ジャム・セッションをとことん楽しむ!

MI JAPANベース・クリニック by Zunny 2014年5月19日

 春は新しい出会いの季節。それはミュージシャンにとっても同じで、新しい環境になればさまざまな出会いが待っているはず。サラリーマンなら名刺の交換、合コンなら自己紹介、そしてミュージシャンは……“ジャム・セッション”でしょう! 初めて会ったミュージシャン同士のコミュニケーションやライヴハウスでの集まり、そしてバンドで曲を作ったり、曲のイメージを固めるためにもしばしば行なわれるジャム・セッション。これを楽しみながら、自身のステップアップを目指しましょう!

ジャム・セッションに挑戦してみよう!

ジャム・セッションって何だ!?

そもそもジャム・セッションとは、簡単な取り決めのみで、“せーの!”でバンド演奏する音楽形態のことで、多くの場合は“ジャム”、あるいは単に“セッション”などと省略されることも多いです。ときにはジャズのスタンダードやブルース、超有名な定番ポップスやロックなど、誰でも知っているような曲を(事前に練習したりせずに)演奏することもあれば、その場で曲調やキー、コード進行、リフ(またはコードに合わせた簡単なフレーズ)などを決めただけで、そのまま始めることもあります。ここでは後者のような、その場の簡単な取り決めに従って演奏する場合について、その方法や演奏の展開の仕方、楽しみ方を解説していきましょう。

なお今回のセミナーは、ギター・マガジン&ドラム・マガジンと3誌連動でお届けしており、動画では、その編成で行なったセッションを紹介しています。内容を理解したらメンバーにも声をかけて、ぜひ一緒にセッションを楽しんでみてください。

セッションの基本を確認!

140819-mibm-5-1

上の進行表は、今回のセッションにあたってギタリストのマグノ氏(MI福岡校 GIT科講師)が持ってきてくれた素材をメモに起こしたものです。現場にはもちろん楽譜などないので、本来は口頭でリフやコード進行の説明を受けただけで演奏を始めることになります。お題は“12小節の変形ブルースのような3コードの曲”で、BPMは♩=125。そのほかの取り決めは“テーマを2回し→3人のメンバーのソロ回し(アドリブ)→後テーマを2回し→エンディング(終わり方も簡単に確認しました)”といった構成などで、これ以外の細かな指定はありません。

まず、ここで言うテーマとはメモに載っている12小節ぶんのことで、最初の2小節に決まったリフがあり、これを8小節まで4回ぶん繰り返します。そして9&10小節はリズムのキメ、11小節にリフの一部を弾いて、最後にまたキメという構成になっています。この12小節を延々と繰り返すわけですが、最初と最後のテーマ2回しぶんに関しては、指定のフレーズを演奏します。そしてソロ回しについては、各ソリストのインスピレーションと周囲の演奏に従って臨機応変に変化させていくことが求められ、最初から最後まで同じことを弾いていればいいというわけではありません。これこそがジャム・セッションのおもしろさ、そして難しさでもあり、同じモチーフ(=テーマ)を使って演奏しても、共演するミュージシャンの演奏やアイディアなどの影響で、楽曲は毎回違ったものになってくるのです。

それでは、ここからは各セクションにおけるアプローチの例をチェックしながら、どのようにセッションを楽しむべきかを見て行きましょう。なお、アンサンブルに焦点を当てているので、ベース・ソロについては割愛しています。

Ex-1&2:テーマにおけるアプローチ

140819-mibm-5-2

140819-mibm-5-2

まずテーマの演奏ですが、最初はEx-1のように、指定どおりに弾いてみましょう。このセッションにリスナーがいるとしたら、多くの場合、彼らにとっては初めて聴く曲であり、どんな曲なのかをしっかり紹介してあげる必要がありますからね。そのうえで、2回し目には少し変化を加えたアプローチを入れてみるのもいいでしょう。最初の2小節フレーズに関しては変える必要はないので、ここではEx-2のように、9小節以降のキメに多少の色づけをしてみました。指定どおりに弾いたEx-1ではただの伸ばしになっている3拍目以降の部分に、プチ自己主張ともいえる軽めのオブリを入れていますが、演奏はまだテーマ内なので、この場合あまり大きな変化はつけないほうが無難です。指定されたリズムのキメを壊さない範囲でさりげなく、カッコよくオブリを入れるのが良いでしょう。

Ex-3:ソロ前半のアプローチ

140819-mibm-5-4

ソロ中のアプローチは実にさまざまな方法があり、これがセッションにおいて最も難しいところです。“必ずしもこうでなくてはならない”という決まりがあるわけではないのですが、事前の取り決め以上の約束ごとがない以上は、最も多用される手法=セオリーを知っておくことが大切ですよね。それは、“ソロの頭はストンと落として演奏にメリハリをつける”ということ。ソロの順番(ソロオーダーなどと呼ばれます)はさまざまですが、通常はギターやキーボード、サックスなどのメロディ楽器から始まることが多いです。今回のようなギター、ベース、ドラムの編成ではギター・ソロが最初ですが、すでにテーマ2回しぶんの演奏で場を盛り上げたあとですし、バッキングをおとなしめにしてソリストの演奏を目立たせる必要があります。というわけで、ここでは最初の2小節フレーズに手を加えていきましょう。具体的にはEx-3のように、右手のタッチで音量を控えめにしながら、スタッカート気味のタイトな演奏にして、ドラムとうまく溶け合うようなアプローチを目指してみました。繰り返しの2セット目では最後にハンマリングを入れて、フレーズの細かなフックにしています。

Ex-4:ソロ後半のアプローチ

140819-mibm-5-5

ソロ後半にもなれば演奏は次第にヒートアップしていき、音量もマックスに近づきます。注意深くソロを聴いていれば、どこで盛り上げたいのかがわかりますし、つられてドラムの演奏(さらに他パートのメンバーがいる場合は彼らの演奏)も徐々に激しくなってきます。このサインを見逃さずに、全員でソリストの演奏を盛り上げましょう! ときには自分からそのきっかけを作ってみるべきですし、それにはEx-4のように、和音をうまく混ぜて演奏に華やかさを加えてみるのもいいでしょう。このセッションで使われているコードは、すべて♯9thを使った7th系コードなので、ここでは3rdと7thの音をアクセントにしたアプローチを選んでいます。

ドラム・ソロ中のアプローチ

各パートのソロのなかでも、ドラム・ソロに対するアプローチは特殊です。たいていの場合は、完全にタセット(tacet=音を弾かない)することが多いのですが、同じくらいの割合で、小節の頭だけを弾く方法も役に立ちます。こういったセッションであれば2小節に一回、または4小節に一回のタイミングで、そのときのコードのルート音を弾くというのが良いでしょう。短く“ダッ!”と弾くこともあれば、4分あるいは8分音符の長さで“ドゥ〜ン”とグリス・ダウンする方法もあります。

後テーマのアプローチ

後テーマの場合は、その曲調に合ったアプローチであれば、わりと砕けた演奏をすることも多いものです。その際も、決められたフレーズだけはきっちり弾いたほうがカッコいいのは言うまでもありません。遊びを入れるのであれば、テーマ後半のリズムのキメ部分が望ましいでしょう。

まとめ

オーソドックスなセッションの流れを説明してきましたが、どうでしたか? 一番良くないのは誰もがイニシアチブを取らず、妙な譲り合い精神で、ただコードを回してるだけの状態です。ジャム・セッションとは“自由”を楽しむもので、反面で各々が演奏の方法や構成、曲調のメリハリ、他プレイヤーの演奏などに神経を尖らせていないと、ダラダラしたつまらない内容になってしまいます。最初からうまくやるのは難しいかもしれませんが、とにかく怖がらずに演奏してまわりの音を聴き、自分を主張すること。回数を重ねていくうちに、とても気持ち良く演奏できる瞬間がきっと訪れるはずです。

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2014年5月号』掲載のページを転載したものです。

MI JAPAN OPEN HOUSE:3誌連動・動画クリニック

mijapan-footerlogo.jpg

MI Japanは、ハリウッドにある世界最大級の音楽学校MI(MUSICIANS INSTITUTE)の日本校として、全国6ヵ所に拠点を置くミュージシャン養成機関。

MI JAPAN各校の詳細はmusicschool-navi.jpで!

OPEN HOUSEロゴ

MI Japanのプログラムを1日に凝縮した体験レッスンのこと。レギュラー講師によるクリニックなどにも,レベルを問わず誰でも参加可能。参加には予約が必要。スケジュールなどは、http://www.mi-japan.com/event/open-house.htmlでチェック!

3誌連動動画クリニックに登場した講師陣のプロフィールはこちら

TUNECORE JAPAN