「QSC PLD4.2」製品レビュー:1,600Wのトータル・パワーを誇るDSP内蔵の4chパワー・アンプ

QSC PLD4.2

REVIEW by 遠藤幸仁(LSDエンジニアリング) 2014年12月15日

PLD4.2-FRONT_1412

QSCからDSP搭載の4chパワー・アンプ、PLDシリーズが発売された。トータル・パワーが5,000WのPLD4.5、2,500WのPLD4.3、1,600WのPLD4.2の3モデルをラインナップしている。今回はPLD4.2をチェックしてみた。

内蔵DSPではディレイやリミッター
クロスオーバーなどを制御可

第一印象は“軽い/小さい”! サイズ482(W)×89(H)×305(D)mm、重量8.4kgの2Uボディとなっているが、奥行きに関しては1,600Wのアンプとは思えないほど短い。高輝度LCDの左には入出力の選択ボタンやレベル・インジケーター、各出力のミュート・ボタンが配置され、LCDの右には各種メニューの呼び出しボタンと、メニュー選択やパラメーター調整に使うロータリー・エンコーダーを装備している。

背面にはライン・イン×4と、それぞれの信号をパラで出力するためのライン・アウト(以上XLR)を装備。それらの右側には、A〜Dの各出力チャンネルに対応するスピーカー・アウト×4とブリッジ・モード時に使用するブリッジ・アウト×2(以上スピコン)が備えられている。ブリッジ・モードとは本来、2chアンプを1chで使用することで、より高い出力を得ようとするアンプとスピーカーの接続方法。本機のブリッジ・モードでは、4chを2chまたは1chで使用することができる。

アンプの方式はクラスD。4Ω接続時のチャンネルあたりの最大出力(連続)は、4chすべてを使用すると400W、2chモード時で800W、1chモード時で1,600Wとなっている。回路には独自のFlexible Amplifier Summing Technology(FAST)を採用。従来のパワー・アンプでは、ブリッジ・モードに設定すると最大出力は上がるものの、接続できるスピーカーのインピーダンスが上がっていた。しかしこのFASTにより、ブリッジ・モードで最大出力を上げてもスピーカーのインピーダンスが上がらないのだ。例えば、ある4chアンプの最小駆動インピーダンスが2Ωだとすると、2chモード時は通常4Ωになるが、本機では2chモードでも変わらず2Ω、1chモードに至っては1Ωとなるので、かなりパワフルなシステムを構築できる。これはすごい技術だ。

内蔵DSPについては、各スピーカー・アウトにクロスオーバー用のハイパス/ローパス・フィルター、ゲイン、フェイズ、5バンドのパラメトリックEQ、ディレイ、リミッターを搭載。リミッターはAUTOとADVの2モードがあり、AUTOではAggressive/Medium/Mildの3タイプを選択可能。ADVモードでは、より柔軟な設定が行える。このほか、同社ラインアレイ用の設定や他社のスピーカーに向けたプリセットも用意。各出力へ同時に振り分けるW数や入力ルーティング、感度などを調整でき、設定内容を最大50のユーザー・プリセットとして保存することも可能だ。

 

ダイナミックかつきらびやかな音
内蔵DSPは低レイテンシー

今回は弊社スタジオにて、パッシブ・スピーカーを接続してチェック。私は説明書を後で読む派なので、早速触ってみた。最初はボタンの配置などに戸惑ったが、程無くしてロータリー・エンコーダーとセレクト・ボタンにより各パラメーターへ難なくアクセスできた。用意されているパラメーターは比較的ポイントを絞ってあり、使いやすい印象。欲を言えばエンコーダーがクリック式で、レスポンスがもう少し良ければよりスムーズに操作できると思う。音質はQSCならではのダイナミックな感じ。Powerlightシリーズ以降のきらびやかさも健在で、良好だ。

試しに、外部のスピーカー・プロセッサーをつながない状態でパワード・スピーカーとレイテンシーを比較してみたところ、差が0.9ms程度しか無かった。もちろんこれは厳密な測定方法によるものではないが、一般的なスピーカー・プロセッサーの処理遅延が1〜2ms程度なので、DSP部分のレイテンシーの低さは十分なものだろう。弊社はQSCの別のパワー・アンプを所有しており、かなり過酷な環境(長時間、高負荷、商用電源の無いところなど)で使用しているが、特に大きなトラブルも無く、安定した音質を提供してくれている。今回はスタジオでのチェックということで、アンプ・セクションや内蔵DSPに負荷をかけるテストは行わなかったため、その辺りの耐久性は未知数だが、大いに期待が持てる。

中小規模の音響業務だけでなく、設備用途にもマッチするであろう本機。個人的にはより大規模なシステムで使用するためのリモート・コントロールやデジタル入力/デジタル・ネットワークに対応した上位機の登場も期待したい。

 

▲リアには左から、管理ソフトのAmplifier Navigator(Mac/Windows)を用いたファームウェア・アップデートや設定ファイルのセーブ/ロードを行うためのUSB端子、ライン・イン×4、各チャンネルの入力信号をパラで出力するためのライン・アウト×4(以上XLR)、スピーカー・アウト×4、ブリッジ・アウト×2(以上スピコン)、ファンを挟んでパワー・スイッチと電源インが装備されている

▲リアには左から、管理ソフトのAmplifier Navigator(Mac/Windows)を用いたファームウェア・アップデートや設定ファイルのセーブ/ロードを行うためのUSB端子、ライン・イン×4、各チャンネルの入力信号をパラで出力するためのライン・アウト×4(以上XLR)、スピーカー・アウト×4、ブリッジ・アウト×2(以上スピコン)、ファンを挟んでパワー・スイッチと電源インが装備されている

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2014年12月号より)

QSC

PLD4.2

オープン・プライス
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪チャンネル数:最大4ch ▪周波数特性:20Hz〜20kHz(+0.2/−0.7dB) ▪最大出力(連続):400W(4ch/4Ω)、800W(2c h/4Ω)、1,600W(1ch/8Ω) ▪ひずみ率:0.01〜0.03%(8Ω) ▪外形寸法:482(W)×89(H)×305(D)mm ▪重量:8.4kg

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