フラム・アクセントを使ってフレーズを作る/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by 雑賀泰行 2010年6月11日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute(MI)と直結した独自のカリキュラムで充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを輩出しているMI JAPAN。経験と実力を兼ね備えた講師陣によるレッスンが魅力の本校レギュラー講師が、その授業の一部を誌上クリニックとして公開するこのコーナー。

今月はMI JAPAN東京校で教鞭を執る雑賀泰行講師が、”フラム・アクセント”を元にフレーズ作りのアイディアをレクチャー。日頃、MI JAPANでどのような授業が行われているかを体験しつつ、とりかかってみよう。

はじめに

みなさんこんにちは。MI JAPAN 東京校PIT講師、雑賀泰行です。

ところで、みなさんの中にはルーディメントを練習パッドやスネアの上では練習しているけれど、いったいそれをどのように普段のドラミングに生かしていったら良いのか? 何のためにやっているのか?、と疑問を抱いている方も少なからずいらっしゃると思います。みなさんも、知っているルーディメントはたくさんあると思いますが、今回はルーディメントの1つであるフラム・アクセントに焦点を当てて、それをどうやって発展させてフレーズを作っていくかということをレクチャーしていきたいと思います。

例えば、普段曲を聴いているときに、かっこいいフィルインだなと思ってあらためて耳を傾けてみると、1拍半フレーズだったり、半拍半フレーズだったなんていう経験はありませんか? そういうとき、フラム・アクセントが使われていることが少なくないのです。

今回紹介するように、フラム・アクセントをビートにうまく取り入れて自分のフレーズを増やしてみましょう。では、レッスンを始めていきます。

【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/雑賀泰行♯1

【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/雑賀泰行♯2

※以下の譜面はすべてクリックで拡大できます。

Lesson 1

mi_dm_2010_06_score1

まず最初にEx-1の(1)を見てください。これが基本的なフラム・アクセントの手順になります。まずアクセント記号が入っている音の前に前打音(装飾音符)が1つ入ります。このとき、アクセント音のタイミング(4分音符のアタマのタイミング=1拍目オモテ)に前打音がこないように注意してください。そしてあくまで音量は装飾音符として叩いてください。アクセント音をダウン・ストロークで叩き、その後に続く音符は、アップ・ストローク、タップ・ストロークとなります。

Ex-1の(2)は右からのフラム・アクセントが連続する手順です。右手で装飾音符を叩いた後、左手のアクセント音がすぐにくるので、(装飾音符の前の)左手のアップ・ストロークに注意して、スムーズに叩くことができるよう心がけてみてください。

Lesson 2

mi_dm_2010_06_score2

次にEx-2の(1)、(2)のようにフラム・タップを混ぜてフラム・アクセントを練習しましょう。譜面のようにフラム・タップを3連符に混ぜると、アクセント後の2打目のタップの部分が拍のアタマになる部分が出てきます(4拍目と8拍目のアタマ)。この部分はよりタップ・ストロークの部分を意識して叩くことで、2拍3連の精度アップにも効果があると思います。

また、ルーディメントの練習が少し慣れてきたら、足では何かのリズムを演奏しながら叩いてみるのも良いかもしれません。バス・ドラムやハイハットでの4分の刻みをメトロノーム代わりにしてキープするというよりは、何か他のリズムになっている方が良いように個人的には感じます。

例えばバス・ドラムが4分音符ならハイハットを2、4拍で踏んでみるのも良いかもしれません(Ex-2の(3))。さらに慣れてきた方にはEx-2の(4)のリズムを紹介しておきます。アフロ・キューバンなどで使うリズムと似ていますね。試してみてください。

mi_dm_2010_06_score3-thumb-650x161-22000

次に、16分音符でもやってみましょう(Ex-3の(1)、(2))。16分音符で練習するときにも3連のときと同じように何かオスティナートで踏んでみましょう。サンバ風(Ex-3の(3))とトゥンバオ風を紹介します(Ex-3の(4))。

Lesson 3

少し慣れてきたでしょうか? 次にスネアの上でなくシンバルやタムなどに置き換えてみたり、バス・ドラムを加えてみる例を紹介します!

mi_dm_2010_06_score4

[動画#1] Ex-4:3:08〜

まずEx-4の(1)のフラム・アクセントの譜面を見てください。このうち、ライドの部分(シンバル・マーク)は右手で叩いてみましょう! ライドからスネアに右手が移動するので少し慌ただしく感じるかもしれませんが、腕をあまり動かしすぎず、手首で移動するイメージでやってみると良いかもしれません。

そしてフラム・アクセント後にバス・ドラムを加える方法も紹介します(Ex-4の(2))。これをEx-4の(3)のように16分音符ずつ叩く音楽をズラしていくなど、いろいろやってみてください。また、Ex-4(1)(2)(3)のフレーズですが、スイス・アーミー・トリプレッツ(Ex-4の(4))を意識して叩いてみるのも良いと思います。

mi_dm_2010_06_score5

[動画#1] Ex-5の(1):4:20〜 | Ex-5の(2):5:43〜 | Ex-5の(3):5:56〜 | Ex-5の(4):6:56〜

では次にタム移動してみましょう(Ex-5の(1)/手順はEx-4の(1)と同じ)。左手のアップ・ストロークの後すぐに移動してのアクセントになるので、スネア上だけで叩いていたときよりもさらに素早い移動が必要です。遅れないように注意しましょう! 最後の1拍まで16音符で埋めてありますが、この最後の1拍を何か別のパターンを入れてフィルインのように変えてみるのも面白いと思います。

次にEx-5の(2)を見てください。左手のタップ・ストロークが増えることにより、さらに拍のアタマのアクセントが難しく感じるかもしれませんが、アクセント、ノー・アクセントを叩き分けられるように心がけてください。これを組み合わせたりしていくことで、いろいろアイディアが出てくると思います。

次に手、足を同時に増やしてみましょう。Ex-5の(3)です。この譜面ではバス・ドラムを叩く数が増えています。このように発展させていくと、たくさんのアイディアが生まれます。Ex-5の(4)では総合的にフレーズを作ってみました。バス・ドラムを加えたり、スネアを加えることでとてもフレーズらしくなりました。試してみてください。この章では16分音符や3連符で書きましたが、何音符に当てはめてもかまいません。6連でも32分音符でも5連でもいろいろ試してください!

Lesson 4

Ex-4、5ではタムやシンバルを使ってやってみましたが、次にリズム的なものにも取り組んでみましょう。Ex-4の(1)でも少し触れていますが、 今度は拍のアタマからフラム・アクセントを始めるばかりではなく、少し違う位置からも始めてみるアイディアです。

mi_dm_2010_06_score6

[動画#2] Ex-6の(1)(2):1:19〜 | Ex-6の(3):21:23〜

Ex-6の(1)を見てください。フラム・アクセントが8分のウラの位置から始まっているところがありますね。まずスネアだけでこのフレーズを練習してみてください。○で囲ったフラム・アクセント以外の部分は16分音符で埋めています。その後に次のようにバス・ドラムを加えてみましょう(Ex-6の(2))。慣れてきたら、Ex-6の(3)の2小節目のように、右手がハイハット、左手でスネア、バス・ドラムを加えてやってみてください。

だいぶフレーズらしくなってきたと思いませんか? あくまでここで紹介しているのは1つの例で、16分音符2つ目、4つ目からフラム・アクセントを始めてみるのも面白いですし、バス・ドラムの位置も変えてやってみてください。もちろん右手をライドに変えてやってみるのもありですよ!

Lesson 5

かなり慣れてきたのではないでしょうか? では最後に上記で紹介したものを組み合わせて作ったリズム・パターンを紹介したいと思います。

mi_dm_2010_06_score7

[動画#2] Ex-7の(1):2:43〜 | Ex-7の(2):4:14〜

まずEx-7の(1)を見てください。ここではフラム・アクセントでフレーズを紹介していますが、スイス・アーミー・トリプレッツの手順でやってみると、また違ったフィールになるので良いと思います。重要なのは、はじめに頭の中でルーディメントを思い浮かべておくとうまく叩きやすいということです。このリズム・パターンではこの手順のままタムやフロアなどに右手を移動させるだけで、フィルインっぽくなると思います。左手の動きを聴いてみると、アフリカンのようなリズム・パターンになっていますね。

次にEx-7の(2)を見てください。今度はさらに発展させた4拍フレーズです。足も例として1つパターンを挙げていますが、パターンを変えてみたり、Ex-7の(2)の最後の2拍を何かフィルインで埋めてみるのも面白いと思います。ここから発展させて手のアクセントの位置を変えるのもありですよ!

最後に

みなさんいかがでしたでしょうか? 今回はフラム・アクセントを出発点にして、いろいろ発展させるアイディアを紹介してみました。僕自身、正直ルーディメントは本当に苦手です。ですが、なんとか覚えた手順をこうやってたくさんのフレーズに応用してみるのはとても練習になると思います。難しいスネアのエチュード集でも、どこかには得意な小節があったりするものです。そこから徐々に発展させていくのも1つの方法だと思います。

今回ここで紹介させていただいたのは、ほんの一部ですが、みなさんのアイディアの参考になれば幸いです。ぜひ自分で作ったオリジナルのパターンなどをどんどん音楽の上で試してみてください!

雑賀泰行 プロフィール

pit_saigaESPミュージカルアカデミー卒業後、藤木直人のツアーにサポートドラマー として参加。以後、加藤和樹、Kengo、金子貴俊、イ・チュンヒ、PAI×2、THE BIBIAN etc…のTour、Live、Recに参加。 2005年よりMI JAPAN東京校の講師も勤め、近年はセッション活動にも力を入れている。

■この記事について

本記事は、『リズム&ドラム・マガジン2010年6月号』掲載のページを転載したものです。

→『リズム&ドラム・マガジン2010年6月号』の詳細を見る

MI JAPAN OPEN HOUSE:3誌連動・動画クリニック

mijapan-footerlogo.jpg

MI Japanは、ハリウッドにある世界最大級の音楽学校MI(MUSICIANS INSTITUTE)の日本校として、全国6ヵ所に拠点を置くミュージシャン養成機関。

MI JAPAN各校の詳細はmusicschool-navi.jpで!

OPEN HOUSEロゴ

MI Japanのプログラムを1日に凝縮した体験レッスンのこと。レギュラー講師によるクリニックなどにも,レベルを問わず誰でも参加可能。参加には予約が必要。スケジュールなどは、http://www.mi-japan.com/event/open-house.htmlでチェック!

3誌連動動画クリニックに登場した講師陣のプロフィールはこちら

TUNECORE JAPAN