LOVE8:横恋慕もここまで元気だと……

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2013/06/01

欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVE レト』。8回目はアヴリル・ラヴィーンの2007年リリースの3rdアルバム『ベスト・ダム・シング』からカットされたファーストシングル「ガールフレンド」。スペイン語、ポルトガル語、中国語(北京語)、日本語、イタリア語、ドイツ語、フランス語の7カ国語バージョンがリリースされて話題になったわね。

 

「Girlfriend」by Avril Lavigne

はい、この曲は完全に横恋慕(loving someone attached to another)の歌よ(笑)。でもね、ここまで元気に「I don’t like your girlfriend」(アンタのカノジョ、嫌いなの)とか「I know that you like me」(私のこと好きだって分かっているわよ)とか「I wanna be your girlfriend」(アンタのカノジョになりたいの)って言われたら、男の子は困惑しながらも心が揺れちゃうわよね。

 

通常girlfriendやboyfriendは「カノジョ」「カレシ」という意味で使われるので、単なる女友達の場合は普通に「friend」もしくは「female friend」、男友達の場合は「friend」もしくは「male friend」を使ってね。日本と違って未婚で出産しても法律が嫡出子/非嫡出子なんてくだらない区別と法的差別をしない国が西洋には多いので、たとえ男性が「I have a kid with my old girlfriend」(昔のカノジョとの間に子供がいるんだ)と言っても、必ずしも女を孕ませて逃げた悪いヤツじゃないわけ。

 

この「Girlfriend」は歌詞がシンプルな上に勢いでグイグイ押すタイプの曲なので、強いて面白い表現を挙げるなら「She’s like so whatever」(あの子って全然フツーじゃん)かしら。「whatever」は会話の最中に相手の言葉を聞き流したり、面倒だから無視したりするときによく使うの。意味は「はいはい」とか「どうでもいいや」とか「もう、いいから」とか。明らかに相手への関心ゼロという状態を表すので、この歌詞でもそんな状況で使う「whatever」を形容詞的に使い、更に強調の「so」(非常に)までくっつけて「人の興味を全然引かない、つまんない子」と毒を吐いているのよ。まあ、10代の恋にありがちな辛辣さとも言えるわね。

 

巷では以前「ただしイケメンに限る」という面白おかしい言葉が流行ったけど、この曲のMVように横恋慕→略奪成功になるのは「ただし(アヴリル並みに)可愛い子に限る」という限定が付いちゃうかも(笑)。

 

とは言え、「I’m damn precious」(私はメチャ高価よ)とか「I’m mother fucking princess(絶世のプリンセスよ)みたいに自信を持つのは大事なこと。世の女の子たち、damnやmother fuckingは蓮っ葉な印象を与えるから使うときには気をつけて欲しいけど、自分に自信を持って恋を勝ち取って♪

 

 

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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