サイトを作るときに決めなきゃいけないことの一つが、「URL」だ。バンドのPRのためにサイトを作るんだから、URLは覚えやすい&伝えやすいのが一番だ。これは地味~に大事なこと。
URLを呪文にしてはいけない。
みんなーっ、今日は僕たち「超ひも理論」のライブに来てくれてありがとう! 今後のスケジュールは僕らのサイトを見てくれ!
URLは……
http://band.example.com/band/name/31415926535989793238462643383279
だぜ!!
だぜ、じゃないよ!
「エイチティーティーピーコロン(略)ビーエーエヌディー、イーエックスエーエムピーエルイー、ドットコム、スラッシュ、(略)スラッシュ、サンイチヨンイチゴーキューニーロク……」
お客さんはこの時間にドリンクを買いに行くだろう。そんな呪文みたいな長いURL……っていうか円周率の小数点以下30桁なんて覚えないし! フライヤーに書いてあっても、見ながら打ち込むのめんどくさい。そもそもまず自分が覚えられない。URLが長くなればなるほど、ファンの気持ちも離れ、メンバーの気持ちも萎え……これはかっこ悪いと僕は思うな。
というわけで今回はURLを考えよう。
考えるにあたって、君のバンド「超ひも理論」をアルファベットで表す必要があるね。英語だと「superstring theory」か……な、なんかちょっとかっこいいな……。ただ、日本人には覚えにくいかもしれないね。いっそ「cho himo riron」とかの方が、覚えてもらいやすいかもしれない。
「なんかポップでイカすからcho himo rironがいい!」って?
よし、じゃあこっちにしよう。そういうの大事。
これをURLに入れるとすると、大きく分けて2つのパターンが考えられるんだ。
cho himo rironをURLに入れた例
- シンプルにアタマに入れる
http://cho-himo-riron.com - 入れられるところに入れる
http://example.com/cho-himo-riron
http://cho-himo-riron.example.com
※半角スペースはURLに加えられないから、-(ハイフン)で結んだ。
この2つの違いは、ものすっっごく簡単かつ乱暴に言うと「余計な文字がついてないか、ついてるか」だ。
上の01は.com(ドットコム)の前にcho-himo-rironが入ってる。これがURLとしては最もシンプルなかたちだ。そしてこの“cho-himo-riron”の部分のことを「ドメイン」って呼ぶ。
余計な文字がついてないほうは「独自ドメイン」。独自ってだけあって自分で決められるが、取得にはお金がかかる。
で、余計な文字がついてるほうは「サービスのドメインを間借りする」。これはたいていの場合、無料だ。
本当はこういう風にバンド名を入れられないような場合もあったりするんだけど、とにかく今はこうとらえてくれ。
- シンプルにアタマに入れる=独自ドメイン=有料
http://cho-himo-riron.com - 入れられるところに入れる=サービスのドメインを間借りする=たいてい無料
http://example.com/cho-himo-riron
http://cho-himo-riron.example.com
今は住所を考えてるところ。この先“土地”と“家”も必要だ
ただし注意点がひとつある。URLってのは“住所”だってこと。だから現時点ではまだ土地も手に入ってないし、家も建ってないって段階にいるんだ。“土地”はサイトのスペース、“家”はサイトそのものってイメージだ。
02の「サービスのドメインを間借りする」場合、URLに余計なものが付く代わりに“土地”も一緒に借りられることが多い。“家”を建てるのもサービスの一部に入っていて、用意されたデザインから選んでいけば即完成! ってものもある。
それに対して「独自ドメイン」の場合は、“土地”を借りる必要もあるんだ。ここにも有料・無料があるから、詳しくは次回話そう。
独自ドメインがおすすめ。だけどその辺は話し合ってくれ
でも僕は1個目の独自ドメインがいいと思ってる。もちろん無料でも、工夫次第でURLの余計な部分を最小限にすることはできる。けれど、“どっちが人に伝えやすいか”って考えたら、断然シンプルなほうだろ?
「有料ってのはそれなりの金額を払って、それなりに大変じゃないの?」だって? いや、そうでもないさ。安いところだと年間1,000円くらいで作れるし、サイトの中身だって簡単に作る方法はいくらでもある。
……が、お金を払うにあたって、親やバンドメンバーにはしっかり相談してくれよ。
なにかトラブルが起こったときにも備えてね。
メンバーはもしかしたら「えー? 金かかるの!? 無料でいいじゃーん!!!」って言ってくるかもしれない。そんなヤツには、「どっちがよりバンドのイメージを伝えやすい?」と言って、下の表を見せてやれ。
それでもいろんな事情でお金は出せない……、ってことなら無料でももちろんまったく問題ない。ま、とにかく話し合いは必要ってこと。
でもきみのテンションがあんまりにも下がっちゃうような妥協はサイト作りストップの大きな原因だから、納得できるところに着地させられるよう、話してくれよ。
01.独自ドメイン | 02.サービスのドメインを間借りする | |
---|---|---|
URLの例 | ○○.com ○○.jp 「○○」の部分が自由に設定できる(すでに同じドメインがなければ) |
各サービスのドメインで、/(スラッシュ)以下やサブドメイン(●●.○○.jpの●部分)が任意で決められる |
金額 | 1年に1,000円程度~ | たいてい無料 |
メリット | URLが長くならない サイトのスペースを借りて作ることになるので、サイトのデザインが自由 |
タダ 多くの場合、URLと一緒にWebサイトのスペースも確保できる |
デメリット | お金がかかる 設定に細かい知識が必要な点がある Webサイトのスペースは別途借りる必要がある |
URLの自由度が低く、長くなりがち ページ内に自動で広告が表示されたり、サービスのロゴが表示されたりする |
独自ドメインを決めたら実際にURLを打ち込んでみよう
これも取得する前に確認してほしいんだけど、URLが住所と一緒ってことはさっきも言ったよね。ということは、もしかしたら「このURLがいい!」って思ってもすでにそれが別の人のものだったりするかもしれない。そこで、実際にネットでURLを打ち込んでみよう。こんなページが表示されたら、おめでとう。そのURLに住人はいない!
というわけで、次からは独自ドメインを取った場合に必要な「土地」、つまりサイトのスペース確保の方法を教えるぞ。
ギークくん

埼玉県の公立高校1年生。重度のパソコン/ネット・オタクで、体育の時間でもデジタル・ガジェットを手放さず、放課後は速攻で帰り自宅のPC部屋にこもって日々ネットの世界に没入している。プログラミングなんかもできるようだが詳しいことは不明。学校内ではその特徴的な外見から畏敬の目で見られているが、守備範囲の質問には1聞くと1,000答えてくれる親切さも持つ。また1,000答えている間に相手が逃げたり眠ってしまったりするとすねてしまう。「ギークくん」は同級生が付けたあだ名で、本人はそんな呼ばれ方をしていることに気づいていない。
バンドマンの相談者とは幼馴染で、いろいろなことに首を突っ込んではやっかいごとをつれてくる相談者に半ば呆れている。
相談者

ギークくんの幼馴染でクラスメイト、そしてバンド「超ひも理論」のボーカル。高校で組んだバンドが着実にステップ・アップし、最近ではオリジナル曲でライブハウスのイベントに出るなど本格的に活動し始めている。そんな中、そろそろバンドのウェブサイトを作らなければ……という話になり、「よくネットをしていてパソコンにも詳しいっぽい」というだけの理由でサイト作りをメンバーに命じられてしまった。頼まれると断れない性格のためそれを引き受けてしまうも、何から手を付けていいかわからずギークくんにヘルプを求めるメールを送信し、今回の話に至る。
香山哲

漫画家。自分で作った「第1回ドグマ出版漫画賞」を受賞してデビュー。好きなサイザーはシンセサイザー。近作に書籍『ランチパックの本』、ゲーム「利子20階」、漫画「香山哲のファウスト」など。