「TASCAM TM-280」製品レビュー:ローカットとPADスイッチを備えた単一指向性コンデンサー・マイク

TASCAM TM-280

REVIEW by 沖悠央(SCRAMBLES) 2017年3月1日

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TASCAMは、日本の音響機器メーカーTEACの業務用音響ブランド。民生用からプロ用まで幅広い機材を扱っており、オーディオ・インターフェースなどDTM関連製品で高い評価を受けています。私も昔はTASCAMの機材を使ってリハーサル・スタジオでレコーディングをしていました。今回ご紹介するのは、そのTASCAMから発売されたコンデンサー・マイク、TM-280です。

大型の34mmダイアフラム採用
SN比80dBという低ノイズを実現

TM-280は、ラージ・ダイアフラムのコンデンサー・マイク。大型の34mmピュア・ゴールド・コーテッド・ダイアフラムを搭載しており、きらびやかな音が特長とのこと。高品位な内部パーツを採用することにより、SN比はTA
SCAMのマイク・シリーズでは最も高い80dB。また最大SPLは135dBで、これはレコーディング・マイクの標準と言われるNEUMANN U87AIよりも大きく、スペックの高さを感じさせます。

コンデンサー・マイクですので、ファンタム電源(48V)を使用します。指向性は単一で、狙った音をとらえやすく、本体の表側には、暗騒音などをカットできる低域減衰スイッチ(ローカット・フィルター)と、大音量の楽器録音に使用できる−10dB PADスイッチを付属。特にPADスイッチは、音が大き過ぎる場面に、音量/声量を下げてもらうというのは良いパフォーマンスにも影響しますので、プレイヤーにストレスをかけないというエンジニア目線から見るととても便利で必要なものです。

製品は立派な持ち運び用のフライト・ケースに入っています。マイクは繊細な道具ですので、持ち運ぶ際に丈夫なケースが付いているというのは非常に心強いです。私は先輩に“プロはケースにこだわれ”と聞かされておりますので、このポイントは高いです。中にはマイク本体、サスペンション、ポップガードが入っており、このまますぐボーカル・レコーディングできるようなワンセットになっています(写真①)。

▲本体は専用のフライト・ケースに収められている。そのほかに、マイク下部からネジで固定するタイプのサスペンションと、そのサスペンションに固定できるポップ・ガードも付属する

▲本体は専用のフライト・ケースに収められている。そのほかに、マイク下部からネジで固定するタイプのサスペンションと、そのサスペンションに固定できるポップ・ガードも付属する


 

素直な音質で録音できるため
さまざまな場面で活躍

それでは実際のレコーディングで試してみます。まずは女性ボーカルの録音に使ってみました。とても抜けの良い、くっきりとした音質です。周波数特性を見ると、9kHz付近にピークがあり、リード楽器の録音に向いているとのこと。特性も相まって、声の倍音を強調してくれるので、オケからグッと前に出てくる感じがあります。ハイ寄りの音かと思いきや、低域や中域の音の芯もしっかりある“素直な音質”でした。後々ミックスで処理する際でもEQで補正しやすく、非常に使いやすいと思います。素直な音質である分モニタリングもしやすいので、客観的に音を聴けるでしょう。もっと声に低域感が欲しい場合は、マイクの近くで歌うことで近接効果が出ますので、距離で調節すると太めの音質になります。私はこちらの音質も好みでした。リハーサル・スタジオなどにマイクを持って行ってレコーディングする際は、ローカット・フィルターをオンにして録るとノイズや環境音をカットして録音できますので、効果的だと思います。

続いて、アコースティック・ギターでも試してみました。マイクを向ける位置は、私がオーソドックスな場所としているギターの12フレット付近です。録ってみると抜けのいい音が拾えました。アコギは高い周波数成分が多い楽器でもありますので、このマイクとの相性もとてもいいです。ギターのアタック感を強調したいときや、リズム的なパーカッシブなフレーズを録りたいときは、ローカットをオンにしてレコーディングすれば、より狙った音になります。逆にロー感を多めにしたいときは、ローカットをオフにして、マイクを向ける位置をサウンド・ホール付近に狙うといいでしょう。今回試すことはできませんでしたが、管楽器もオススメということです。

また、弊社SCRAMBLE STUDIOでのバンド・リハーサルで、アンビエンス・マイクとしても使ってみました。その際、フィルター・スイッチとPADスイッチは両方オンに。リハーサル中は演奏の動きや風でノイズが入ったり、不意に大きな音が出たりするので、保護のためです。

単一指向性なので、マイクを向ける位置には注意が必要です。リハ録音が目的なので全体の位置バランスを見つつ、バンドの中心付近に立てて収録してみます。録音したものを聴いてみると、バランス良くクリアに録れていました。マイクによっては濁ったり音が遠くなったりしますが、TM-280はリハーサルの雰囲気をそのまま収録できたので、ライブ録音でも使えそうだと思いました。

今回TASCAMのマイクを初めて使いましたが、スペックが高く、音質も良いので驚きました。サスペンションやポップガードなど付属品が付いており、コスト・パフォーマンスも優秀です。自宅での録音をしているシンガーや、最初のコンデンサー・マイクとして何がいいだろう?とお悩みの方にオススメかと思います。

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2017年3月号より)

 

TASCAM

TM-280

オープン・プライス(市場予想価格:28,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪形式:コンデンサー・マイク ▪指向性:単一指向 ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪感度:−36dB±2dB(0dB=1V/Pa@1kHz) ▪SN比:80dB ▪最大SPL:135dB ▪出力インピーダンス:50Ω±30% ▪ファンタム電源:48V ▪外形寸法:50.5(W)×187.5(H)×50.5(D)mm ▪重量:417g ▪付属品:サスペンション、ポップ・ガード、フライト・ケース、5/8↔3/8インチ変換アダプター

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