「SOFTUBE Weiss DS1-MK3」製品レビュー:高級マスタリング・プロセッサーをプログラムごと移植したプラグイン

SOFTUBE Weiss DS1-MK3

REVIEW by 稲葉ナルヒ(LongRunMusic) 2018年6月1日

キャッチ

さまざまなハードウェアのプラグイン化を進めているSOFTUBEは、今回スイスにあるWEISSのダニエル・ワイス氏公認のもと、同社が誇るデジタル・マスタリング・ハードウェアの最高峰とも言えるDS1-MK3をプラグイン化して発売しました。フル・デジタルのオリジナル・コードをプラグインヘ完全移植してあり、オリジナル機に搭載されているDSPソウトウェアの完全なクローンに近いものとなっています。さらに単体で発売されているプラグイン、Weiss MM-1(単体価格18,334円)も付属しているというのはうれしいニュース。このWeiss MM-1はDAWミックスを行う方にはとても重宝するマキシマイザーです。今回は両プラグインともトライしてみました。どちらのプラグインもMac/Windows対応で、AAX/AU/VSTプラグインとして動作します。

透明感とツヤのある音質
音圧を上げてもザラザラしない

DS1-MK3のプラグイン化にあたってはオリジナル・ハードウェアには無かったブリックウォール・リミッターを追加搭載し、分解能は32ビット/192kHz(内部分解能は40ビット)。オリジナルのDS1-MK3は96kHzまでの対応だったのに対して、向上しています。画面構成もコンピューター画面上での操作性を考えて再設計されており、使いやすい配置です。

まずoptionではディザー、リミッター種類選択、各種メーターのレンジ表示切り替え、サイド・チェイン入力の選択などの設定を行います。Weiss DS1-MK3の基本機能は2chのコンプレッサー/リミッター。コンプレッサーの前段にはクロスオーバー・フィルターも備えており、ローパス/バンドパス/ハイパスのいずれかを使用し周波数を分割できますから、ディエッシングも可能です。

2つのチャンネルは左下にあるganged(連動)ボタンを選択しない限り別々のパラメーター設定で動作します。M/Sにも対応しており、ch1がMid、ch2がSideです。gangedの場合は一方のチャンネル・パラメーター(ch1/2のボタンで選択している方)がステレオ出力に反映されます。

向かって右側にはコンプレッサーのアタック、リリース、 スレッショルド、レシオを設定するノブが並びます。右上のaverageはコンプの反応速度を決めるパラメーターで、ピークとRMSの中間設定も可能となっています。

本格的なマスタリングのためにパラレル・コンプレッション・モードとサイド・チェインも備えます。クロスオーバー・フィルターを併用したパラレル・コンプレッションは元音のダイナミクスを損ねること無く細部を引き出すことが可能になるのです。スクリーンにはコンプレッサー・パラメーター情報のほか、ゲイン・リダクション、入出力のPEAKとRMSが同時にモニターできます。

使ってみると分かりますが、何よりも原音のダイナミクスを維持しながら必要な部分の圧縮を行い、ラウドネスを稼げるところがいいですね。音質は透明感がありますし、出力音にはツヤがあります。音圧を上げてもザラザラとしない自然な音質です。

初めはファクトリー・プリセットを利用して学習するのもよいでしょう。ドラム/ベース/ボーカルといったソロ・トラックにも利用できるプリセットも用意されており、自身でエディットしたプリセットも保存や上書きすることができます。

 

5種類のstyleが選択可能な
マキシマイザーMM-1が付属

次にWeiss MM-1デジタル・マスタリング・マキシマイザーを見ていきましょう。こちらはかなり手軽に使えるプラグインです。見た通り、パラメーター・ノブも3つだけのシンプル構成で初心者でも扱いやすいと思います。

▲Weiss MM-1。メーター左の“INPUT”上部を押すと、アウトプット・トリムが0/−0.1/−0.3/−1dBで選択できる。styleは癖の少ないtransparentのほか、RMSを高く保つloud、パンチと重みを加えるpunch、M/S処理で広がりのある音にするwide、そしてM/S処理とディエッサーを組み合わせたdeessが用意されている

▲Weiss MM-1。メーター左の“INPUT”上部を押すと、アウトプット・トリムが0/−0.1/−0.3/−1dBで選択できる。styleは癖の少ないtransparentのほか、RMSを高く保つloud、パンチと重みを加えるpunch、M/S処理で広がりのある音にするwide、そしてM/S処理とディエッサーを組み合わせたdeessが用意されている

特徴的なのは下部にあるstyleという5つのモード・ボタン。あたかもここに5人のマスタリング・エンジニアが待機している状態にも思えて面白かったです。基本操作は5つのstyleからいずれかを選びamountノブで徐々に処理を加えparallel mixでドライ(原音)/ウェット(処理音)バランスを調節。最終的にリミッター・ゲインの音量とamount、parallel mixのバランスがうまく整えば、DS1-MK3と同じようなラウドネスが得られます。ミックス・ダウン音源の状態が良ければこれだけで製品レベルのマスターが完成してしまうほどです。

styleを同時に2つ押せないか試しましたがそれはできなかったので、MM-1の2段がけにもトライ。例えば1段目にwideとゲインを加え2段目にtransparentとするなど、こうすることで音質を損なわずにstyleの併用可能でした。

MM-1も最終段にはブリックウォール・リミッターが入っていて、そのアウトプット・トリムも自在に設定が可能なので、インターサンプル・ピークを避けたデジタル配信用の音源も簡単にできてしまいます。デモ音源やスタジオ・セッションのラフ・ミックスの作成時などマスター・フェーダーの最終段にいつも挿しておけば、思わぬピークも抑えられるので便利です。

近年、ビンテージ・アナログ・ハードウェアをモデリングしたプラグインの人気が高まっていますが、デジタル・プロセッサー・ソースを移植クローン化したプラグインも多数開発されるのでしょうか? このDS1-MK3はその第一歩となるかもしれませんね。


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年6月号より)

SOFTUBE

Weiss DS1-MK3

50,741円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
【REQUIREMENTS】 ▪Mac:Mac OS X 10.9以降、AAX/AU/VST2&3対応のDAW ▪Windows:Windows 7/8/10(64ビット)、AAX/VST 2&3対応のDAW ▪共通項目:INTEL Core 2 Duo、AMD Athlon 64 X2または最新のプロセッサー、1GB以上のRAM、6GB以上のドライブ・スペース、Softube/Gobblerアカウント、PACE iLokライセンス・マネージャー(iLok USB Keyは必須ではない)、インターネット接続環境

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