「IZOTOPE RX 6 Advanced」製品レビュー:さまざま機能が追加されたオーディオ・リペア・ソフトの新バージョン

IZOTOPE RX 6 Advanced

REVIEW by 中村文俊(オフィスインビレッジ) 2017年7月31日

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DAWを中心とした音楽制作になり、よりハッキリといろんなノイズが聴こえるようになってきました。昔はそれほどリップ・ノイズなどは気にはならなかったのですが、今では解像度も上がり、波形でハッキリ確認することができます。そのノイズをコツコツとキレイにする作業には、意外と時間がかかり、忍耐力も必要です。そんなときに役立つのが今回ご紹介するIZOTOPEのRXシリーズです。最新のRX 6がどのようなアップグレードを遂げているのかチェックしてみましょう。

 

スタンドアローンだけでなく
一部機能はプラグインで動作

本製品は、機能の数によって、Elements(オープン・プライス:市場予想価格16,000円前後)、Standard(オープン・プライス:市場予想価格42,000円前後)、Advancedと3つのバージョンがあります。価格も異なりますので、どの機能が欲しいかによって選ぶと良いでしょう。実際に使ってみた感想としては、音楽制作におけるノイズ系の除去であればStandardは欲しいところです。すべての機能を使えるAdvancedは、Dialogue Isolateや風の音を軽減するDe-wind、空気感を合わせるAmbience Matchなど、映像系のポストプロダクションでは特に威力を発揮するでしょう。

本製品は基本的には、Mac/Windowsで動作するスタンドアローンのソフトウェア。WAVファイルなどを直接編集するのであれば、DAWを立ち上げなくても作業できます。スタンドアローンの機能の中から、より使用頻度の多い処理を、AAX/AudioSuite DPM/AU/RTAS/VSTのプラグインとして使うことができます。音楽制作においては、処理できる機能は限られていますが、気軽にDAW上で使えるのはうれしいところでしょう。また、スタンドアローンのすべての機能をDAW上で使いたい場合は、DAWとRX 6アプリケーションを両方立ち上げて、DAWからRX 6 Connectを介してRX6にオーディオを送り、処理をしてDAWに戻すというやり方も可能です。このとき、RX Monitarプラグインを使えば、RX 6で処理している音をDAW内で聴くこともできます(画面①)。

 

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▲画面① RX 6の機能の一部はDAW上のプラグインとして動作するが、AVID Pro ToolsやSTEINBERG Cubase/Nuendoなどでは、RX Connect(左)を立ち上げRX 6にオーディオを送り、処理後に戻すという方法で可能。RX 6で処理している音をDAW上で確認する場合は、RX Monitor(右)で行うことができる

 

 

音楽制作で特に気を遣う
ボーカル処理の機能を追加

今回のアップグレードでは、音楽制作において一番気を遣うボーカル処理の機能が増えました。ディエッサーの“De-ess”、口の“ペチ”や“クチャ”という音を取る“Mouth De-click”、ブレスの音量を調整できる“Breath Control”です。Breath Controlのみプラグイン版はありませんが、しっかりノイズを取ってくれ好印象です。

では実際にPro ToolsとRX 6を使って、処理をしてみましょう。まずボーカルの波形にノイズが乗っていた場合。波形を選択してAudioSuiteからMouth De-clickを選び、RENDERするだけで奇麗に消すことができました。さすが声に特化したMouth De-clickだけあって、今までのDe-clickより使いやすくなっています。

次にアコギで、フレット・ノイズが大きくなってしまった場合です。ここでは“SpectralRepair”を使いたいので、RX Connectを使ってRX 6にオーディオを送ります。そしてフレット・ノイズの部分のみ選択し処理すると、ノイズが軽減され良いバランスになりました。SpectralRepairは消したい部分のみを選択することで、ほかには影響せずにピンポイントでノイズを処理できます。この処理は、ライブのアンビエンスの中から突発的な客の声を軽減したり、宅録で救急車のサイレンが入ってしまったなど、特定の帯域だけ消したというときに非常に有効です。また、これもよくありますが、宅録でレベルを大きく録音してしまってひずみっぽくなってしまった場合。そんなときは“DeClip”を使えばひずみ感を軽減できます。これは2ミックスでも有効です。デジタル環境で中域が張っている音源の場合、レベルを突っ込むと数カ所でひずんでしまうことがありますが、DeClipなら、全体のレベルをあまり落とさずにひずみを軽減できるので、マスタリングでも活用されているのです。

ほかにも、シンセのシーケンス音の高域でアタックが強過ぎるときや、ライブの拍手がノイズっぽくうるさいときなど、EQで高域を削るとこもってしまいますが、“DeClick”を使えば高域はあまり削らずに聴きやすくなり、後処理がしやすくなります。また、“De-bleed”は、ヘッドフォンからのクリック音漏れを、”De-hum”は、ディストーション・ギターのハムノイズの軽減に役立ちます。このようにRX6は、簡単にノイズを改善もしくは軽減することができる、困ったときの助け舟ツールと言えます。

ここで紹介したのはほんの一部で、RX 6のすべての機能を紹介するのは、この誌面上だけでは到底無理です。ノイズを取る以外にも豊富な処理が本製品には詰まっています。今回のアップデートで、ポスプロだけでなく音楽制作でも便利!と言えるようになったでしょう。そのほかの機能は、IZOTOPEのWebサイトでたくさん紹介されているので、それも併せて参考にしてみてください。実は筆者は、もうこれ無しではいられない……というくらい使用頻度の高い製品になっているのです。

 


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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年8月号より)

IZOTOPE

RX 6 Advanced

オープン・プライス(市場予想価格:140,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
REQUIREMENTS ▪対応OS:Mac OS X 10.8.5以降、Windows 7以降 ▪対応フォーマット:AAX(64ビット)、AudioSuite DPM、AU(32/64ビット)、RTAS(32ビット)、VST(32/64ビット)

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