「MACKIE. MP Series」製品レビュー:人間工学に基づいたモールド・エンクロージャーを採用するイアモニ

MACKIE. MP Series

REVIEW by ゴンドウトモヒコ 2018年8月6日

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MACKIE.はプロ用機器のミキサーやスピーカーなどを多数開発しているメーカーで、筆者も揺るぎない信頼を持って同社ミキサーをライブで使用している。本機は、ステージ上のアーティストが最高のパフォーマンスを発揮できるように設計された、プロフェッショナル・インイア・モニターだ。外観デザインが同一の3機種がラインナップされているので、それらを比較しながら音質や適した用途についてレビューしていこうと思う。

快適な装着感で耳から落ちにくい構造
高音質で耐久性に優れたケーブル

MP Seriesはシングル・ダイナミック・ドライバー型のMP-120、デュアル・ダイナミック・ドライバー型のMP-220、デュアル・ハイブリッド・ドライバー型のMP-240という用途や予算に応じた全3機種が発売されている。人間工学に基づいてカスタム設計されたモールド・エンクロージャーの採用によって、長時間の使用でも疲れることのない快適な装着を可能にし、外部ノイズのシャット・アウトを実現した。ライブを想定した作りになっており、パフォーマンス中に耳から落ちにくいオーバー・イア・デザインを採用している。その形状とケーブルの色合いのバランスがよく取れたルックスは、装着する前から良い印象を与えてくれた。

ケーブルは編組シールド・ケーブルを採用しており、音質の良さと高い耐久性を兼ね備えている。また、MMCXコネクターを採用しているため、万が一ケーブルが断線してしまったときやリケーブルをしたい場合、簡単に付け替えることが可能だ。

イア・ピースはフォーム/シリコン/ダブル・フランジ・タイプが大/中/小の3サイズあるので、まずは全部試してみて自分に合ったイア・ピースを選ぶと良いだろう。

飽きが来なく疲れにくい素直な音質
ヘッドルームが広く原音忠実なMP-240

まずはリスニングの観点からレビューしていこう。実際に音を聴いてみて3機種に共通して言えることは、飽きが来なく疲れにくい素直な音質のイアモニであるということだ。しかし、3種類それぞれに個性があるので各モデルごとに書いていきたいと思う。

ビートの効いたダンス・ミュージックなどに関しては、スピード感のあるパンチが効いていて迫力のある音質のMP-120が向いているだろう。静かで繊細さが求められる音楽より、元気な音楽の方が気持ち良く聴こえる傾向にある。何を聴いてもムラが無く、ロックなども気持ち良く再生してくれるちょうど良いチューニングだ。その特徴はシングル・ダイナミック・ドライバーの良さから来ているのかもしれない。

MP-220はダイナミック・ドライバーを左右に2基ずつ搭載したモデルになるが“原音に近い音とはこういうことか”と、あらためて感じるほど色付けの無い音質だ。MP-120より精密なチューニングが施されており、ロックなどはいつの間にか時間がたってしまうほど聴きやすいし、ポップスなども違和感なく楽しむことができる。クリアな音像でそれぞれのパートが心地良く、聴き直したくなるアルバムもあったほど良いイアモニであった。また、最近はBluetoothで音楽を楽しむことが多くなっていたので、ワイアードにおける音の安定感は一つ忘れかけていた部分を思い出させてくれた。

フラッグシップ・モデルのMP-240は低域にダイナミック・ドライバー、中高域にはバランスド・アーマチュア・ドライバーを採用しており、MP Seriesの中で最も原音の忠実さを感じるサウンドだ。ダイナミック・レンジや音の奥行きが豊かなモデルなので、ジャズなどの空間を楽しめる音楽が長所を生かせるだろう。歌モノは息遣いを強く感じ、ハードバップからアバンギャルドなものは楽器の荒々しさまでも聴き取ることができる。加えてヘッドルームに余裕があるため、ほかのモデルより大きな音を出してもうるさく感じなかった。

クラシックを聴いたときはコンサート・ホールにいるかのような広い音場を感じ、ヘッドフォン・アンプにつないで聴きたくなるような上質なサウンドだった。フルートの空気感、トロンボーンなどのブラッシーな中低音、チェロより下の擦弦楽器の重厚感など、楽器の特徴をリアルに感じることができる。

そして、ライブで使用する際のチョイスについて。各周波数帯の滑らかさが上位機種になるほどシームレスになり、定位が良くなり奥行きも変わってくるので、生演奏の多いライブには最上位機種のMP-240をお薦めする。イアモニとなると“耳型を取るカスタム・タイプの方が良いのではないか”と思う方もいるだろう。確かに装着感については、カスタム・タイプの方は上ではあるが、ピタッとはまっていると耳が疲れやすいという問題も同時に抱えている。それに対してMP Seriesは慣れてしまえば装着が楽な上に、疲れにくいというメリットがあり、高い遮音性も申し分ない。ライブ中はどうしてもイアモニの音量をどんどん大きくしていってしまうのが常なので、疲れにくいという点は特に大きな評価ポイントになる。ライブ向きの機器を多数開発してきたMACKIE.ならではの、現場で使いやすいイアモニだ。

MP Seriesはコスト・パフォーマンスにも優れており、最上位機でも2万円代だ。サブのイアモニとしても気軽に導入できる価格なので、ぜひプロの現場でも試してほしい。

 

▲専用のハード・ケースが付属。取扱説明書、変換プラグ(ステレオ・ミニ→ステレオ標準)、3種類のイア・ピース、フォーム/シリコン/ダブル・フランジがあり、それぞれ大/中/小の3サイズを同梱している

▲専用のハード・ケースが付属。取扱説明書、変換プラグ(ステレオ・ミニ→ステレオ標準)、3種類のイア・ピース、フォーム/シリコン/ダブル・フランジがあり、それぞれ大/中/小の3サイズを同梱している


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年8月号より)

MACKIE.

MP Series

オープン・プライス(市場予想価格 MP-120:11,800円前後、MP-220:17,800円前後、MP-240:23,700円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
●MP-120 ▪インピーダンス:32Ω ▪トランスデューサー・タイプ:シングル・ダイナミック ▪感度:102dB ●MP-220 ▪インピーダンス:8Ω ▪トランスデューサー・タイプ:デュアル・ダイナミック ▪感度:104dB ●MP-240 ▪インピーダンス:16Ω ▪トランスデューサー・タイプ:シングル・ダイナミック+シングル・バランスド・アーマチュア ▪感度:108dB ●共通項目 ▪周波数特性: 20Hz〜20kHz ▪ケーブル:MMXCコネクター ▪付属品:ハード・ケース、変換プラグ(ステレオ・ミニ→ステレオ標準)、イア・ピース(フォーム/シリコン/ダブル・フランジ)×3サイズ

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