魅惑のラテン系リズム”アフロ・キューバン”入門編!/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by 山部三喜男 2012年5月14日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute(MI)と直結した独自のカリキュラムで充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを排出しているMI JAPAN。経験と実力を兼ね備えた講師陣のレッスンが魅力の本校レギュラー講師が、その授業の一部を誌上クリニックとして公開するこのコーナー。今月はMI JAPAN福岡校講師の山部三喜男氏が、アフロ・キューバンについてレクチャーする。日頃、MI JAPANでどのような授業が行われているかを体験しつつ、とりかかってみよう。

はじめに

Hola! みなさん、こんにちは。MI JAPAN福岡校PIT科講師の山部です。今回は、魅惑のラテン系リズム”アフロ・キューバン” の入門編です。

普段ロック系やJ-POPなどの音楽しか演奏しないドラマーにとって、このリズムは馴染みが薄いかもしれませんが、音楽的なインスピレーションや引き出しを広げる格好の素材になりますので、これを機に、ぜひラテン・リズムの豊穣な世界に触れてみてください。

それではLESSON1からいってみましょう! Vamos!

 

【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/山部三喜男

LESSON1

実際のリズム・パターンを紹介する前に、まずは、ラテンのフィーリング(身体感覚もリズムのニュアンスなども全部含めて)を理解するための準備をしてみましょう。多様で奥深いラテン・リズムをこのページ数で伝えるのはかなり難しいですが、ここでは無理を承知の上、ポイントを2つ挙げてみました。これがみなさんにとって何かしらのヒントになれば幸いです。

ポイント1は”身体と心の状態”です。まず、身体の感覚ですが、1番大切なことは”呼吸は深く徹底的にリラックスし、ムダな力(特に肩や首の力)が抜けた状態”でいることです。精神的にはネガティヴでマイナス思考な意識は捨て、情熱的でポジティヴな気持ちを秘めた人になりきりましょう(笑)。

“これだけ?”と、単純なことのように感じる人もいるかと思いますが、意外とみなさんこれができません。マジメな人ほど凝り固まりやすく、かえって力んでしまいがち。力みが本当に抜けてくるようにするには手始めとして、手足の重さを繊細に感じながらムダな力が抜けていることを意識し、実際の練習や演奏を重ねると良いでしょう。最終的にはこれが身体全体と心、両方のリラックスにつながります。つまり!!……逆に言えば、ラテン・リズムを練習していくことは、楽しみながら脱力とリズム感を鍛えるのには最適なのです♪

ポイント2は”シェイカーでオフ・ビート感覚を磨く”です。”振って音を出す”小物パーカッション”シェイカー(下の写真)”を使うのはリズムのフィール、タイミングなどのコントロール力の差が歴然と出るからです。歯切れ良く正確なリズムを出せるかが重要です。シェイカーの振り方自体はここでは省略します。詳しく解説されている動画などを参考にしてください。

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▲写真のように構えて、できるだけ水平に前後に振ってリズムを刻みます。8分音符の場合は均一な音量で、16音符の場合はアクセントを4分アタマと16分の4つ目につけるなどして練習しましょう。

練習方法ですが、Ex-1a〜Ex-1dをご覧ください。

mi_dm_2012_05_score_1

この楽器をただやみくもに振るのではなく、メトロノームを鳴らし、その音がオフ・ビート(ウラ拍)に聴こえるよう、シェイカーをオン・ビート(オモテ拍)で刻んでみましょう。ご存じかと思いますが、シェイカーは基本的に前後に振ることで音を出すので、必ずオン・ビートだけでなくオフ・ビートの音も出ます。そこでシェイカーを後ろに引いたときのオフ・ビートの音が、メトロノームの音にぴったり重なるように振る練習をするわけです。Ex-1aには8分音符、Ex-1b〜Ex-1dには16分音符でシェイカーを振ります。気持ちいいリズムで振れるようになるまで根気良く練習してみてください。メトロノームがオモテ拍になっていないか録音をしてチェックするのも良いでしょう。

LESSON2

一口にラテン・リズムといっても、”種類が多い”、”何やら複雑で難しい”というイメージがある方も多いのではないでしょうか。かなり身体に染み込ませないと演奏はできませんし、ある程度ラテン・リズムに詳しくないとアンサンブルが成立しません。ちょうど言語を覚えるのに似ています。

一般的にラテンのリズムというと、サンバやボサノヴァ、バイオンなどのブラジル音楽のリズムも含まれるかと思いますが、ここで取り上げる”アフロ・キューバン”は、キューバ発祥のマンボやルンバなどを始めとする、サルサ系音楽のパーカッション・リズムを、ドラム・セットに取り入れたタイプのものです。

では、いよいよリズムの話に移りましょう。まずは、ラテン・リズムを語る上で絶対に避けて通れない、クラーベ(Clave)を紹介します。キューバ発祥のダンス音楽のスタイルには、ソン、ルンバ、マンボ、チャチャなど、さまざまな種類がありますが、クラーベとはその全部に共通した中心となっている”鍵”とも呼べる大切なリズムです。クラーベにはいくつか種類があり、ここではその中でも代表的な”ソン・クラーベ(Ex-2a)”と”ルンバ・クラーベ(Ex-2b)”を紹介しておきます。

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この2種類のリズムですが、楽譜的には1ヵ所だけしか違いません。また、それぞれに”3音の小節から2音の小節へ”の繰り返しである”3-2″と呼ばれる基本タイプと(Ex-2a、Ex-2b)、2小節目の2音の小節からがスタートとなる”2-3″と呼ばれるタイプがあります(Ex-2c、Ex-2d)。ちょっとややこしいですね。これより詳しい説明は省略しますので、より深く勉強したい方は専門書をあたってください。

LESSON3

ラテン・リズムを体得していくには、クラーベの上にいくつか同時に別のリズムを演奏していく必要があります。それによって、基本となるクラーベのイメージが強化され深まるからです。

Ex-3は、サルサ系のリズムに欠かせないカスカラのリズムです(譜面は3-2クラーベのカスカラで、2-3クラーベの場合は2小節目から演奏します)。

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カスカラというリズム自体の構造ですが、あまり知られていない興味深い特徴があります。

  1. このリズムを8分音符上にキッチリ並べると、8分音符5個分のフレーズを3回繰り返して+8分音符1個の奇数割りフレーズに見える
  2. 前半の小節も後半の小節も音の数が5個でクラーベの音数と同じ
  3. 後ろから逆に音の位置を見ていくと、アタマからと同じ配列になっている(譜面下の図参照)!

数学的というか、神秘的な感じがしませんか!?

LESSON4

最後に定番のパターンをいくつか簡単に紹介します。先ほどのLESSON3で紹介したカスカラのパターンにサルサのベース・ラインを意識したバス・ドラムや、クラーベのリズムを加えると、アフロ・キューバンの基本型の出来上がりです。まず、Ex-4a〜Ex-4eは、ドラム・セットを使って演奏する典型的なアフロ系リズムです(通常利き手でカスカラのパートを演奏します)。スネアやタムを使った常套パターンを挙げておきます。

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Ex-4a、Ex-4bはクローズド・リム・ショットでクラーベ、Ex-4cはキューバ音楽には欠かせないコンガのパターン、マルチャのアクセントをクローズド・リム・ショットとタム類に、Ex-4d〜Ex-4eはワワンコーと呼ばれるルンバのリズムのコンガのアクセントをタム類に置き換えたパターン。慣れてきたら、どのパターンにもEx-4f〜Ex-4iのフット・ハイハットを加えて練習してみましょう。

最後に

さて、かけ足で説明してきましたが、これらはアフロ・キューバン・リズムのほんの一部です。興味が沸いた方はさらに調べることをお勧めします。今回は触れませんでしたが、ラテン独特のリズムの”訛り”なども面白く、奥深いものがあります。あとはラテン・リズムの醍醐味はやはりアンサンブルです。他の楽器と一緒にリズムを共有して演奏する楽しさは、ちょっと他ではないほど格別です。この講座がラテン・リズムを理解する助けになれば幸いです。それではまた! Ciao!

山部三喜男(やまべ みきお)プロフィールmi_dm_2011_11_instructor

’71生まれ。15歳のときにドラムを始める。10代のうちにロックやポップス、フュージョン等の様々なジャンルのバンドを経験した後、20代に入ってからはホストクラブでのハコバンドで演奏。環境と音楽性に疑問を感じ、ハコを辞めた後は会社務めをしながら音楽活動を続ける。25歳の時に再び始めたハコバンドがきっかけで様々な有名ミュージシャンとセッションする機会を得る。

’98からはMIジャパン福岡校、PIT講師になり現在に至る。福岡内外でライブ活動、レコーディング等を頻繁に行っている。

これまでにライブ等で共演したアーティストは、鈴木茂、中西圭三、有山じゅんじ、木村光輝、田口悌二、浅野孝巳(ゴダイゴ)、森本太郎(ザ・タイガース)、ワガン・ンジャイローズetc・・・

また、セミナーのサポート、セッション等では、櫻井哲夫、キャロル・ロジャーズ、スコットヘンダーソンetc・・・

■本記事について

本記事は『リズム&ドラム・マガジン2012年5月号』掲載のページを転載したものです。

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