「AUDIO IMPERIA Jaeger Essential Modern Orchestra」製品レビュー:劇伴向けの女性ボーカルやFXを収録した現代的オーケストラ音源

AUDIO IMPERIA Jaeger Essential Modern Orchestra

REVIEW by 関正道(DIGITAL SONIC DESIGN) 2018年8月3日

jaeger

数々のサウンド・ライブラリーをリリースしてきたAUDIO IMPERIAより初のオーケストラ音源、Jaeger Essential Modern Orchestra(以下、Jaeger)がリリースされました。このJaegerは“Essential Modern Orchestra”と製品名にあるように、オーケストラ楽器をより現代的に表現した音源とのこと。なお、JaegerはNATIVE INSTRUMENTS Kontakt 5に読み込んで使用するライブラリー音源となっております。

中央のBIG KNOBで
複数のエフェクトを一度にコントロール

Jaegerにはメイン画面とFX画面の2つがあり、どちらも機械的なデザインが施され見ているだけでもワクワクしますね! 画面左側にはミキサー・セクションがあり、5つのステレオ・マイク・ポジション(Spot/Tree/Wide/Far/Full Mix)の音量やパンを調整することができます。

画面右側にあるのはコントローラー・セクション(上)とオプション・セクション(下)。コントローラー・セクションには、サウンドのダイナミクスやその範囲を決めるダイナミクス・レンジ、エクスプレッション、サステインのアタック、そしてレガート・スピードをコントロールできるスライダーが5つ配置されています。このレガート・スピードをコントロールできるようにしたのは、“レガートのエモーショナルな要素が重要だよ”というAUDIO IMPERIAからのメッセージのようにも感じました。そのすぐ下にあるオプション・セクションではベロシティ・カーブやトランスポーズなどが設定できます。

さて、Jaeger一番の注目ポイントは、画面中央に位置する“BIG KNOB”と書かれた大きなノブ! 映画『パシフィック・リム』に登場するロボットをほうふつさせるデザインですが、Kontaktエンジンのエフェクト7種類(コンプレッサー/ディストーション/ローファイ/ローテーター/コーラス/フランジャー/フェイザー)からコントロール・ノブをそれぞれ選択し、BIG KNOBにアサインすることができます。例えば、ディストーションのドライブとフランジャーのデプスをBIG KNOBへアサインして回すと、ドライブとデプスを同時に変化させることが可能です。つまりBIG KNOBをグリっと回すだけで、複数のエフェクトを同時にコントロールできてしまうというまさに“エネルギー全開!”なノブなのです。

さらに、Jaegerの画面下部にはアーティキュレーション・セクションがあり、それぞれの四角いアーティキュレーション・アイコンがキー・スイッチと対応しています。使わないアーティキュレーションはアイコンの右上にある“◎”をクリックしパージしておくと、メモリーを消費しないので便利です。

JaegerのFX画面にはステップ・モジュレーションが搭載され、現代的なサウンド・アプローチをすることができます。オーケストラの楽器をオシレーター的に見立て、エフェクトをかけてシンセサイズしていく手法こそ、“Essential Modern Orchestra”と銘打つ本製品の特徴でしょう。

▲FX画面にはステップ・モジュレーションが搭載されており、オーケストラ音源にリズミカルな動きを与えることができる

▲FX画面にはステップ・モジュレーションが搭載されており、オーケストラ音源にリズミカルな動きを与えることができる

 

滑らかで美しいレガートを奏でる
ストリングスや女性ボーカル

Jaegerには全部で5つの音源が収録されており、オーケストラ楽器としては、ストリングス/ブラス/パーカッションの計3音源のみ。そう木管楽器がありません! なんという潔さでしょう。残りの2つはオーケストラ楽器以外のサウンドで数々のコンポーザー/企業に貢献してきた女性歌手、メレーテ・ソルトベトの歌声を収録した“Merethe Soltvedt”、そして“Sound Design”と題された音源となっております。

ストリングス/ブラス音源で感激したことは、レガートの滑らかさ。とても美しいレガート・サウンドを再現しています。ストリングスのアーティキュレーションは、レガート/サステイン・ビブラート/トレモロ/スピッカート/スタッカート/コル・レーニョ/バルトーク・ピチカートという内容で、トリルやサステイン・ノンビブラートはありません。“細かい表現よりも、がっつりフォルテで弾きまくれ!”というような傾向です。

パーカッション音源には、シンバル/スネア/和太鼓/タムなど、エピック系の音楽でよく使われる楽器が収録され、迫力ある太いサウンドが魅力的。

続くボーカル音源の“Merethe Soltvedt”には、女性の伸びやかな声が収録されています。こちらも滑らかなレガートで、とても自然に聴こえる素晴らしいサウンド。発声パターンはAh/Ooh/Mmmの3つで、ほかにもメジャー/マイナーのハーモニーや上昇スケールなどのフレーズも収録しています。激しいオーケストラ・アレンジ後にこの天使のような歌声が聴こえてくると、それはまさに“曇り空に一筋の光が射す”イメージそのもの。あえて合唱隊ではなく女性ソロ・ボーカルに設定したところが、“あなたこういうの好きでしょ?”と言わんばかりでクリエイターのツボを突いた音源だと思います。

最後の音源である“Sound Design”は、SFやアクション映画のトレーラー(予告編)でよく耳にする“重厚なヒット”
“ロボットなどの変形移動をイメージさせるSFX”“巨大生物の雄叫びを想わせるサウンド”などの効果音が収録されています。私は映像とBGMがシンクロしていくほど、そこに使われている効果音もそのBGMに違和感無く融合して聴こえるのが理想だと思っているので、これらの効果音もBGMにどんどん取り入れてみることをお勧めします。

Jaegerは厳選された楽器/奏法/音色を多数収録しています。映画のトレーラー制作はもちろん、楽曲の中でインパクトが欲しい部分に使用するのもお勧め。もちろん劇伴やエピック・ミュージックを取り入れたバンドなどにも幅広く活用できるでしょう。このJaegerを使ってより素晴らしい楽曲を作り、リスナーの心を射止める“Jaeger”(ドイツ語で狩る者の意味)になってみてはいかがでしょうか!


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年8月号より)

AUDIO IMPERIA

Jaeger Essential Modern Orchestra

60,740円(価格は為替相場によって変動)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
【REQUIREMENTS】 ▪Mac:OS X 10.11以降、スタンドアローン/AAX/AU/VST対応のDAW(64ビット)、I5 ▪Windows:Windows 7/8/10、スタンドアローン/AAX/VST対応のDAW(32/64ビット)、Intel Core I5または同等のC PU、2GB以上のRAM ▪共通:4GBのRAM(6GB以上を推奨)、OpenGL 2.1以降に対応するグラフィック・カード、インターネット接続環境、無償版NATIVE INSTRUMENTS Kontakt Player非対応

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