「ROSWELL PRO AUDIO Mini K47」製品レビュー:34mm径大型ダイアフラムを採用した単一指向コンデンサー・マイク

ROSWELL PRO AUDIO Mini K47

REVIEW by 橋本まさし(スタジオ・サウンド・ダリ) 2018年11月29日

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Mini K47を製造するROSWELL PRO AUDIOは、南カリフォルニアに拠点を置くマイク・メーカー。創業者のマット・マクグリン氏は無数のマイク・データベースを閲覧できるrecordinghacks.comというWebサイトを主宰する一方、MICPARTSというメーカーでマイクのDIYキットを販売したりと、かなりこの道に精通していることが分かります。そんな方が運営するメーカーが出している名前に“47”と付けられたコンデンサー・マイク、とても楽しみです。

最小限の機能に絞ったシンプルな設計
トランスレス回路によってクリアな音質に

まず皆さんにお伝えしたいことが、ネーミングからも察することができるサイズ感について。写真で見ると大きくないことは分かるのですが、思っているより結構小さいです。外形寸法は44(W)×150(H)×44(D)mmで、重さが325g。ラージ・ダイアフラムを搭載した小さいマイクで、分かりやすい比較対象はAKG C414XLS辺りでしょうか。C414XLSの外形寸法は50(W)×160(H)×38(D)mmで重さが300gなので、C414XLSよりMini K47の方が長さが10mm、幅が6mmも短いのです。

こんなに小さいボディなのにもかかわらず、コンデンサー・マイクの中でも最高傑作の一つと言われているNEUMANN U47やU47 FETと同サイズの34mmラージ・ダイアフラムを装備しているのが本機のポイント。実際に私が所有しているU47と大きさを見比べてみましたが、本当に同サイズのダイアフラムが入っていました。

スペックを見ていきましょう。指向性はカーディオイドでハイパス・フィルターやPADといったスイッチ類は無く、非常にシンプルな設計になっています。周波数特性は20Hz~16kHzでインピーダンスが114Ω。出力端子はXLR端子で、48Vファンタム電源で動作します。クリアな音質を実現するためにトランスレス設計にしたり、ドイツのハイグレードなポリスチレン・コンデンサーを採用しているとのこと。そして、ROSWELL PRO AUDIOのマイクにはショック・マウントとキャリング・ケースが付属しています。

ショック・マウントのフラッシュ・マウント・フェイス

ショック・マウントのフラッシュ・マウント・フェイス

▲Mini K47とショック・マウントを収納するキャリング・ケースも付属

▲Mini K47とショック・マウントを収納するキャリング・ケースも付属

 

輪郭が立つ自然で明るいサウンド
歯擦音やリップ・ノイズを自然に低減

ROSWELL PRO AUDIOがうたっているのは“Modern performance with vintage tone”。筆者はモダン・パフォーマンスは音の抜け感であり、ビンテージ・サウンドは低域から中低域にかけての粘り感なのかなと想起しました。それでは、かわいらしいルックスでありながら重厚な雰囲気も持つMini K47の実力を見ていきましょう。

まず手に取ってみた時点でかなり好印象。この価格帯にありがちなボディの粗削りな触り心地は無く、ボディの共振/共鳴は感じられません。前述の通りC414XLSよりも25g重いので、重量感からも十分に業務用らしさを感じる作りになっています。

筆者が特に目を見張ったポイントが、付属のショック・マウント。非常に良い作りでしっかりとマイクを固定し、確実に衝撃を吸収してくれています。前面が空いているためセッティングもしやすいです。ショック・マウントだけを見ても、とてもこの価格帯のマイクとは思えませんね。

価格帯的に比べるのもおかしな話ですが、ラージ・ダイアフラム・マイクの代表格と言って問題ないであろうNEUMANN U87と比べてみましょう。価格が10倍近く違うU87と比べても、とても明るいサウンドという印象です。さまざな楽器や声のエッジが非常にはっきりと表現されます。耳障りに強調された高域ということではなく、あくまで自然に明るいサウンドです。一方U87と比べての話ですが、低域から中低域にかけてもう少し膨らみがあったらいいなとは思いました。

非常に驚くべきことが、歯擦音やリップ・ノイズの少なさ。これは正直U87よりも優秀な部分と言えます。ほかのマイクとも比較してみましたが、圧倒的にMini K47の勝利でした。普段はあまりコンデンサー・マイクの歯擦音の違いは意識していなかったのですが、確かにミックス時に非常に気になる部分ですので大事なことだと思います。ディエッサーなどのエフェクトを用いてDAW上で抑えることはできますが、レコーディングの時点で歯擦音が自然に抑えられていることに越したことはありません。ボーカルでのパフォーマンスは非常に高く評価します。

次は実際のセッションでアコースティック・ギターとアコーディオンに使用します。アコースティック・ギターにコンデンサー・マイクを立てると、ピッキングやアタックが強調されてサステインの膨らみが乏しくなることもありますが、Mini K47はしっかりと自然な音で拾ってくれました。アコーディオンは1mほど離したマイキングでテスト。若干オフ気味のセッティングでも音やせしたりノイジーになるといったことはなく、部屋鳴りも含めたアコーディオンの美しい響きを収録できます。どちらも非常に良く録れたので、“これが4万円前後で買えるマイクか?”と不思議でなりませんでした。

さて、最後にU47 FETの独壇場とも言える、ベース・アンプに近接したマイキングで比較してみましょう。結果からお伝えすると、両者とも異なる良さがあり引き分けといった感じです。U47 FETの方が周波数レンジが広くバランスの良いサウンドではありますが、一方Mini K47はスピード感や押し出し感が優れているように感じます。

最後に総論ですが、ROSWELL PRO AUDIOは相当な愛をマイクに注いでくれているメーカーだとひどく感心しました。この素晴らしいコスト・パフォーマンスに敬意を表します。脱帽!

撮影:川村容一


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年12月号より)

ROSWELL PRO AUDIO

Mini K47

38,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪指向性:カーディオイド ▪カプセル:34mm径トゥルー・コンデンサー ▪周波数特性:20Hz〜16kHz ▪入力感度:14mV/Pa ▪ダイナミック・レンジ:81dBA ▪セルフ・ノイズ:13dBA ▪出力インピーダンス:114Ω ▪外形寸法:44(W)×150(H)×44(D)mm ▪重量:約325g(本体) ▪付属品:キャリング・ケース、ショック・マウント

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