1980年代の雰囲気と豪快なサウンドが特徴的なプラグイン・コンプ

SOFTUBE Valley People Dyna-Mite

REVIEW by 森元浩二.(prime sound studio form) 2011年1月15日

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VALLEY PEOPLEといえば録音スタジオには必ずと言っていいほど常設されていたエキスパンダー&ゲートのKepex IIが有名ですが、今回はDyna-Miteという1980年代に活躍したリミッター&ゲートのプラグイン(Native版のみ)。この製品は海外のスタジオで見かけたことはありますが、国内のスタジオではあまり見ない機種です。そんなわけで実機との比較はできませんが、その特徴的なサウンドを探ってみましょう。

急なゲイン変化を抑える
VALLEY PEOPLEの独自機能”ARC”

フロント・パネルのツマミを左側から説明しましょう。まずスレッショルドは本機の動作ポイントのレベル設定で、−40dB〜+20dBまで選べます。左に回すと動作ポイントが下がっていきます。このとき、リミッティング動作により音量が下がるのが予想されるため、相対的な音量を維持するよう自動でゲインが上がっていくメイクアップ・ゲインが装備されています。次はリリース・タイムで、20dBのレベル変化を0.05〜5sの長さで設定できます。入力信号によってレスポンスを変化させる機能、Anticipatory Release Computation(信号予測リリース計算/ARC)が搭載されていて、急なゲイン変動により起こるポンピング現象が抑えられ、これがDyna-Miteのサウンドを形成する重要な要素となっているそうです。

3段階のスイッチはディテクター・ソースの切り替え。ディテクターとは探知機という意味で、リミッティングをコントロールする部分に送る信号を選びます。本機は通常の内部と外部サイド・チェインにプラスして、内部信号の高周波数帯域をブーストすることにより、入力信号の高域成分で動作させるDS-FMモードがあります。ゲイン・リダクション・メーターを挟んで右側に2つのスイッチがありますが、左側がモード・スイッチでエキスパンダー、リミッターとバイパス・モードを切り替えます。バイパス・モードでも出力ゲインと出力段のサチュレーションは作用します。ディテクター・タイプの切り替えは、ゲート、アベレージ、ピークとあり、ゲートは1:−20のネガティブ動作、アベレージはアタック・タイムが少し遅く1〜15msでInf(インフィニティ):1、ピークは約50μsのアタック・タイムで同じくInf:1でこの切り替えにより大きく動作が変わるので、一番の要だと思います。そして右側のツマミはレンジで、ゲイン・リダクションする範囲を0dB〜60dBまで設定できます。例えばリミッター・モードで20dBに設定すると、そこまでゲイン・リダクションしたらそれ以降は入力の増加に対して出力も増加していくということになります。そして最後にアウトプット・ボリューム。−15dBから+15dBの範囲で調整でき、レベル・オーバーによるサチュレーション、クリッピングも忠実にモデリングされており、サウンド・カラーの重要なポイントになっています。また画面下を見れば現在状況を一目で確認できます。

予想を超える劇的変化のサウンド
強烈なアタック感が得られる

さて実際に使ってみましょう。実機は触ったことがないので何とも言えませんが、その操作感は1970年〜80年代のエフェクターそのもの。動作は理解したので、このツマミをこうすればこうなるはずと想像して触るのですが、予想を超えた動作。いろいろな楽器を入力して、ツマミを無心に触ってみましたが、とにかく劇的な変化をします。それを楽しみながら探求していくと新しい発見があります。持続音系だとモードをスロー・アタックのアベレージにして、薄くリミッティング。アウト・レベルもクリップ・インジケーターがつくかつかないかのポイントにして、レンジも実際のリダクション量をほんの少し制限するくらいに設定すると、”ザラッ”とした肌触りがプラスされ、音を一歩前に来させることができました。

そしてこの機材が得意とするであろう打楽器系に使ってみると、もう元音が想像できないぐらいのアタックが得られます。例えば、モサッとした太いリム・ショットをアベレージ・モードで強くリミッティングし、アウトもクリップ・インジケーターがつくような設定をすると、”カツン”とアタックのあるリムに加工できます。ゲート・モードは開き始めのアタック感に特徴があるので、単なるゲートとしての使い方は難しいですが、そのアタック感をうまく使えば独特なサウンドになります。サイド・チェインのときも自由にならないアタック感が難しいですが、送り込む信号を調整すればそれすらも活用した面白いサウンドが得られます。

Dyna-Miteという名前の通り、万能とはいきませんがそのサウンドはものすごく特徴的。表現の幅が広がる音楽的なプラグインと言えます。

サウンド&レコーディング・マガジン 2011年2月号より)

SOFTUBE

Valley People Dyna-Mite

29,400円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪Windows/Windows XP以上、INTEL Pentium Ⅲ以上のCPU、512MB以上のRAM、VST/RTAS対応アプリケーション、iLok▪Mac/Mac OS Ⅹ 10.4以降、INTEL製プロセッサー(PowerPC G4以上のCPU)、512MB以上のRAM、VST/RTAS対応アプリケーション、iLok

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