「CINEMATIC STRINGS Cinematic Studio Strings」製品レビュー:シンプルで取り回しの良いハリウッド・スタイルのストリングス音源

CINEMATIC STRINGS Cinematic Studio Strings

REVIEW by 井筒昭雄 2017年3月3日

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CINEMATIC STRINGS Cinematic Studio Stringsは、オーストラリアの映画音楽向けの大規模レコーディング・スタジオで収録された、ハリウッド・スタイルのストリングス音源で、汎用性に優れたNATIVE INSTRUMENTS Kontakt 5 Playerで操作します。

手早く作業を行いたい場合に便利な
“アンサンブル・パッチ”を収録

同社のCinematic Strings 2をベースにしたというユーザー・インターフェースは、1画面にパッチ・リスト、簡単にアサイン可能なキー・スイッチとMIDI CC、アウトプット・セクション、ミキサー、リバーブが表示されており、音源を立ち上げるとすぐに使える仕様になっています。シンプルな構成なので、ストリングス音源が初めての人もすぐに理解できるでしょう。奏法に関しては、レガートはもちろん、スフォルツァンド、スタッカート、スピッカート、トリル、ハーモニクス、トレモロ、さらにはコンソルディーノ(ミュート)などをぜいたくに収録しています。

早速1stバイオリンを立ち上げてみました。レガートはStandard/Advancedでモードを切り替えることができ、ベロシティの強さに応じてSlow/Medium/Fastの3段階のスピードで反応してくれます。演奏時のアタック感や、音と音をつないで弾いたときの反応に多少クセはあるものの、慣れてくればとても表現しやすくなると思います。レガートをOFFにするとアタック/リリースを調整できるポリフォニックなサステインとなり、鍵盤で行うスケッチ作業などで使いやすいと思います。

Cinematic Studio Stringsにはほかに美しいポルタメントをはじめ、音符ごとのレガート演奏(上方向&下方向)を丹念に収録。同じ音を続けて弾くパッセージの際の“再ボウイング”が収録されているのもうれしいところです。このおかげで同じ音を連打しても機械的にならないため、表現の幅が広がります。特にピチカートの質感はなかなかグッとくるものがあり、曲中でも効果的に鳴ってくれそうです。このほかにコル・レーニョやスナップなどの奏法も小気味良いニュアンスで収録されており、とても魅力的な響きに感じました。

バイオリンからコントラバスまで1つになった“アンサンブル・パッチ”は、とにかくすぐに音色を立ち上げてスケッチしたい場合などにとても重宝します。ライト版のアンサンブルでは奏法を必要最低限に絞ってあり、スピードが要求される現場で重宝しそうです。このアンサンブル・パッチは、例えばワン・セクションごとにオーケストレーションして打ち込んでいくのではなく、鍵盤に置き換えて一気に弾きながら作曲する人に向いていると思います。一通り弾いた後で、1st/2ndバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスというふうに割り振っていけばいいのです。

ストリングス・セクションは、相性の良いリボン・マイクとコンデンサー・マイクを使い、3つの距離から収録してあるとのことで、Close/Main/Roomのマイク・サウンドの組み合わせでボリューム・バランスとパンを調整できます。このマイクの組み合わせで、思った以上にサウンドのバリエーションが出せました。試しにRoomとMainをミュートしてCloseだけにしてみたのですが、弦のザラザラ感が強調され、近くで鳴っている感じがとても良かったです。もちろん、より少ないシステム・リソースの範囲内で演奏したい場合のために、この3つがあらかじめミックスされたサウンドも収録されています(画面①)。リバーブも付属しているので、暫定的に使うもよし、そのまま最後まで使うもよしで、とても便利。ただ、リバーブを全く使用しなくても、どことなく“リバービー”なサウンドなので、そのままの音でも十分かと思います。

◀画面① ストリングスのサンプルは3つの距離から収録してあり、Close/Main/Roomの各マイクの音量バランスとパンを個別に調整可能。これらの組み合わせで幅広い音作りが可能だ。手早く作業したい場合は、3本のマイクがミックスされた“Mix”を選択するとよい

▲画面① ストリングスのサンプルは3つの距離から収録してあり、Close/Main/Roomの各マイクの音量バランスとパンを個別に調整可能。これらの組み合わせで幅広い音作りが可能だ。手早く作業したい場合は、3本のマイクがミックスされた“Mix”を選択するとよい

なお、音源の読み込みにはDFD(Direct From Disk)を採用。サンプルの大部分をRAMに読み込まず、ハード・ディスクから直接再生(ストリーミング)することで、コンピューターに搭載されたメモリー容量以上のサウンドを扱えるのも非常にありがたいです。

リッチな質感と芯を感じさせる音色
明るいタッチの曲にマッチ

肝心の音色ですが、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスはいずれもリッチな質感が素晴らしく、豊かな響きとともに芯を感じる音像となっています。柔らかく静かなタッチより、パワフルで生き生きとした明るいタッチの曲にマッチしそうに感じました。特にバイオリンのハイポジションでの音の伸びとツヤは、この音源ならでは。音色キャラクターとしてはどちらかというとハイが控えめですが、“ドリーミーなニュアンス”という位置付けで、音源バリエーションの中にあるとよいと思います。

ただ一点、好みが分かれるかもしれないのが、ビブラートの主張が割と強いところ。逆にそこを効果的に使えそうな曲調の場合は、この音源の良さが発揮されると思います。また、チェロとコントラバスは倍音の感じがとても心地よく、一瞬でフワッと包み込むような雰囲気が出せ、音色にも説得力を感じました。個人的にはバイオリンのピチカートや低弦のスタッカートに特化して使用し、ほかのストリングス音源に混ぜてみるのもよいかと思いました。

充実した収録内容を考えると、高品質かつ非常にリーズナブルなストリングス音源だと思います。容量も適度で重過ぎることもなく、インターフェースもとてもシンプルなので、初めてこの手の音源を購入する人にも良いのではないでしょうか。

 
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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年3月号より)

 

CINEMATIC STRINGS

Cinematic Studio Strings

42,619円(価格は為替相場によって変動)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
REQUIREMENTS ▪Mac:OS X 10.9以降 ▪Windows:Windows 7以降 ▪共通項目:INTEL Core Duo 1.66  GHz以上のCPU、4GB以上のRAM、36GB以上のストレージ空き容量

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