難しいベース・ラインを簡略化!

MI JAPANベース・クリニック by 大西慶人 2014年3月19日

 全国のベーシストの皆さん、こんにちは。今回のお題は“ベース・ラインの簡略化”です。ライヴが迫っているのに細部を覚えきれなかったり、今の実力では到底弾けないようなフレーズに出会ったことはありませんか? そんなときは、弾けるレベルに差し替えちゃえばいいんです! 変に省略して楽曲を壊してしまうのはマズイので、ここでは雰囲気を損なわずに簡略化する方法を紹介します。例え“なんちゃって”でも、1曲を通して弾けると楽しくなるもの。それで練習時間が増えて上達できれば、良いこと尽くしだと思いませんか?

Part 1 ビートの核は“2拍目の最後”にあり!

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ベース・ラインを簡略化する際に重要なのは、いかに曲の特徴を掴むかで、最大の特徴とはリズム・パターンがどうなっているのか。もっとザックリ言うと、“何ビートなのか?”ということです。これを見分けるには、“2拍目の一番最後が何音符なのか?”に注目。世のなかにはいろいろなベース・ラインが無限と言えるほどにあるので断言はできませんが、これが8分音符なら8ビート、16分音符なら16ビートと考えればOKです。そして簡略化するときにも、この音符をオリジナルと同じにすれば、かなりの確率で似た雰囲気(ビート感)を保つことができるのです。
それでは実験してみましょう。下の譜例はどちらも1小節がオリジナル、2小節が簡略化したフレーズです。まず8ビートは、オリジナルでは8分音符が2個連続していた1拍目を4分音符にまとめて、同様に4拍目もカット。最も重要な2拍目の最後はそのまま残し、3拍目のアタマもこのまま使います。これでビート感を残したままシンプルになりましたが、もし2拍目ウラをカットしていたら、失速したような冴えない印象を与えてしまいますよね。次の16ビートも、同じように1拍目を4分音符にまとめて4拍目をカット。重要な2拍目最後の16分音符と、3拍目アタマはそのままで簡略化してみました。こちらも16ビートらしさを残したまま、シンプルになったのがわかるはずです。
簡略化したふたつのフレーズ同士を比べてみると、違いはただひとつ、2拍目ウラだけなのです。そして、このフレーズだけを繰り返しループさせて弾くと、バスドラのパターンのようにも聴こえませんか? これならかなり簡略化しても、ドラムとうまくリンクするはずです。

Part 2 実践! フレーズ簡略化&差し替え術

Ex-1:8ビート

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Ex-1では1小節前半に加えて、3拍目の8分×2個から4拍目アタマにかけてのタイまでをオリジナルから流用。4拍目ウラの連続した16分の装飾音は細かいのでコードC7のルート1音に省略し、比較的シンプルな2小節もオリジナルと同じにしています。3小節4拍目では見慣れないコードが出てきますが “dim=ディミニッシュって何だ?”というときも焦らず、ルート音だけを使って簡略化しちゃいましょう(笑)。これで1〜3小節のリズムが同じになりましたが、ここまで来たらいっそ4小節も揃えてしまいます。2拍目ウラ&4拍目ウラのA音はどちらもコードの5thをセレクトしていますが、5thの音程はメジャー/マイナーの両コードに含まれていたりと、うまく使えると簡略化の幅が広がります。

Ex-2:8ビート+8分クイ

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クイというのは、伸ばした音符やコード・チェンジが小節をまたぐことを指し、疾走感を出すために使われる手法。Ex-2の1〜2小節、また3〜4小節にかけてタイでつながっていますが、この8分クイを無視してはほかのパートとズレてしまうので、簡略化するにもコレだけは守らなければいけません。このEx-2は音程が細かく上下に動いているので、基本パターン自体をルート弾きに変えてしまいましょう。まずは1小節3拍目ウラをルートのD音に置き替え、4拍目ウラのB♭音はクイを生かすために残します。3小節から4小節アタマにかけては至るところでタイが使われていますが、ここはリズムが取りやすいように、すべて8分音符で埋めてしまいます。4小節前半もルート弾きにしていますが、4小節というのはフレーズがひと区切りする場所。その演出のためにも、後半だけはオリジナルのままにしてみました。

Ex-3:16ビート

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16ビートのフレーズは、言わずもがなリズミカルなプレイが求められます。そういう意味でも各小節の1拍目にあるパターンは特徴的なので、簡略化するにもオリジナルを生かしたいところ。同じく各小節の2拍目は、“ンツタタ”とゴーストノートが入り難しいので、ここは大胆に2拍目の最後だけをピックアップして、ルート音に変えてしまいましょう。1〜3小節の3拍目はゴーストノートが入った“タツタン”というパターンですが、ここはスタッカートに置き換えて、歯切れの良さを残します。オリジナルの各小節4拍目は、いずれも次の小節に向かう“つなぎ”として細かい音符が並んでいますが、ここも省略して3拍目ウラからタイで伸ばしっぱなしに。これによってドッシリした安定感が得られますが、4小節の後半だけは、コード・チェンジがあるので1拍ずつ確実に弾かないといけませんね。

Ex-4:16ビートのバラード

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バラード系は簡略化時にも、いかにスムーズに流れるラインにできるかがポイント。1小節アタマはもちろんそのままで、2拍目は最後の音だけをピックアップしましたが、このE音は続く3拍目アタマの半音上に当たり、隣接した半音の動きがラインをキレイにしてくれます(半音下も含めて“アプローチ・ノート”と言います)。4拍目の最後ほか、以降も半音の動きを多用していることに注目してください。2小節はオリジナルがややこしいので1小節のリズムを踏襲しつつ、4拍目の2音はE7のコード・トーンからルートと3rd(それぞれEとG#)をセレクト。この3rdのチョイスにもアプローチ・ノートとしての狙いを込めています。そしてオリジナルでは3小節の前半と後半、4小節前半は同じリズムになっているので、ここは簡略化しても揃えたいところ。というわけで1拍目アタマの4分音符と2拍目最後の16分音符だけを残し、各コードに添うように配置していきますが、これにはラインをシンプルにしたぶん、A→G#→F#→という下降の動きをはっきり見せられるメリットもあります。節目の4小節は少し動きをつけたいので、4拍目はもとのリズミカルな印象をスタッカートで再現。こういうバラード系は雰囲気を出すのが難しいジャンルですが、フレーズを簡略化したら、そのぶんピッキングや音色、音の長さに気を配ってみるのもいいでしょう。

今回紹介した簡略化は役に立つテクニックですが、これで曲が完成するわけではありません。簡略化バージョンで1曲を通して弾けるようになってから、改めて弾けない箇所だけピックアップして、“ゆっくり”練習してみてください。楽しく練習できれば楽器に触れる時間も自然と増え、結果的に目標達成が早まることでしょう。

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2014年3月号』掲載のページを転載したものです。

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