さんの魔法にかかっていった。BARタイムには山水閣のスタッフの一人で元々俳優をされていたという方が怪しい獣に扮して奇怪な動きをしながら料理をサーブした。僕たちは事前の打ち合せはあったものの、その場の状況にあわせながらほぼ即興で武満徹や、ジョン・ゾーンやデヴィッド・リンチのサウンド・トラックや、ジミ・テナー、ジェレミー・ダウワー、ムーンドッグ、ガブリエル・ヤレドなどの音楽を、ひとつの素材としてその怪しい一夜に投じていった。

普段から行っている曲を選んでプレイするというアクションが、特別に創造的に感じられた夜だった。

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写真:後藤武浩(ゆかい)

書:華雪
「青真鶴日記」「真っ青」の書は、書家 華雪さんによるものです。
http://www.kasetsu.info/

青真鶴日記 by 真っ青

青真鶴日記(あおまなづるにっき)は、真っ青(山崎真央/鶴谷聡平/青野賢一)の3人がそれぞれのスタイルで音楽を見つめ綴っていく、日記形式の連載です。青→真→鶴(=青真鶴!)の順にリレー形式でお送りします。

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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