「QSC K12.2」製品レビュー:DSP性能の向上で多様な用途に対応できるパワード・スピーカー

OSC K12.2

REVIEW by 増田聡(Astroglia) 2017年12月8日

QSC2

手ごろな価格帯ながら、クリアかつハイパワーで人気のQSC KシリーズがK.2シリーズとしてリニューアルされました。果たしてどんな進化を遂げたのか、旧シリーズと並べて比べてみました。

 

2,000W超えのクラスDアンプを搭載
くっきりとしていて飛んでくる音像

前シリーズは8/10/12インチのフルレンジ、そしてサブウーファーのK-SubをラインナップしたクラスDアンプ+DSP搭載の2ウェイ・パワード・スピーカーでした。今回はK-Sub以外の3モデルがK.2へと進化。偶然にも旧シリーズのK12をメイン・スピーカーとして使用している現場がありますので、これは良い機会とばかりに同じサイズのK12.2をお借りし、並べてテストを行いました。

単刀直入に申しますと、基本的には前シリーズと同じパワード・スピーカーと思っていただいて大丈夫です。外形や寸法はほぼ変わりありません。ただ、K12と比べて重量は約1kgほど軽くなっています。ポール・マウント穴の仕様も変わっていますが、新型はごく一般的な2穴タイプ。7.5°下向きに傾けても設置できます。

デフォルト設定時の出音についても同じキャラクターと言って差し支えないでしょう。Kシリーズと同様にくっきりとしていて飛んでくる音像です。DSPがしっかりと効いている音ですね。

スピーカーとしての素性は従来のKシリーズと同系統であることが分かりましたので、K.2シリーズでは何が変わったのかチェックしていきましょう。外観上で一番大きく変わったのはリア・パネルです。まず目を引くのが“2KW”の文字。従来のKシリーズは出力1,000WのクラスDアンプが搭載されていたのですが、新しくなったK.2シリーズが搭載するのは低域が1,800W、高域が225Wと約2倍のクラスDアンプです。入力はマイク/ライン・イン(Hi-Zにも対応)のほかにステレオ・ミニ端子とそのチャンネル・ゲインが1つ増えて、3系統になりました。ミキサー無しでBGMを足したいときに重宝します。そして液晶ディスプレイとコントロール・ノブも搭載。これだけで大幅にDSP性能がアップしたことがうかがえますね。

 

11種類のプリセットを用意
リコール機能で5つのシーンを保存可能

それでは新しく加わったコントロール・ノブを回して、各種設定画面に入っていきましょう。サウンドのプリセットはデフォルトを含み11種類から選ぶことができます。低域をグッと持ち上げたDANCEやスピーチ向けのHAND MICなど定番のプリセットはもちろん、ステージ・モニター向けに低域の出方が違う2種類のプリセットが用意されていて、フット/サイドの使い分けがしやすいと思いました。そのほか、変わり種としてベース用コンボ・アンプとして使えるプリセットもあります。

4ポイントのパラメトリックEQも備えています。このEQはプリセットの設定に依存はしないため、プリセットでキャラを決め、EQを使って好みのサウンドに補正することが可能。そのほか、SUBでサブウーファー接続時のクロスオーバーの設定、DELAYでリア・フィルなどで使う際のディレイ・タイムをms/フィート/メートルの3単位で設定できます。

このように“これもう、ちょっとしたミキサー内蔵型じゃん”と思ってしまうほどのメニューの充実ぶりです。実際にストリートでの演奏や講演会、カフェ程度の規模での使用ならばBGMの再生も含め、ミキサー無しで行えてしまうと思います。極めつけはリコール機能。作った設定を5つまで保存/呼び出しすることができるので、用途別またはオペレーター別に用意しておくことが可能です。設営と撤去を繰り返す仮設現場で役立つでしょう。

私自身、Kシリーズが大好きですので、K.2シリーズになってもガツンと飛んでくる音に変わりがなかったことがうれしかったです。外見や材質、質感も何ら変わりませんので、前シリーズと同じパワード・スピーカーとして扱っても全く問題ありません。搭載されているパワー・アンプは倍の出力になりましたが、パワーを持て余している様子は無く、“上げていっても余裕あります”感が増した雰囲気。実際、K12とK12.2のカタログ・スペック上の最大音圧レベルは1dB SPLしか変わらないのです。K.2シリーズは入力端子追加とDSPによるカスタマイズ性能の強化がリニューアルの目玉。これによりハイパワーで到達力のあるパワード・スピーカーの役目を果たしつつ、超が付くほどのユーティリティ・プレイヤーになったと言えるのではないでしょうか。新シリーズとなり、起こったのは大変貌(ぼう)ではなく“大拡張”でした。

 

▲K12.2のリア・パネル。上部にはDSPの設定を行う液晶ディスプレイとロータリー・エンコーダー、セレクト・ボタン×2を装備。その下、左端の縦列にはch Aのゲイン、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、スルー・アウト(XLR)、ch A/B/Cのミックス・アウト(XLR)が並ぶ。中央の縦列はch Bのゲイン、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、スルー・アウト(XLR)。その隣にはch Cのゲインと入力端子(ステレオ・ミニ)が備わっている

▲K12.2のリア・パネル。上部にはDSPの設定を行う液晶ディスプレイとロータリー・エンコーダー、セレクト・ボタン×2を装備。その下、左端の縦列にはch Aのゲイン、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、スルー・アウト(XLR)、ch A/B/Cのミックス・アウト(XLR)が並ぶ。中央の縦列はch Bのゲイン、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、スルー・アウト(XLR)。その隣にはch Cのゲインと入力端子(ステレオ・ミニ)が備わっている

 

▲DSPのプリセット画面。ライブのメイン・スピーカーやモニターとしての使用を想定したプリセットのほか、アコースティック・ギターとボーカルに適した設定やベース・アンプとして使用する設定も用意されている

▲DSPのプリセット画面。ライブのメイン・スピーカーやモニターとしての使用を想定したプリセットのほか、アコースティック・ギターとボーカルに適した設定やベース・アンプとして使用する設定も用意されている

 

 

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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年12月号より)

OSC

K12.2

オープン・プライス(市場予想価格:85,800円前後/1本)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪ユニット構成:12インチ(低域)+1.4インチ(高域) ▪クラスDアンプ出力:1,800W(低域)+225W(高域) ▪周波数特性:45Hz〜20kHz(−6dB) ▪最大音圧レベル(ピーク):132dB@1m ▪指向性:75°(水平) ▪外形寸法:356(W)×602(H)×350(D)mm ▪重量:17.7kg(1本)

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