UAD-2を駆使するライブ・エンジニア③ 杉山茂(ケネックノック)

UNIVERSAL AUDIO UAD-2 Live Rack

UNIVERSAL AUDIO UAD-2 Live Rack by サウンド&レコーディング・マガジン編集部 2018年9月28日

Photo:Takashi Yashima

Photo:Takashi Yashima

UAD-2は古き良き機材を忠実に再現している
それを提示していくのは勇気の要ることだと思います

1970年代からサウンド・エンジニアとして活躍。1982年にケネックノックを設立し、現在も数多くの現場でオペレートを担当する杉山茂氏。PAだけでなくレコーディング/ミックスまで行う氏も、積極的にライブ現場へUAD-2を持ち込んで使ってきたエンジニアの一人だ。本誌では1年ほど前に今回と同趣旨のインタビューを行ったが、新製品のUAD-2 Live Rackに触れてもらいながら、あらためてお話を伺うことにした。

 

MADIならどんな卓にでもつなげられる

「もともとはPro Toolsでのミックス用としてUAD-2 Octo CoreのPCIカードを2枚使っていたんです。それをPAでも使いたくて、初代のApolloを購入しました。最近ではApolloのAD/DAを通した音が気に入っていて、現場のコンソールにはアナログ・インサートして使っています。第2世代のApolloになって、もっと音が良くなったと聞いているので、気になってはいるんですけどね」

そう語る杉山氏。UAD-2 Live RackがMADIでのデジタル接続になったことについては、こう言及する。

「現場ではいろいろなコンソールを使うんです。AVID Venueのときもあれば、YAMAHA CL5のときもある……これでないと仕事ができないとは言えませんから。その意味ではMADIは、大抵のコンソールでI/Oカードが用意されているし、現実的な選択肢だと思います」

UAD-2導入もあってか、レコーディングでの氏の音作りのスタイルも徐々に変わってきたという。

「以前はNEVE 1073のようなビンテージ・マイクプリを並べて録音していたのですが、ハイスピードでレンジの広いマイクプリを使ってUAD-2プラグインで色付けをするようになりました。ビンテージはどうしても個体差があるし、録った音についた色は戻らないので。最近の音作りとしては、ロック系でも中高域の音圧を高めるより、30Hz辺りの低域で音圧を出していく方が多い。クラブで求められる80Hz辺りとは違って、超低域の空気圧で音圧を作る……その方が音圧も出せるし、面白いんですよね。PAもデジタルになって、コンソールのインプットはクリーンになっているので、同じようなスタイルの音作りになっていくと思います」

 

ライブ向けUAD-2プラグインに期待

今回、Live Rackとは初対面となる杉山氏。触ってみた率直な感想を伺ってみた。

「タッチパネルにも対応しているし、プラグイン選択画面でアイコンが表示されるのは分かりやすくて、楽しいですね。DAWやApollo Consoleはリストのみでしたから。プリセットの選択も簡単で、これまでの自分がやってきた使い方とは全く違ったアイディアがどんどん出てきそうです」

最後に、UAD-2 Live Rackの発売を機に、さらなる要望を杉山氏に聞いてみた。そこで返ってきたのは、Precisionシリーズのクオリティをライブで使えるようにしたプラグインという答えだった。

「Precisionシリーズはミックスで多用しているのですが、どうしてもバッファーが必要になるためレイテンシーが大きく、ライブで使うのは現実的ではないんです。最近、アナログのマスタリング・プロセッサーを愛用しているのですが、そういう機能を持ったライブ向けのプラグインをぜひ作っていただきたいですね。UNIVERSAL AUDIOは技術力のあるメーカーで、古き良きものを忠実に再現している。1073が出た当時の音、あるいはPULTECの本当の音を知っている人は少ない。それを“こういうものです”と提示していくのは、勇気が要ることだと思いますね」

 

杉山茂の愛用UAD-2プラグイン

Neve 1073 Preamp & EQ

Neve-1073-Collection
倍音の増え具合がいいですね。ボーカリストの方が欲しがる帯域が出る。マスターにインサートすることもありました。PAの現場にNEVEの実機を持ち込む方もいらっしゃいますが、UAD-2なら個体差や、時間の経過で音が変わったりすることはないです

 

Pultec EQP-1A

PULTEC
マスターにEQP-1Aをインサートして、ローとハイを少し調整するといった使い方をしてみたこともあります。真空管機材だし、2台で特性がそろうということも実機ではありえないので、UAD-2ならではの使い方ですね

 

SPL Transient Designer

spl_transient_designer
ドラムに使うことがあります。コンプレッサーとは違った効果が得られるのが面白いです。あまり極端なかけ方ではなく、わずかにアタック/サステインをコントロールするような使い方をしています

 

UAD-2 Live Rack製品情報
https://hookup.co.jp/products/universal-audio/uad-2-live-rack

Presented by HookUp, Inc.

2018年10月号
サウンド&レコーディング・マガジン2018年10月号より転載

UNIVERSAL AUDIO

UAD-2 Live Rack

オープン・プライス
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

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