「FLUX:: BitterSweet Pro V3」製品レビュー:特定の周波数を処理できるトランジェント・デザイナー・プラグイン

FLUX:: BitterSweet Pro V3

REVIEW by 森田良紀(studioforesta) 2016年10月19日

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フリー版で既に使用している方も多いFLUX:: BitterSweet V3のプロ版、BitterSweet Pro V3が満を持してリリースされました。サウンドのトランジェントとサステイン成分を簡単操作で調整可能な、“トランジェント・デザイナー・プラグイン”という種類のエフェクトになります。フリー版ではサウンド全体に対してかかるシンプルなエフェクトでしたが、プロ版では特定の周波数のみへの処理や細部のパラメーターへのアクセスが可能になったということ。早速チェックしていきましょう。

ノブ一つの操作で
音の立ち上がりや余韻を調整可能

BitterSweet Pro V3はMac/Windowsに対応し、Audio Units、VST、AAX、Waves WPAPI(SoundGrid)、スタンドアローンで動作します。“トランジェントとサステインを調整できる”と言われてもピンとこない方もいるかもしれませんが、音の立ち上がり成分や余韻成分を調整することによって、音の存在感を強めたり弱めたりできるもの。従来はこういった処理はコンプで試行錯誤しなければ得られなかったのですが、これを極端な話、ノブ一つの操作で得られてしまうという少々ずるいエフェクトです。現在多くのメーカーからこの種類のプラグインは発売されていますが、筆者はフリー・プラグインとしてBitterSweet V3が早い時期にリリースされていたこともあって、以前からこれを使用していました。シンプルな使い勝手とその絶大な効果に満足していましたが、その反面シンプルさ故のもどかしさもあったのです。

そんな中で今回発売されたプロ版ですが、主な追加項目に周波数追従型のトランジェント・プロセッシング、Static Gainによるゲイン調整や内部サイド・チェイン機能、Geekパネルからアクセスできるアタック、リリース、ホールドの追加パラメーターなどがあり(画面①)、プロフェッショナルの名に恥じない仕上がりになっています。

▲画面① Geekのタブをクリックすると、アタック、リリース、ホールドをコントロールできるノブが現れ、さらに突っ紺が音作りが可能となる

▲画面① Geekのタブをクリックすると、アタック、リリース、ホールドをコントロールできるノブが現れ、さらに突っ紺が音作りが可能となる

 

フリー版にはなかったさまざまな機能で
より効果的で自然な音作りを実現

一番の注目は周波数追従型のトランジェント・プロセッシングです。適用したい周波数を20Hz〜20kHzの範囲で選択できるのですが、実際の効果としては、ベースの低域はそのままに高域のトランジェント成分のみを強調してフレーズを聴き取りやすくしたり、スネアのアタックはそのままに、胴鳴り部分のみサステインを長くしたりといったことが可能。既に2ミックスになっているリズムのハイハット成分のみを強調するなんて使い方もできます。このような効果はダイナミックEQにも近いですが、トランジェント成分にのみ適用することが可能なため、より効果的で自然な仕上がりにすることができると思います。また、Frequncy range横のボタンを押すと、適用したい周波数のみ確認することが可能なため、一番おいしいポイントを探し出すのも容易でした。

フリー版には無かった大きな右側ノブのStatic Gainですが、上記で選択した周波数が適用されたトランジェント成分のゲインを上げ下げが可能で、もう少しインパクトを与えたいときや弱めたいときなどに有効です。また、ステレオ素材の場合はM/S処理を施すこともでき、ループ素材など2ミックスしか無いものでも、センター定位しているスネアやキックだけアタックをハッキリさせたいなどという用途に有効な機能です。さらに内部サイド・チェイン機能を積極的に使うことにより、補正処理のみならず元音を再構築するような大胆な音作りも可能。こちらはFLUX::公式のYouTube動画で分かりやすく説明されています。そして最終のアウト前には、トランジェントを強調し過ぎたり、過度の設定にしたときに出てしまうようなピーク成分などを緩和するソフト・クリッパーが搭載されているため、不要なノイズやひずみを避けることができ、安心して積極的な音作りが可能でした。

Geekパネルは、もう少し突っ込んだ使い方をする際や、上記のサイド・チェインを使用した大胆な音作りの際に活用できます。対象の音のみをソロで確認できる機能がありますので、とても使いやすくなっていました。

フリー版の良さはそのままに正統な進化と新たな可能性をもった機能追加で、幾多のトランジェント・プラグインの中から頭一つ出た印象です。個人的に既にミックスなどで使用し、手放せないプラグインの一つになりそうな気配なので早速購入を検討したいと思います。まだトランジェント・プラグインを使ったことが無い方がいたら、まずはフリー版を試してみて、効果が分かった後はぜひPro版も使ってみてください。多機能ですが実用的なプリセットも付属しているため、そこをスタートに音作りを始めてみるのも良いと思います。

サウンド&レコーディング・マガジン 2016年9月号より)

 

FLUX::

BitterSweet Pro V3

26,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
REQUIREMENTS ▪Mac:OS X 10.7以降 ▪Windows:Windows 7/8 ▪対応フォーマット:Audio Units、VST(SDK V2.4)、AAX Native/DSP(32/64ビット)、A AX AudioSuite、WAVES WPAPI(SoundGrid)、スタンドアローン対応 ▪その他:最大8イン/8アウトに対応、内部処理64ビット・フローティング・ポイント、最大384k Hzのサンプリング・レート対応

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