「IK MULTIMEDIA Syntronik」製品レビュー:数々のシンセ/ストリング・マシンのサウンドを収録したソフト音源

IK MULTIMEDIA Syntronik

REVIEW by 山中剛 2017年10月2日

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2017年後半にリリースされるソフト音源の中で間違いなく注目されているのが、このシンセ/ストリング・マシン音源、Syntronikではないでしょうか。同社のモデリング・ベース音源、Modo Bassが高いポテンシャルを持っていたので、サンプリングとモデリングを組み合わせたハイブリット音源であるこの製品にもかなり期待していました。早速チェックしていきましょう。なお、SyntronikはMac/Windowsに対応し、AAX/AU/VSTのほか、スタンドアローンでも動作します。

 

膨大なサンプルとモデリング技術を融合
モダンなビンテージ・サウンドを生み出す

まずはSyntronikのポイントを簡潔に説明しましょう。コンディションを吟味したシンセサイザーやストリング・マシンの実機を丁重にマルチサンプリングしており、その50GBものサンプルがSyntronikの心臓部に当たります。これだけでも貴重なビンテージ・シンセサイザーのライブラリーとしてかなり魅力がありますが、単にサンプルをプレイバックするだけではありません。後述のDRIFT機能で自然な揺らぎを付加し、定評あるモデリング技術によるフィルターとエフェクトで細密な調整から大胆な加工まで可能。最大4音色をレイヤー/スプリットできる機能やアルペジエイターなども搭載し、ビンテージ・シンセの再現ではなく、ユーザーのニーズに応じた“モダンなビンテージ・サウンド”を手軽に作ることができるのがSyntronikの魅力であり、個性なのです。

総サンプル数が70,000を超えているサウンド・ライブラリーは、質と量の両方がトップ・クラス。定番のMOOG MinimoogやSEQUENTIAL Prophet-5はもちろん、ROLANDやYAMAHA、PPGのシンセなど、さまざまなサウンドを網羅しています。サンプリング・ソースとなっている機種は38種類なのに、なぜインストゥルメントは17種類なのか……それは、同じメーカーのサウンド・キャラクターが近い製品を1つのインストゥルメントとしてまとめられているからです。例えば、ROLAND Jupiter-8/Jupiter-6/Jupiter-4のサンプルはJ-8というインストゥルメントとして収録されています。

先述したDRIFTとは、1音ごとに音色やピッチだけでなく、位相なども微妙に変化させることで、アナログ回路の特徴である“揺らぎ”を加える機能です。サンプリングやモデリングだけでは単調になりがちなフレーズに、有機的な揺らぎと表情を与えてくれます。同じ音程が連続するベース・ラインやシーケンス・フレーズなどでその違いが認識しやすいでしょう。

 

 

名機のフィルター回路をモデリング
インストゥルメントとの組み合わせも自在

回路レベルから解析/モデリングされて作られたフィルターはSyntronikの大きな魅力です。Minimoog、Jupiter-8、Prophet-5、OBERHEIM SEMという歴史的な名機に搭載されていた4種類の代表的なアナログ・フィルターのほか、デジタル・フィルターも用意。バイパスも含めて、フィルター・セクションには計8種類の選択肢があります。これらのフィルター切り替えはどのインストゥルメントでも行えるので、MinimoogのオシレーターにSEMのフィルターを使う……なんて組み合わせも自在にできます。

エフェクターは、1つの音色ごとに最大5つまで自由に選択して使用できます。特にアンプ・シミュレーターなどのひずみ系と、シンセには欠かせないコーラスなどのモジュレーション系が充実しているのがありがたいです。

レイヤー/スプリットは音作りにおいて大きなポイントになります。例えば、同じ音色をレイヤーし、それぞれデチューンやフィルター、コーラスなどの設定を微妙に変えると、より厚みのあるサウンドが簡単に作れます。また、ノート/コード・アルペジエイターと併用すれば、ビンテージなトーンや質感を持ちながらも、かなりアグレッシブでモダンなフレーズも容易に作成することが可能です。

再現性で勝るサンプリングと、表現力で勝るモデリングを1つの音源に融合させたのがSyntronikです。サウンドに表情があり、中低域に弾力を感じるふくよかな音色が、今までのサンプル・ベースの音源には無い特徴と言えます。50種類のプリセットを厳選したフリー版もありますので、ぜひ試してみてください!

 

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▲インストゥルメント“Pro-V”のプリセットを読み込んだ画面。SEQUENTIAL Prophetシリーズのようなデザインになっている。画面左上のA/B/C/Dにそれぞれ違うプリセットを読み込むことができ、音色のレイヤー/スプリットが可能だ

 

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▲エフェクトの設定画面。モジュール・スタイルのエフェクトが36種類収録されており、1つのプリセットにつき5種類まで使用できる

 

 


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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年10月号より)

IK MULTIMEDIA

Syntronik

ダウンロード版:€299.99(クロスグレード版もあり)/ボックス版:39,500円(クロスグレード版もあり)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
REQUIREMENTS ▪Mac:OS X 10.9以降、INTEL Core 2 Duo以上のプロセッサー ▪Windows:Windows 7以降、INTEL Core 2 Duo以上またはAMD Athlon 64 X2以上のプロセッサー ▪共通項目:4GB以上のRAMを推奨 ▪対応フォーマット:AAX/AU/VST/スタンドアローン

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