みんながウクレレを弾いたら、世界はもっと良い場所になるはず!~ジェイク・シマブクロ、新アルバム『アイ・ラヴ・ウクレレ』を語る。(後編)

インタビュー by 取材:ウクレレ・マガジン編集部/通訳:大石千枝/写真:Danny Clinch 2010年8月23日

ジェイク・シマブクロへのインタビュー、後編は『アイ・ラヴ・ウクレレ』収録曲について、そして本作で登場した新しいウクレレ「バフィー3」についても語ってもらった。

インタビュー前編
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●ウクレレのことは熟知されていると思いますが、ジェイクにとって良いギターをセレクトする時の基準は?

○まず弾きやすいという感覚だったり、自分に合っているかだと思います。楽器が自分に話しかけてくる瞬間があって。どんな楽器も一緒に演奏しているという感覚が大事です。ウクレレに関しても、カマカから新しいウクレレをもらう時、今まで使ってきたウクレレとお別れするのがすごく難しくて、今回のツアーは今までメインで使ってきたものを持ってきました。

●新作でバフィー3とクレジットされているウクレレが、新しいカマカなんですか(注:ジェイクは海外ドラマ『Buffy the Vampire Slayer』のファンで愛用ウクレレにバフィーと名付けている)?

○そうです。音も素晴らしくて大好きなんですけど、この1年間は、今までメインでやってきたバフィー2で頑張ろうと思っています。新しい楽器とまた関係を築くのは時間がかかるんです。相手のことをイチから知らないといけないので。このバフィー2は、すべてを知り尽くしていて、どこでいい音を出せるかなど全部把握しているので、お別れは寂しいんですよ。

●バフィー3の相違点は?

○製作してくれたケイシー・カマカが言うには、ブレイシングが違っていたり、サウンドボード(トップ材)が安定しているそうです。ツアーに持っていくので天気や標高が変わったり、その地域ごとバラバラなので強いサウンドボードが必要なんです。
ケイシーはいつも革新的で新しいウクレレ製作を続けています。技術的なことはわからないんだけど、彼が作る楽器が大好きなんです。ケイシーのウクレレで一番気に入っているところは、音色の幅が広くて、ウクレレ、ギター、ハープ、琴、三線みたいにそれぞれの音が出せるところです。まるでスタインウェイのコンサート・ピアノのように、どの指で鍵盤を押さえるかによって音が違うみたいなところがあって。どの指で押さえるか、右手の当たる角度によってとかで、楽器が違う反応をするので、その分だけ自分の表現が広がるんです。楽器はそうあるべきだと思いますね。

●なるほど。いつかバフィー3も見てみたいですね。さて、『YEAH.』に収録した3曲を再アレンジして収録した経緯を教えて下さい。

○曲は進化していくもので、今、自分の頭に聴こえてくるこれらの曲が、作った時と違うという思いがあって再録しました。曲が進化することは自分にとってすごく大事なんです。甥っ子や姪っ子と同じような感覚で、久しぶりに会うとすごく成長していたりして。5年とか10年前に録ったものと今のものを聴き比べるのは、他のアーティストの曲でも好きで、ライブ・バージョンや新しいバージョンだとまるで違う曲に感じる、その感覚がすごく好きなんです。どちらかがより良いとかではなくて、時間とともに成長していく過程が楽しいので。

●今回のカバー曲はクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」とジェフ・バックリー(レナード・コーエン作曲)の「ハレルヤ」が収録されていますが、どのようにアレンジしましたか? 最初はウクレレ・ソロで?

○カバーする場合、その時々で違っていて、必ずしもソロでやろうという風には思っていません。ビートルズのカバー・アルバム『アクロス・ザ・ユニバース』を作った時の「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ(愛こそはすべて)」は、ウクレレを一切弾かずにギター・パートで歌いながらやってみて、それをウクレレにあてがっていくという作り方をしました。オリジナルの曲でも「ピアノ・フォルテ」はピアノで書いてそれをウクレレに変換するというやり方も試しましたね。
今回の「ボヘミアン・ラプソディ」に関しては、ソロでやることに意義があって、ソロでありながらどれだけたくさんの要素を取り込めるかっていうのを大事にしました。「ハレルヤ」は、最初はソロ用に書いていたんですが、最終的にはトリオになった感じです。

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Photo by Danny Clinch

●アルバムの最後はハワイアン・ソング「ウリリ・エ」。これは?

○ルーツに戻るという意味です。最初にウクレレを始めた時は、ハワイの伝統的な音楽をやっていたので、原点に戻るという形で入れました。最初の2曲に「ワン・フォー・スリー(ケリーズ・ソング)」と「ボヘミアン・ラプソディ」を持ってきたのには理由があって、これがサウンド的に対極にあるからなんです。前者はいろんな楽器のパートを入れて作ったもので、ある意味一番大きな曲なのに対して、後者はウクレレだけのものです。それ以降の曲は、その間にあるものなので幅広さが出るかなと。

●ありがとうございました。最後に今年の日本ツアーはどういう構想が?

○ウクレレを弾くことがいかに楽しいかということを伝えたいです。自分はこの楽器を愛しています。ウクレレは人を幸せにする楽器なので、初めて手にした人でもコードを弾けば笑顔になれますよね。もしみんながウクレレを弾いたら、世界はもっと良い場所になるはず、ということを本当に僕は信じているんです。そのメッセージを伝えたいですね。
あと、YouTubeを使った”LET’S PLAY UKULELE CONTEST“はすごい人がたくさんいましたよ! 8/29(日)渋谷 Bunkamuraオーチャードホールで特別出演してくれるファイナリストをついに決めました。お楽しみに!

ジェイク・シマブクロ インタビュー前編
「各楽曲が、自分の人生の1章になっている」を見る

 

cd_iloveukulele.jpg『アイ・ラヴ・ウクレレ』

 

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  1. ワン・フォー・スリー (ケリーズ・ソング)
  2. ボヘミアン・ラプソディー
  3. ブリング・ユア・アッズ
  4. ボーイ・ミーツ・ガール
  5. ゴー・フォー・ブローク
  6. トラップド 2010
  7. ヴァリエイション・オン・ア・ダンス 2010
  8. ファイヴ・ダラーズ・アンレディッド 2010
  9. アイ・ラヴ・ウクレレ
  10. ウクレレ・ブラザーズ
  11. シマ
  12. サクラノカゼ
  13. ミドリ
  14. ハレルヤ
  15. タイヨウ
  16. ウリリ・エ

01MAIN_JakeShimabukuro_DannyClinchPhoto2.jpgジェイク・シマブクロ

ハワイ州ホノルル出身。1976年11月3日生まれ。わずか4歳よりウクレレを始め、高校を卒業したばかりの98年PURE HEART/ピュア・ハートのメンバーとしてデビュー。2002年1月にソロ・アーティストとしての活動をスタートさせた。ウクレレという楽器の即興性を存分に活かしつつ、クラシックやジャズ、ロック、ブルースといったあらゆるジャンルの音楽を卓越したテクニックと独自のフィーリングで情熱的なサウンドへと昇華。ジミ・ヘンドリックス、エディ・ヴァンヘイレンといった名ギタリストたちの音楽を聞きながら、そのプレイをウクレレで表現しようと考えたニュー・ ウェイヴ、それがジェイク・シマブクロである。

Jake Shimabukuro Japan Official Site

(Photo by Danny Clinch)

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