欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVEレト』。16回目はジョーダン・スパークスの2007年のデビューアルバム『ジョーダン・スパークス』収録の「タトゥー」。アメリカン・アイドル第6シーズンで優勝した彼女は当時17歳。今でも彼女の最年少優勝記録は破られていないわ。
「Tattoo」by Jordin Sparks
愛する人と離れても「You’re on my heart just like a tattoo, I’ll always have you」(あなたはタトゥーのようにこの心に刻まれているの、これからもずっと一緒よ)と歌っている曲。失恋の曲と捉える人が多いと思うけど、ジョーダン自身はあるインタビューでこう言っているわ。
“Tattoo’s a song that can go so many different ways. Some people think of it as a break-up song, but, for me, it’s about somebody who comes into your life and really touches you – be they a friend, a family member or someone you’re in a relationship with. You know, with that kind of person, you can’t just erase them from your memory if things go wrong. They’re stuck there like a tattoo.”
「この曲は色んな解釈ができるけど、私にとっては人生に登場して心を動かされる人のこと。友達、家族、恋人など誰でも。つながりが途切れても、そういう人は記憶から消し去ることはムリ。タトゥーのように心に刻み込まれるのよ。」
それを踏まえて歌詞を見てみると……
I can’t waste time, so give it a moment
(時間を無駄にできないから、一瞬だけ考えてみるの)
I realize nothing’s broken
(何も壊れてないって実感してるわ)
Don’t look back, got a new direction
(もう振り返らない、今後の生き方も決めたの
I loved you once, needed protection
(確かに愛していたわ、守ってくれる人が欲しかったから)
You’re still a part of everything I do
(今でも自分の行動の一部になっているの)
You’re on my heart just like a tattoo
(タトゥーのようにこの心に刻まれているの)
過去を消し去るのではなく、それも自分の一部と捉えて、前に進もうとしている主人公。更に「I can’t waste time〜」から始まるパートの最後の単語が2行ごとにしっかりと押韻しているの。早口で歌っているけど、要所要所でちゃんと韻を踏んでいるから言葉がもたつかないわけ。
特に「The truth is a stranger, soul is in danger」と「When I looked in the mirror, didn’t deliver」は秀逸ね。このメロディ途中の押韻2回と前後の早口の歌詞が相乗効果を生んで歌詞の情景を際立たせているの。
ジョーダンはaccentuationもしっかりしているシンガーなので、このテンポで、この早口で、この歌詞をしっかり歌えるようになると、英語の発音が上達すること必至よ。
中山美樹(Miki Nakayama)