「ZOOM F4」製品レビュー:最大で6chの外部同時録音に対応するフィールド・レコーダー

ZOOM F4

REVIEW by 森田良紀(studioforesta) 2017年1月7日

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ZOOMよりF8が発売され、映像業界での業務用フィールド・レコーダーとしての地位が確立されてはや一年。さらなるシェア拡大に向けて、機能を絞り込み価格を抑えたF4が発売されました。以前F8のレビューを担当した縁もあり、個人的にも大変気になっていた製品でしたので、願ったりかなったりの試用となりました。

F8の基本性能を引き継ぎつつ
機能を絞り込んで低価格化を実現

F8は、現状考え得る機能をすべて盛り込んだ“フラッグシップ”の名に恥じない製品でした。ただ、業務用フィールド・レコーダーとしては破格だったものの、価格的には“プロ向け”で、一般ユーザーには敷居が高かったと思います。その点F4は、基本性能はほぼF8から引き継いでいるにもかかわらず、価格は約半分という大変魅力的な設定で、幅広い層に受け入れやすくなったと思います。

基本機能としては、最高24ビット/192kHzのPCM録音が可能なレコーダー部と、ロック付きXLR/フォーン・コンボ端子のマイク/ライン・プリアンプが4ch分。これにステレオ・ミニのRTN入力もしくはMIC IN端子を介しての外部入力2chを加えた、計6chの同時録音が可能です。さらに、上記入力音声を内部ミキサーでミックスした2chも同録可能となっています。出力は標準XLR端子のMAIN OUTとステレオ・ミニのSUB OUT、ヘッドフォン出力。すべてのアウトは個別に出力するチャンネルを選択でき、プリ/ポストの選択やレベル調整も可能なため、SUB OUTをカメラの音声入力に使用する際なども柔軟に対応できます。録音メディアはSDHC/SDXC対応のSDカード・スロットが2つあり、スロットごとに録音するファイル形式(WAV/MP3)を選択できるので、いざという際のバックアップ録音も万全です。

F8からの変更点としては、同時録音チャンネル数とマイク入力数の減少、液晶ディスプレイがモノクロに変更、Bluetoothでのリモート・コントロールが無くなったことなどでしょうか。とは言え、6chのマルチ録音が可能なので、大抵の現場に対応できると思います。機能を絞った恩恵か、F8と比べてバッテリーのスタミナが向上しており、同じ使用環境で1時間ほどの余裕が出ました。またリモート・コントロールが無くなった分、F8で固定だったショートカットがF4では柔軟にアサインできる仕様となっており、現場でよりスピーディに操作できるでしょう。

 

豊富にそろえられた入力オプション
クリアかつ芯のあるマイクプリの音質

F4は端子類の配置にも余裕が出たため、特にアウト関係の抜き差しがやりやすくなった印象です。個人的に歓迎するポイントは、F8では縦向きだった外部拡張用のMIC IN端子が、F4では横向きになったこと。これによってX/Yマイクなどを本体に直接接続した際に、左右のステレオが正しい位置で使用できるのはうれしいポイントです。このMIC IN端子にはX/YマイクやM/Sマイク、ガンマイクなどの多彩なZOOM製マイク・カプセル、XLR/フォーン・コンボ端子を備えたアダプターEXH-6などを接続でき、用途によって必要な入力を追加できます。

また、オプションの延長ケーブルECM-3/ECM-6を使用して、本体から3〜6m離れた位置にマイクをセットすることも容易です。実際に屋内外の幾つかの現場で使用してみましたが、小さなマイク部だけを自在にセッティングできるので、カメラへの映り込みを最小限に抑えつつ、理想的な位置に機材を配置できました。これらのケーブルは同社のほかのレコーダーにも対応しているので、H6などをお持ちの方にもお薦めです。なお、MIC IN端子とRTN入力は排他使用となります。

肝心のマイクプリの音質は、F8と同様クリアかつ芯のあるもの。レンジ感も十分にあり、接続するマイクの性能を十分に引き出していると感じました。チャンネルごとに使用できるリミッター/ローカットもF8と同等の性能で、他社のオマケ程度に付いているものとは一線を画します。

使用時の注意点としては、SDカードの収納場所がバッテリーと共通になったこと。バッテリー・ケースが内部で固定されていないため、リア・パネルを下に向けてカバーを開けるとバッテリーが外れてしまいます。電源を入れたままSDカードの抜き差しする際は注意が必要です。また個人的には、マスター・アウトの出力レベルが−10dBだけでなく+4dBにも対応していれば、例えば音楽配信番組の現場で、簡易的なマルチトラック・レコーダー兼デジタル・ミキサーとして本機を使えたのに……と感じました。

今回F4を使用してみて分かったのは、必要な機能を絞り込み、使いやすさを高めた製品だということです。各端子や部品は、F8から引き続き信頼のおける精度の高さで、ハードな現場での使用にも耐えるでしょう。日ごろ映像制作やフィールド・レコーディングを行っていて、ワンランク上の音質と業務機ならではの操作性/安定性を求める方には、強くお薦めできる製品です。

◀右側のサイド・パネル。左よりSUB OUT(ステレオ・ミニ)、ヘッドフォン端子、MAIN OUT 1/2(XLR)の上がUSB端子、右がRTN(ステレオ・ミニ)、9-16V DC IN

▲右側のサイド・パネル。左よりSUB OUT(ステレオ・ミニ)、ヘッドフォン端子、MAIN OUT 1/2(XLR)の上がUSB端子、右がRTN(ステレオ・ミニ)、9-16V DC IN

◀左側のサイド・パネルにはロック付きのMIC/LINE入力(XLR/フォーン・コンボ)×4が並ぶ

▲左側のサイド・パネルにはロック付きのMIC/LINE入力(XLR/フォーン・コンボ)×4が並ぶ

▲リア・パネル。左よりTIME CODE IN/OUT(BNC)、SDカードおよび電池用のスロット、ZOOM製マイク・カプセルなどを接続するためのMIC IN(INPUT 5/6)端子

▲リア・パネル。左よりTIME CODE IN/OUT(BNC)、SDカードおよび電池用のスロット、ZOOM製マイク・カプセルなどを接続するためのMIC IN(INPUT 5/6)端子

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2017年1月号より)

 

ZOOM

F4

オープン・プライス(市場予想価格:70,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪記録フォーマット:WAV、MP3 ▪ビット&レート:最高24ビット/192kHz ▪入力ゲイン:+10〜+75dB(マイク) ▪ノイズ:−127dBu以下(A-weighted) ▪周波数特性:10Hz〜80kHz(192kHz時) ▪外形寸法:177.8(W)×54.3(H)×141.1(D)mm ▪重量:1,030g

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