「OVERLOUD Rematrix」製品レビュー:IRデータを5つまで呼び出してレイヤーできるプラグイン・リバーブ

OVERLOUD Rematrix

REVIEW by 檜谷瞬六(studio MSR) 2014年10月15日

Overloud-REmatrix_1411

Rematrixは、これまでもBreverbという定評あるプラグイン・リバーブをリリースしているOVERLOUDの新製品。Mac/WindowsでAAX/RTAS/VST/Audio Unitsプラグインとして動作します。AUDIO EASE AltiverbやAVID Spaceなどと同じくインパルス・レスポンス(以下IR)を使ったコンボリューション・リバーブですが、最大5つまでのIRデータを呼び出してレイヤーし、自由にミックスして使用できるのが特徴となっています。ミキシング時に同じ音源に対して複数のリバーブ/ディレイを組み合わせ、音のキャラクターや立体感を演出するのはスタンダードな手法。僕も普段ボーカルのエフェクトだけで7~8本のAUXトラックを使用していることもありますので、それと同じような操作を1プラグインで一括して行えるのは便利なのではないでしょうか。何よりもサウンドが重要ですので、早速チェックしていきたいと思います。

5つのIRデータによる音色変化を
縦フェーダーでブレンド

Rematrixのインターフェースですが、先述の通り5つのIRマトリクスがあり、それぞれHALL、ROOM、PLATE、EARLY、SPECIALと名付けられています。まず画面下部の各フェーダーの下にあるボタンを押すとリストが開き、IRデータを呼び出せます。IRデータはBANKS、PRESETSに分けられており、初期設定でもかなりの数が用意されています。自分でIRデータをインポートすることも可能で、それらは“My IR”という欄に保存されていきます。

それぞれのIRに対しては2基のEQとPAN、STEREO、LENGTH、DELAYのパラメーターが調整可能になっており、それらはIRリストの下に表示されます(画面①)。

▲画面① 5つあるIRの各セクションでも音作りが可能。2タイプのパラメトリックEQに加え、リバーブ音の定位を制御するPAN、音場全体の広がりを調整するSTEREO、IRのデュレーションの長短を決めるLENGTH、DELAYはリバーブのかかり始めのポイントを遅らせるディレイ・タイムを決定する

▲画面① 5つあるIRの各セクションでも音作りが可能。2タイプのパラメトリックEQに加え、リバーブ音の定位を制御するPAN、音場全体の広がりを調整するSTEREO、IRのデュレーションの長短を決めるLEN
GTH、DELAYはリバーブのかかり始めのポイントを遅らせるディレイ・タイムを決定する

 

呼び出したIRは画面下部のフェーダーにアサインされ、それぞれのボリューム・バランス/ソロ/ミュートをコントロールできます。画面上部には呼び出したIRの情報が表示されますが、“MASTER”を押すとマスター・エフェクトの画面になり、ここでミックスされたリバーブに対してDRIVEやCOMPなどのエフェクトが可能になっています。さらに左上の“PRESETS”ボタンを押すとリストが開き、IRのコンビネーションなどを含めたさまざまなプリセットを呼び出せます。また、インサートで使用する場合のDRY/WETフェーダーも装備されています。

 

Max for Liveデバイスが付属
Pushによる演奏も可能

サウンドをチェックしてみました。まずプラグインそのものが、デジタル・リバーブによくあるギザギザした感じが少なく、非常に滑らかなキャラクターです。余韻も美しく伸び、特にプレート系は上質なサウンドになっています。ほかのプラグイン・リバーブと比較してみたところでは、AVID Revibe、Spaceあたりがサウンド的に近い感じで、両者の中間のようなキャラクター。リバーブ自体の美しさでは、現在あるプラグインの中でもトップ・クラスだと思います。他社のリバーブの中には、多めにかけていくと音がにじんでしまうものも多いのですが、Rematrixは原音がクリアに聴こえつつ、余韻が広がるようなかかり方。これはアナログのEMTをかけたときの印象と似ており、好印象です。

IRを複数ミックスした場合はサウンドをかなり詰められます。個人的に、初期反射のコントロールがアコースティック系のミックスのカギだと思っているのですが、この項目に対するIRデータも豊富に用意されているのがうれしいところ。プリセットも各楽器用から海外エンジニアが作成したものまでかなりの量が入っているので、これだけでも質の高いリバーブとして使えると思います。また、プリセットを呼び出している最中も音が途切れないので、ストレス無く探せます。

これだけいろいろなことができると負荷が高そうに感じますが、APPLE Mac Pro(12コア)+AVID Pro Tools 11上で32ビット/88.2KHzのセッションで試したところ、IRを1つ呼び出した状態では2%ほど、IR5つでは4〜5%ほどCPUメーターが振れる程度と、比較的コンピューターには優しいと言えるかと思います。

 

駆け足のレビューになってしまいましたが、率直に、とても良いプラグインだと思いました。サウンド自体が特筆すべき出来であるのはもちろん、基本的にリバーブの設定自体を各IRが持っており、それらのバランスでサウンドを詰めていけるので、ほかのリバーブでパラメーターを細かく調整するより感覚的で使いやすい印象。ほかの設定もシンプルながら調整したい個所はしっかり触れるようになっており、ユーザーのリクエストを反映した作りになっていると思います。取りあえず僕は導入します!

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2014年11月号より)

OVERLOUD

Rematrix

オープン・プライス (市場予想価格:37,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪Mac:Mac OS X 10.6以降、INTEL Core Duo 1.5GHz以上のCPU、1GB以上のRAM ▪Windows:Windows 7/8、INTEL Pentium IV 1.5GHzもしくはAMD Athlon XP 1.5GHz以上のCPU、1GB以上のRAM

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