「MACKIE. Thump12A」製品レビュー:1,300Wのアンプを搭載した多用途に対応するパワード・スピーカー

MACKIE. Thump12A

REVIEW by 山寺紀康 2018年2月4日

Thump12A-Thump12BST_Front

 MACKIE.のパワード・ラウドスピーカー、Thumpシリーズの中から、12インチ・ウーファーと1.4インチのチタニウム・ドーム・コンプレッション・ドライバーを搭載したThump12Aをレポートしてみる。1,300Wという高出力のパワー・アンプが搭載されているモデルだ。

2系統の入力を備えたシンプルな操作性
1サイズ上のような低域の量感

 Thump12Aは重量15.4kg。重さが負担になる重量ではなく、取手が4カ所についているので、スタンドに立てたり、コロガシとして設置するのは通常よりとても楽に感じた。筐体のサイズは、12インチ・ウーファーを有するスピーカーとしては少し大きい方かもしれない。

 背面には、2個のXLR/フォーン・コンボ入力それぞれにゲインがあり、MIX OUTをXLRで出力できる。使用環境に合わせて特性を補正するスピーカー・モードは、Music/Live/Monitor/Subの4種類。あとは、フロント側のLED(電源/入力とリミッター作動)を点灯するかどうかの選択スイッチのみ。操作が煩雑になりがちの昨今のパワード・スピーカーだが、シンプルな背面は、接続さえできれば確実に音が出せる安心感がある。また、スピーカー・モードの周波数特性が描かれているので、視覚からも音が想像しやすくなっている。

 早速マイクを使い、それぞれのモードを聴き比べてみたが、表記の通りの用途で使えるようになっているようだ。具体的にいうと、Musicは、スピーカーのパフォーマンスを最大限に生かしたレンジの広い状態である。Liveモードはスタンドに立ててマイク入力をしても、暴れる音にならないような設定。またMonitorモードは、低域や高域が整理され、近距離での使用でもハウリング・マージンが稼げるようになっているようだ。Subはサブウーファーとともに使う時用に、ローカットされている。全体の印象としては、たっぷりとしたローエンドを感じた。これは少し大きめな筐体の利点かもしれない。知らなければ15インチ・ウーファーかと思えるほどだ。規定レベルより抑えていても十分なパワーがあるので、どこまで出るのだろうかという気がした。この時点でリミッターがかかるようなこともなく、やはりアンプに余裕があるからなのかと想像できる。
 

▲リアの操作部。スピーカー・モードの切り替えスイッチと、フロントのLEDオン/オフに続き、CH1と2のゲインとメイン・ボリューム、CH1と2の入力(XLR/フォーン・コンボ)とMIX OUT(XLR)。その下にはスピーカー・モードの特性表が並んでいる

▲リアの操作部。スピーカー・モードの切り替えスイッチと、フロントのLEDオン/オフに続き、CH1と2のゲインとメイン・ボリューム、CH1と2の入力(XLR/フォーン・コンボ)とMIX OUT(XLR)。その下にはスピーカー・モードの特性表が並んでいる

 

▲リア側から全体を見たところ。操作部の上下左右にハンドルが設けられている

▲リア側から全体を見たところ。操作部の上下左右にハンドルが設けられている

 

小スペースのハウスからモニターまで
モードの切り替えで即座に対応

 実際に現場でThump12Aを使ってみた。ライブ用のリハーサル・スタジオに持ち込み、キーボード・プレイヤーのコロガシとして2基をステレオ仕様で設置。最初にLiveモードで使ってみると、ハイの伸びたクリアなピアノの音が再現できた。パワードでもあるので、ゆとりのあるパワー感が欲しい楽器(特にキーボード)用のモニター・スピーカーとして利用すると、低音部分がよく分かり効果的と思えた。さらにMusicモードにして、PAのEQで調整し、コーラス・マイクも含めてのミックスに使ってみた。低域の処理は必要になるものの、ハイレンジは奇麗に伸びていて、心地良いモニター・サウンドが再現できた。

 現場に居合わせた、長年音響と取り組んでいるスタジオのオーナーにも一声入れていただき、感想をうかがったところ好評。また実際に使用していただいたミュージシャンからも“かなり快適ですよ”という評をいただいた。

 もう一つの現場は、実際にお客さんの入るライブ・ステージにてモニター・スピーカーとして使用してみた。マリンバ&ボーカルとバンドのセッションで、時間もタイトだったため、MonitorモードでそのままノーEQで使ってみたが、ひとまずなんとかなった。その後多少調整しつつ、本番も滞りなく終えることができた。このモードの名称と特性の関係は、作る人の感性や哲学が影響するものだが、現場でそのまま使えたので、設定者の感覚も正しかったということになる。

 今回、現場でハウスでの試用はしなかったが、音源でチェックしたところ、水平90°×垂直60°の指向性であるため、小規模スペースでは1本で十分なエリアをカバーできている。特質はロー帯域の充実感と言えよう。サブウーファーが必要だと思えるところをカバーしている。Thumpシリーズには15インチという選択もあり、さらにサブウーファーを追加できる選択もあるので、用途に合わせて追加していくのもいい。コスト・パフォーマンスがいいことも選択肢に加わるだろう。

 前作のThump12では、3バンドEQを搭載していたが、Thump12Aではスピーカー・モードとしたことで、音響の知識を必要とせずに、切り替えだけで音を選んでいく使い方ができる。専門の音響屋には必要無いかもしれないが、電源を取り、接続をして、モード切り替えだけで使えれば、短時間に小スペースのPAで満足のいく結果を作れるかもしれない。そして前モデルから引き継がれたロー帯域の充実は、トークではなく、音楽を扱う上でどうしても必要な要素になる。それを1本のスピーカーで賄えられれば、いろいろな現場で重宝するだろう。また今回試してみて、プロ・ユースとしても十分対応できることが実証できた。
 

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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年2月号より)

MACKIE.

Thump12A

オープン・プライス(市場予想価格:34,300円前後/1本)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪構成:2ウェイ・パワード(バイアンプ) ▪ユニット:12インチ・ウーファー+1.4インチ・チタニウム・ドーム・コンプレッション・ドライバー ▪アンプ出力:1,300W(HF300WクラスAB+LF1,000WクラスD) ▪周波数特性:57Hz〜20kHz(−3dB)、50Hz〜23kHz(−10dB) ▪クロスオーバー周波数:2kHz(−24dB/Oct) ▪最大音圧レベル:126dB SPL ▪指向角:水平90°×垂直60° ▪ウェッジ使用時:仰角45° ▪外形寸法:358(W)×615(H)×356(D)mm ▪重量:13.2kg(1本)

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