「EXPONENTIAL AUDIO R4」製品レビュー:往年の響きを引き継ぎつつ現代的な機能を備えたリバーブ・プラグイン

EXPONENTIAL AUDIO R4

REVIEW by 森元浩二.(prime sound studio form) 2017年9月5日

R4-1 デフォルト+Attackバッチリver

EXPONENTIAL AUDIOは、約25年にわたってLEXICONのデジタル・リバーブを開発に携わってきたマイケル・カーンズ氏が、2012年に設立したデベロッパーです。今回は同社の製品の中でも、クラシックな響きと高機能を兼ね備えたというリバーブ・プラグイン、R4を取り上げてみましょう。

 

視覚的に分かりやすいGUI
残響に特異な処理が施せる

まず、画面を見て最初に目が行くのは、虹色の大きなグラフィック・ディスプレイ。その下には白色で表示されたインプット・セクション、青色で表示されたアーリー・リフレクション・セクション、オレンジ色で表示されたリバーブ・セクションがあり、6タイプのフィルター・ボタンが各セクションごとに設置してあります。また、この3つのセクションの設定は、ディスプレイ中に白、青、オレンジの線でそれぞれ表示されるため、視覚的にとても分かりやすいGUIとなっています。

グラフィック・ディスプレイの右側にはMix、Predelay Time、Reverb Time、Trimノブが縦1列に並んでいます。Mixの設定値は、プリセットを変更しても固定されているので、いろいろなプリセットを試したい場合に大変便利でしょう。Predelay Timeは、ms単位はもちろん、テンポ/音符での設定も可能です。

画面右下にある6つのボタン(Attack、Tail、Early、Warp、Chorus、Gate)は、選択するとそれぞれのパラメーター画面が表示される仕組みになっています。

AttackではReverb Typeから、4つのタイプ(Plate/Chamber/Hall1/Hall2)が選べます。また、Envelope Attack、Envelope Time、Envelope Slopeの3つは、ほかのプラグインではあまり見かけないパラメーターで、残響部の頭のエンベロープを大胆に変更可能です。

Tailでは、残響部の調整ができます。ここでは、Reverb Size、Xover Frequency、Low-Mid Balanceなどが並び、その下に高域減衰の周波数を調整するDamp Frequencyとその減衰率を調整するDamping Factorがあります(画面①)。Tail Widthでは、残響成分のステレオ感を、モノラルに近いNarrowからほぼ左右逆位相のWideまで5段階で変更可能です。トラックのパンを触ることなく残響のステレオ感を決められるのが良いですね。RvbDelay Timeは0〜2,000msで調整でききます。Tail SuppressとTail Recoveryもあまり見かけないパラメーターですが、残響部にコンプをかけたような効果を作り出すことができます。リバーブの密度を上げるために、プラグインを追加することなく実現できるのは、CPU消費の点からも良いでしょう。

 

▲画面① Tail画面では後部残響にコンプを書けたような効果を作り出すこともできる

▲画面① Tail画面では後部残響にコンプを書けたような効果を作り出すこともできる

 

▲画面② Warp画面ではコンプやオーバードライブを施したユニークなサウンド作りが可能だ

▲画面② Warp画面ではコンプやオーバードライブを施したユニークなサウンド作りが可能だ

 

特筆すべきはこのR4のオリジナル・パラメーター、Warpです(画面②)。今までのリバーブ・プラグインでは恐らく見たことのないCompressorやOverdriveなどなどのノブ。Word Sizeという12ビットから32ビット・フロートまでのビット・クラッシャーも搭載しています。プリセットで確認してみたところ、クリエイティブなエフェクト音色が中心となっています。ほかにもEarlyでは初期反射の立ち上がりや広がりを、Chorusでは残響部の揺れ具合を調整することができ、Gateではエフェクト成分全体にゲート処理を施すことが可能です。

このように、R4は一つ一つのブロックにあるパラメーターで細かい調整ができ、また、ユニークなエフェクト処理も可能な高機能リバーブ・プラグインです。

 

1,200種以上のプリセットを収録
往年の太くて温かいリバーブ・サウンド

画面右上のプリセット・セクションでは方向キーの上下でKeyword(カテゴリー)欄を、左右でPreset欄を操作でき、ロード時間も短いので素早いプリセットの呼び出しが可能です。収録プリセット数は、なんと1,200種以上!

肝心な音色は、224XLや480Lに代表されるLEXICONの音を予想していたのですが、どちらかと言うとPCM92以降のハードウェアやPCM Native Reverb Plug-Inに近く、太くて温かいサウンドが得意のようです。パラメーターも豊富なので、密度が薄くて粗い音や、密度が濃くて奥深い音まで、ハード機なら数台分は必要であろう多彩な音色をこれ一つで作ることも可能。

また、CPU消費量が非常に少ないのも特徴ですね。私はこの原稿を書くためにR4を使い始めたのですが、その日以来R4は私のお気に入りのプラグインの一つとなりました。昔はリバーブの台数が限られていたため、AUXにまとめて1つのリバーブに送るのが主流でしたが、DAW上の各トラックに1つずつインサートして使う現代に合った、機能的なリバーブ・プラグインだと思います。

 


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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年9月号より)

EXPONENTIAL AUDIO

R4

34,130円(価格は為替相場によって変動)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪Mac:OS X 10.8以降、AAX(Nati ve、32/64ビット)/AV/VST/VST3(64ビット)対応のホスト・アプリケーション ▪Windows:Windows 7以降、A AX(Native、32/64ビット)/VST/VST3(64ビット)対応のホスト・アプリケーション ▪共通項目:2GHz以上のマルチコアCPUと2GB以上のRAMを推奨、iLok2またはiLok3

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