「ANTARES Auto-Tune 8」製品レビュー:新機能“Flex-Tune”を搭載したピッチ補正プラグインの最新版

ANTARES Auto-Tune 8

REVIEW by TeddyLoid 2015年4月15日

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ANTARES Auto-Tuneは世界標準のピッチ&タイム補正プラグイン。主にボーカルやソロ楽器のピッチ修正に使用されてきましたが、僕はボーカル・エフェクターとして使用したダフト・パンクの名曲「ワン・モア・タイム」でその存在を知りました。ロボットのような質感でありながら、しっかりと肉声のボーカル表現のニュアンスが残されたサウンドに衝撃を受け、僕自身も10年近く愛用しています。そんなAuto-Tuneの最新バージョン“8”が登場しました。早速、新機能を中心にレビューさせていただきます。

26種類のキー/スケールを搭載し
より自然なピッチ修正を実現

Auto-Tune 8はMac/Windows対応で、AAX Native/VST/Audio Unitsプラグインとして動作し、前バージョンと同様“オート”“グラフィカル”の2つのモードを装備。オート・モードは設定したキーやスケールに自動的にピッチを修正してくれます(メイン画面)。Auto-Tuneはスケールとキーの設定が重要で、このバージョン8ではメジャー/マイナー/クロマチックのほか、26種類の歴史的音階や民族音階、微分音階を選択でき、多くのジャンルに対応しています。

一方のグラフィカル・モードはボーカルをあたかもMIDIノートのように画面上で編集でき、波形が譜面のように表示され、ペン・ツールなどを使ってピッチ修正を行えます(画面①)。

▲画面① ペン・ツールなどを使って精密なピッチ修正が行えるグラフィカル・モードのインターフェース

▲画面① ペン・ツールなどを使って精密なピッチ修正が行えるグラフィカル・モードのインターフェース

ここで便利なのがエンベロープ・グラフ。波形が表示されるのでDAWの画面に目を向けなくてもAuto-Tune 8上で波形を確認できます。シンプルにピッチを修正したりエフェクター的な使い方であればオート・モード、細かなピッチ修正や抑揚/ニュアンスまでこだわりたい場合はグラフィカル・モードでの使用をお勧めします。

ではオート・モードの新機能“Flex-Tune”を試してみましょう。これまでAuto-Tuneを含むピッチ修正プラグインは、常に補正したい音を目的の音程に向けて引っ張るように修正していましたが、Flex-Tuneは設定したスケール音に近付いたときのみ修正を行うので、ボーカリストの個性や特徴を残したままピッチ修正を施せます。画面左にある“Pitch Correction Control”というボックスの中に4つのノブがあり、“Correction Style”の値が0では従来のAuto-Tuneと同様の動作をしますが、値を50にするとFlex-Tuneが発動します。これまで僕はオート・モードを使わず、グラフィカル・モードで一音一音細かくピッチ修正していたのですが、ここまで簡単にボーカリストの表情を残したままピッチ修正が可能になったことには、正直驚きを隠せません。次にエレキギターのソロでも試してみましたが、こちらも元のニュアンスを残しつつピッチ修正できました。

 

グラフィカル・モードで
全く新しいボーカル・ラインを作る

一方のグラフィカル・モードも進化しています。これまでは再生中の編集ができなかったのですが、まずこれが可能になりました。細かな変更ですが、歌を聴きながら詳細な修正を行う場合、該当する個所だけループさせて編集する方が格段に効率が上がるので、これはうれしい改良です。ほかにノートを選択した時点で修正後のオーディオが聴けるようになり、目と耳でピッチや抑揚を確認しつつ作業を進められるようになりました。こうした“かゆいところに手が届く”細かなアップデートにより、プロはもちろんビギナーにとっても操作しやすくなっていると思います。

僕は一つの制作手法として、全く音程の無い歌を歌い、このグラフィカル・モードで音程を付けてボーカル・ラインを作ることがあります。さらにここからハーモニー〜コーラス・パートを作ることも多いですね。要するに、ゼロからボーカル・パートを作り上げるエフェクターとしてAuto-Tuneを使っているわけです。

最後にもう1つ目玉の新機能“低レイテンシー・モード”を紹介します。これまでライブなどでAuto-Tuneを使う場合はレイテンシーの問題がありましたが、ブラッシュ・アップされた同機能によりほぼリアルタイムでAuto-Tuneをかけられるようになりました。これは制作面でも恩恵があり、例えばAuto-Tuneのかけ録りも実現してしまいます。これはいろいろと発見が多そうですね。

 

Auto-Tune 8はピッチ&タイム補正プラグインとして完ぺきな性能を持った製品です。僕はAuto-Tuneのおかげで、これまでにないボーカル・アプローチを手に入れることができました。人間の声は最古の楽器であると同時に最新の楽器でもあります。Auto-Tune 8を使って、変形自在のボーカル・ワークを一緒に楽しみましょう。

 

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2015年4月号より)

ANTARES

Auto-Tune 8

48,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
【REQUIREMENTS】 ▪Mac:OS X 10.6.8以降 ▪Windows:Windows 7/8

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