「KLARK TEKNIK Pro DI Series」製品レビュー:MIDASトランスを搭載したクリーンな音のアクティブ/パッシブDI

KLARK TEKNIK Pro DI Series

REVIEW by 山寺紀康(oshowland) 2018年12月6日

pro_di_series

KLARK TEKNIKから4種類のDIボックスが発売された。同社は1974年の創立以来、イコライザーを中心に信頼のあるメーカーだ。読者の中にもDN300、DN360などを使用した経験のある人は少なくないだろう。またDIボックスに関しても、現行製品であるDN100は広く知られているスタンダードな機材である。今回のラインナップは、ファンタム電源/バッテリー動作可能なアクティブ・モデルDI 10A、ステレオ入力/サミング・モノ出力のパッシブ・モデルDI 10P、TRSフォーン/RCAピン入力対応のパッシブ・ステレオ機DI 20P、フォーン入出力のパッシブ・ステレオ・モデルDI 22Pという4種類のDIだ。いずれもMIDASトランス搭載。筐体は500g前後の重量と、コーナー保護ゴム付きのアルミ成形ケースで、手軽に持ち運ぶことができる。早速機能と音色をチェックしていこう。

広範なダイナミック・レンジ
PADとリフト/アース・スイッチを搭載

まずベースでDI 10Aを試してみた。実際に音を聴いてみると、低域と高域の伸びが感じられ、中域は少しおとなしい印象だ。続いて、パッシブ・タイプのDI 20Pを試してみると、デフォルメされた雰囲気の無いナチュラルな音色に感じられた。どちらもゴリゴリとする中低域というよりは、奇麗なサウンドという印象であった。

次に、ピエゾ・タイプのエレアコにて使用を試みた。素で聴くと、DI 10Aのレンジの広さが的確にピッキングの音をとらえている。この滑らかさはMIDASのトランスによるものだろう。DI 20Pも同様の印象であったが、パッシブのため低域や高域には少し物足りなさも感じた。しかし、ピエゾ・タイプではないエレアコにはこちらの方が良いかもしれないとも思った。

続いて、ライン・レベルのデジタル・ピアノに使用した。DI 10Aは、フル・レベルに対してはクリップを感じたが、2段階のPADを使うことで対応できる。音色は同様に低域と高域に力強さを感じた。ステレオ・ソースを入力できるDI 20Pは、ステレオのライン楽器には容易に対応できる。音色もトランス色を感じるナチュラルなものだった。

全体の印象としては、広範なダイナミック・レンジを感じ取ることができた。それぞれのDIにはPADとリフト/アース・スイッチが付いているので、ひずみ/ノイズ対策も万全だ。

また別の機会に、現在行われているコンサート・ツアーの本番で使っているアコギにDI 10Aを使用してみた。マイクとピエゾがミックスされた音源である。滑らかでしっとりとした感じであった。やはり奇麗な印象だ。

▲DI 10Aのリア・パネル。パワー・スイッチ、リフト/アース・スイッチ、アウトプット(XLR)、バッテリー・ボックスが並ぶ

▲DI 10Aのリア・パネル。パワー・スイッチ、リフト/アース・スイッチ、アウトプット(XLR)、バッテリー・ボックスが並ぶ

▲DI 20Pのリア・パネルには、アウトプットL/R(XLR)、リフト/アース・スイッチを備える

▲DI 20Pのリア・パネルには、アウトプットL/R(XLR)、リフト/アース・スイッチを備える

 

ステレオ・ソースのバランス化に便利
トランスを利用したノイズ対策

RCAピン入力のついたDI 22PにはCDソースを入力して、DIを通さないアンバランスでの入力との比較を試みた。アンバランス入力で出てくる暴れた感じのハイとローが適度に抑えられ、滑らかな印象であった。またRCAとともにステレオ・ミニ/フォーン入力も可能なので、多様な再生機器に対応できる。多少のコンプ感があるのは、トランスによるものかと思われるが、効果的ともとらえられる。サミング・モノになるDI 10Pの音色は、DI 22Pの流れを汲む滑らかな印象。2イン/1アウトの簡易ミキサーにもなるので、レベルの違うモノラル・ソースをミックスするのに便利かと思われる。

︎▲DI 10Pのリア・パネルにはリフト/アース・スイッチとアウトプット(XLR)を搭載

︎▲DI 10Pのリア・パネルにはリフト/アース・スイッチとアウトプット(XLR)を搭載

▲DI 22Pのリア・パネルにも、アウトプットL/R(XLR)、リフト/アース・スイッチが並ぶ

▲DI 22Pのリア・パネルにも、アウトプットL/R(XLR)、リフト/アース・スイッチが並ぶ

 

民生用のCDプレーヤーなど、アンバランスのままミキサーに入力して使うことも多々あるが、DIを通してバランス出力にすることは、本来正しいことだ。電源を必要としないパッシブ・タイプであれば手軽に使うことができる。また、XLR入力のあるDI 10Aは、そのトランスを利用して、ホール送りなどのノイズ対策として使うこともできるだろう。FETタイプのDIが主流となっているが、トランス・タイプにもその良さがある。アクティブとパッシブの音色の違いも、それぞれの楽器の特徴によって使い分けることで、より引き出せるのではないだろうか。

DIシリーズのほかに、MIDASトランスを備えたパッシブ1入力/2出力信号スプリッターのDS 20と、パッシブ1入力/5出力信号スプリッターのDS 50も発売されている。コスト・パフォーマンスも良く、重量も負担になるものではないので、手軽に合ったものをチョイスするという使い方も良いのではないかと感じた。

▲入力(XLR)×1、出力(XLR)×2を備えるパッシブ・スプリッター、DS 20(オープン・プライス/市場予想価格:5,800円前後)

▲入力(XLR)×1、出力(XLR)×2を備えるパッシブ・スプリッター、DS 20(オープン・プライス/市場予想価格:5,800円前後)

▲パッシブ・スプリッターのDS 50は入力(XLR)×1、出力(XLR)×5を備える(オープン・プライス/市場予想価格8,100円前後)

▲パッシブ・スプリッターのDS 50は入力(XLR)×1、出力(XLR)×5を備える(オープン・プライス/市場予想価格8,100円前後)


link-bnr3

サウンド&レコーディング・マガジン 2018年12月号より)

 

KLARK TEKNIK

Pro DI Series

オープン・プライス(市場予想価格/DI 10A:8,100円前後、DI 10P:5,800円前後、DI 20P:8,100円前後、DI 22P:8,100円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
●DI 10A ▪入力インピーダンス:250kΩ ▪ロード・インピーダンス:600Ω ▪外形寸法:118(W)×64(H)×120(D)mm ▪重量:560g ●DI 10P ▪入力インピーダンス:7kΩ ▪ロード・インピーダンス:170Ω ▪外形寸法:118(W)×64(H)×112(D)mm ▪重量:470g ●DI 20P ▪入力インピーダンス:10kΩ/PAD、500kΩ/Off ▪ロード・インピーダンス:150Ω、1kHz ▪外形寸法:118(W)×64(H)×112(D)mm ▪重量:540g ●DI 22P ▪入力インピーダンス:30kΩ ▪ロード・インピーダンス:600Ω ▪外形寸法:118(W)×64(H)×112(D)mm ▪重量:530g

TUNECORE JAPAN