「VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Vienna Smart Orchestra」製品レビュー:140ピースもの編成を素早くスマートに構築可能なオーケストラ音源

VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Vienna Smart Orchestra

REVIEW by 牧戸太郎 2018年12月5日

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オーケストラ用ソフト音源の老舗、VIENNA SYMPHONIC LIBRARYより、Vienna Smart Orchestraが登場した。同社の140ピースもの壮大なオーケストラを手軽に、スマートに鳴らすことができるというコンセプトで作られており、同社の最新プレイバック・エンジン、Synchron Playerで動作する。同社の製品は膨大なサンプル・ライブラリーから成り、アーティキュレーションの変化に応じてキー・スイッチで音色を切り替えるタイプのものが中心で、高度な知識が無いとなかなか使いこなせない印象がこれまではあった。しかし、Vienna Smart Orchestraはその音色の切り替えを最小限に止め、素早くスマートに本格的なオーケストラ・サウンドを構築することができる。

オーケストラの楽器構成などを
キー・スイッチで瞬時に切り替え可能

まずは画面右のプリセット・ウインドウから、最もベーシックな音色“01 Smart Orchestra”を選択して読み込んでみる。画面中央には音色を切り換えるスロットが並ぶ。これらはキー・スイッチで切り替えることが可能だ。“Instruments”で大まかな楽器編成を選択し、次に“Type”と“Articulation”を選択。デフォルト音色の“Instruments”は“Orchestra”、“Type”は“Short+Perc.”、
“Articulation”は“Staccato”となっており、フル・オーケストラの短い音価で演奏した音色に加え、キー・レンジの上部に各種パーカッション音色が割り当ててある。左部の音色を切り替えることで、それ以下のスロットの音色アサインのラインナップが適宜変わるようになっており、イメージする音色に手早くたどり着くことができる。

その下には、音色の各調整を行うPERFORM/CONTROL/EDITタブが並び、一番右に各楽器セクションのミックスを調整するMIXタブがある。これらはMIDIコントロール・チェンジで変化させることが可能だ。例えば、ストリングスの白玉に中低音の金管楽器をレイヤーし、その上に木管楽器のソロを乗せ、打楽器でアクセントを付けるという楽器ごとの打ち込みでは手間のかかるアンサンブルが、Vienna Smart Orchestraを使えばキーボードの演奏とMIDIコントロール・チェンジがアサインされたスライダー(もしくはペダルなど)で、リアルタイムに演奏できてしまうのだ。

音色はどの楽器も表情に偏りがなく、鍵盤で演奏しやすい音色となっている。特に木管楽器のソロなどは、クラシカルなフレーズに適したレガートがかかり、ランやアルペジオのようなテクニカルなフレーズを演奏しても、音楽的に問題無く聴かせてくれる。また過度なEQがなく、ドライ寄りの音色となっているので、ほかの音源やスタジオ録音の生演奏とのアンサンブルなども違和感なく行える。本製品でとりあえずの骨格を作り、その後ほかの音源で肉付けしていくという使い方もよいだろう。

 

リアルな音場を再現した臨場感のある音
シンセと組み合わせた幅広い音作り

MIXセクションには、高品質なエフェクトが搭載されている。マスター・セクションのリバーブをClose/Ambient/Distantというプリセットから選択することにより、全体の残響の質感を整えることができる。

▲MIXセクションにはエフェクトが搭載されている。リバーブには3つのプリセットが用意されており、全体の質感を整えるのに便利

▲MIXセクションにはエフェクトが搭載されている。リバーブには3つのプリセットが用意されており、全体の質感を整えるのに便利

また、各チャンネルの“Edit Impulse Response”で、各楽器のステージ・ポジションをシミュレートすることにより、非常にリアルな音場を再現することが可能だ。本製品だけでも臨場感あるクオリティの高いサウンドに仕上げることができる。

▲各楽器のステージ・ポジションをシミュレートするImpulse Responseの編集画面。本物のオーケストラのような臨場感のあるサウンドを作ることができる

▲各楽器のステージ・ポジションをシミュレートするImpulse Responseの編集画面。本物のオーケストラのような臨場感のあるサウンドを作ることができる

そして、Vienna Smart Orchestraのもう一つの顔とも言えるプリセット“FX-Preset”を読み込んでみる。こちらはオーケストラのライブラリーを使ったPERFORM/CONTROL/EDITを駆使し、インサーション・エフェクトで大胆に加工されたシンセ・サウンドが多数プリセットされている。生オーケストラのシミュレーションではなく、現実には無いサウンドを高品位で多彩なサンプル・ライブラリーを使って作り上げることができるのもVienna Smart Orchestraの大きな魅力だ。

劇伴などの仕事では、手早くスマートに楽曲のデモを仕上げなければならない場合が非常に多いが、オーケストラ音源メーカーとして長年信頼の厚いVIENNA SYMPHONIC LIBRARYから、このような需要に応えてくれる製品が出たのは大変喜ばしいことだ。

筆者は日ごろ、思い付いた楽曲アイディアをピアノの音色で録音し、ストックしておくことが多いが、オーケストラの曲であればこの音源で骨格を作り、時間を置いてからブラッシュアップする、という使い方も便利そうだ。“何話目のこのシーンだけどうしても!”という急な追加曲のオーダーに対応するための心強い味方となってくれるだろう。


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年12月号より)

VIENNA SYMPHONIC LIBRARY

Vienna Smart Orchestra

21,900円(価格は為替相場によって変動)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
【REQUIREMENTS】 ▪Mac:OS 10.10以降、AAX/AU/VST対応のDAW ▪Windows:Windows 7/8/10、AAX/VST対応のDAW ▪共通:INTEL Core I5/I7/Xeon以上のCPU、8GB以上のRA M(32GB以上を推奨)、9.92GB以上のディスク空き容量、SSD(M・2、SATA 6 or USB3/3.1 UASP対応)の使用を推奨。別売りのVIENNAキーが必要

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