「DIRECT SOUND Studio Plus+」製品レビュー:電源を使わず33.4dBのノイズ・カットを実現した密閉型ヘッドフォン

DIRECT SOUND Studio Plus+

REVIEW by 原口宏 2018年10月2日

studio-plus+

今回チェックするのは2007年創業のDIRECT SOUNDによる密閉ダイナミック型ヘッドフォン、Studio Plus+。読者の中にはEX-29という同社の人気ヘッドフォンをご存じの方も多いかと思う。そのスタジオ版とのことで遮音性能を中心に詳しくレポートしていこう。

表面が均一なイア・パッドによる高い遮音性
独特な着脱式ケーブルも実用的

本機のセールス・ポイントは何と言っても高い遮音性能だ。装着した途端に外部の音が遮断され、それまでうるさかったセミの声が一気に聴こえなくなったのには驚いた。イア・パッドが他社と違って表面が均一になっており、工場などの防音目的で売られている業務用イア・マフにかなり近い材質。側圧も強めで耳の周りをしっかりと覆うため、遮音性能は33.4dBとより大型の防音イア・マフ並みである。

筆者は遮音性能が35dBのBEYERDYNAMIC DT770Mをライブ録音用に所有しているが、側圧が高い割にイア・パッドがピタリと当たる場所が限定されるので油断すると環境音を拾いがちだ。しかし本機では常に遮音性が保てるので過酷な条件においてはDT770M以上の実用性ではないかと予想できる。

本体が約297gと40mmドライバー機としては重めで側圧も高いが、アジャスタブル・ヘッド・バンドまで頭部にぴったりとフィットする感じがあるので重量感は少なく、意外に長時間装着も大丈夫そう。L/Rの刻印が無く、イア・カップ内の色分けで左右を判別する。赤い方が右である。

ケーブルは本体から約30cmの部分で着脱可能。例えばヘッドフォンを着けたまま移動する場合も途中で抜けばいいので、邪魔にならないのが便利だ。延長部分のケーブルは高耐久メッシュ素材の約2.4mに加え、モバイル用の約76cmも同包されている。これら金属部分の仕上げはかなり高級感があり、頻繁な着脱も安心して行うことができる。

筐体は高い遮音性能と重さの割にコンパクトで、プラスチック的素材のシンプルな仕上げ。イア・カップの折りたたみ収納が可能な構造なので持ち運びにも便利だ。本体カラーはJet BlackとAlpine Whiteの2色が用意されている。

 

ひずみの少ない高性能な新開発ドライバー
モバイル機器でも十分な音量と音質

それでは複数のヘッドフォン・アンプで音質チェックしていこう。まず普段使っているオーディオ・インターフェースで試聴してみると、新開発のハイ・プレシジョン・オーディオ・ドライバーは全帯域でひずみが少なく、低域までとてもワイド・レンジに鳴る。密閉型の割に低域のスピード感もあって、音像が大きい。スペック上の再生周波数は20Hz~20kHzと一般的なモニター用ヘッドフォンの数値だが、ドライバー自体は市場で3万円程度で売られているワイド・レンジな機種と同程度に高性能かと思われる。イア・カップの内側に位置するドライバーの前面がフェルトのような生地で厚めに塞がれているので、開いた状態でもシャカシャカといった音漏れが少ない。つまり、用途上大音量が想定されるので、耳につく高域は意図的に抑えてあるものと推測される。かといって音が遠くに聴こえるわけではなく、少し音量を上げれば十分な高域が楽しめる。結果的に低域が多めの味付けだが、強調されたポイントが少ないので各楽器が聴き取りやすい。単体ヘッドフォン・アンプにつないでも音質に大きな違いは出なかった。

さらにスマートフォンとタブレット端末でも音像の大きさはオーディオ・インターフェースとさほど変わらず、その上質なサウンドに驚いた。これなら小型のオーディオ・インターフェースのヘッドフォン端子でも全く心配要らないだろう。インピーダンスは32Ωと低めで感度が114dBと高いので、十分な音量が得られ、ボリュームを上げていっても高域が痛くない。もしかすると非力なヘッドフォン・アンプを想定しているのではないかと思われるくらいモバイル機器との相性が良い。かなり音量を上げても外部への音漏れが皆無なので、電車やバスなどの公共機関でも周囲の人に迷惑を掛けることなく十分な音量が楽しめるだろう。

さて、今回は本機に加えてドラム録音にも適したEX29 Plus(遮音性能36.7dB)と、よりリーズナブルなEX25 Plus(遮音性能33.4dB)も同時に試聴できた。特にEX29 Plusはドライバーが本機同等にワイド・レンジで、59gほど重くなるがより遮音性は高かった。この3機種に共通する特徴として、かなり軽量に見える筐体素材の割に総重量が重いという疑問がある。どうもドライバー周辺の補強にその重量が集中しているようで、恐らくこの構造が大音量でも箱鳴りの少ないスムーズな音質を確保しているのではないかと筆者は推測する。Studio Plus+はスタジオでのリズム録音はもちろん大音量が条件となるPAやステージ上などでもその高い遮音性能と音質はかなり有効となるだろう。

本機は大音量を想定して高域が抑えてあるので、マスタリングのような最終のフィックス作業には向かないかもしれない。しかし、ミックス中盤ぐらいまでの音作りには有効な素性の良いサウンドでもあると思う。ほかにもDJ用のOne42 DJ Headphonesやデザイン性にも優れたSerenity II Headphonesなどもラインナップされているので、本機も含めぜひチェックしていただきたい。

▲写真① 併せて聴したより遮音性の高いEX29 Plus(オープン・プライス:市場予想価格12,800円前後)

▲写真① 併せて聴したより遮音性の高いEX29 Plus(オープン・プライス:市場予想価格12,800円前後)

▲リーズナブルなEX25 Plus(オープン・プライス:市場予想価格7,980円前後)も試聴した

▲リーズナブルなEX25 Plus(オープン・プライス:市場予想価格7,980円前後)も試聴した

サウンド&レコーディング・マガジン 2018年10月号より)
 

DIRECT SOUND

Studio Plus+

オープン・プライス(市場予想価格:16,800円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪型式:密閉ダイナミック型 ▪パッシブ・ノイズ・アイソレーション:最大33.4dB ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪ドライバー:高精度ドライバー・ユニット(HPA)、40mm ▪インピーダンス:32Ω ▪感度:114dB@1kHz/1mW ▪ケーブル:着脱式プレミアム・ケーブル ▪許容入力:1,000mW ▪重量:約297g ▪付属品:着脱式プレミアム・ケーブル(ストレート型ステレオ・プラグ)、ステレオ・フォーン変換アダプター、プレミアム延長ケーブル(L型ステレオ・ミニ)

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