スタジオ御用達パッシブEQをメーカーと共同で再現したプラグイン

SOFTUBE Tube-Tech PE 1C

REVIEW by 甲斐俊郎(BOND&Co.) 2010年12月15日

201101_TubeTech_PE1C_main

アウトボードもほとんどの機材がプラグイン化されてきており、ネタ切れの感もある昨今ですが、定番機材の一つであるTUBE-TECHのPE 1CがついにSOFTUBEによってモデリングされました。丁寧な仕事ぶりで定評のあるSOFTUBEですが、このプラグインはTUBE-TECHと共同開発している模様。TUBE-TECHのモデリングに対するOKラインは非常にシビアだといううわさを聞いたことがあります。実在のハードをモデリングしたプラグインでは後発と言えるものですが、実機との比較も交えながらその実力をチェックしていきたいと思います。

広めのQ幅が音楽的に効く
現行パッシブEQを再現

TUBE-TECHのパッシブEQ、PE 1Aは名機PULTEC EQP-1Aのクローンとして1985年に発売されましたが、PE 1Aならではの個性も持っており、アメリカを皮切りに瞬く間に世界中のスタジオでポピュラーな存在となりました。今回モデリングされたのはPE 1シリーズの現行機種PE 1Cで、スタジオで最も多く目にするタイプです。

個人的にもPULTECスタイルのEQは好きでついつい多用してしまいます。ボーカルやキック、スネア、ベースなどに使用することが多いのですが、特徴的なのは独特の低域のコントロールで、シェルビングのブーストとカットを同じ周波数で行える点。同じ周波数を上げて下げるってどういうこと?と思うかもしれません。使ってきた感覚では、アッテネート(カット)の方がやや上の帯域から減衰が始まっているようで、例えば100Hzに設定した場合、200Hz近辺からアッテネートされているようです。それによりブーストしたい帯域の少し上にディップができます。ブースト量とアッテネート量の関係でそのカーブも変化しますが、そのブロードなQ幅もあって、どの設定でも非常に音楽的な響きに感じます。ブーストとアッテネートのノブを両方同時に探りながら低域を処理していくと決まるポイントが見つけやすいです。

高域はピーキングのブーストとシェルビングのアッテネートで、ブーストはQ幅(BANDWIDT
H)も可変。とはいえ基本は広めのQ幅です。

このタイプのEQはブースト/アッテネート共に思いきってノブを回してみることも大事かと思います(笑)。目盛りを気にせず、音だけを聴いていじり倒すことをお勧めします。

シルキーな高域とファットな低域
実機と同一のスムーズなサウンド

さて、このSOFTUBE Tube-Tech PE 1Cは、Native版ではVST/Audio Units/RTASに対応。TDM版もあります。今回はAVID Pro Tools|HD 8環境+TDMでテストしてみました。素材は24ビット/96kHzのバンド録音です。

まずはボーカル。ノブを回していったときの変化が非常にスムーズで滑らかで、音色の傾向もハードウェアの印象と似ています。倍音は豊かですがひずみ感は少なく、シルキーな高域はPE 1Cの特徴だと思いますが、そのキャラクターもよく表現しています。低域はファットですがダブつかない印象です。操作感も非常によくモデリングされていると思います。実機もそうですが、PULTECの持つひずみ感や押し出し感と比較するとかなりスムーズで、暴れ感が少ないのがPE 1Cのキャラクター。PE 1Cのファットかつクリアな質感は他には無い魅力です。PULTECを再現したプラグインが多数ある中であえてPE 1Cをモデリングしたのはそういった理由でしょう。

ドラムのキックでは思い切り30Hzをブースト&アッテネートしてみましたが、違和感なくハードのPE 1Cと同様に使えてしまいました。

もちろんパラメーターは実機と同じなのですが、アウトプット・ゲインが追加されています。どうしてもこのタイプのEQは出力が過大になりがちですので、あるとうれしい機能です。
さらに実機と音を比較してみます。ブースト、アッテネート共に0の状態と、ある程度プラグインで音色を決め込んだ上で見た目で同じ設定にして聴き比べてみました。これは驚きですが、ほぼ違いは無いと言ってよいでしょう。実機の方がほんの少しローエンドが薄くなる気がしますが(といってもかなり微細な話です)、これはAVID 192 I/Oでのインサート時にDA/ADしているからかもしれません。一応3台の実機と比較してみましたが、どれもほぼ同じでした。TUBE-TECH製品は製造管理が優れており、実機そのものも割と近年のモデルなので状態が比較的均質ということもあると思いますが、ちょっと感動でした。

数多くのアナログ・モデリング・プラグインがリリースされていますが、近年のモデリング技術の進歩は目を見張るばかりです。中でもこのTube-Tech PE 1Cの出来は秀逸と言ってよいでしょう。実機がお気に入りでDAW内部ミックスに導入したい方には、間違いない製品だと思います。

 

SOFTUBE

Tube-Tech PE 1C

Native版/29,400円 TDM/Native版/44,940円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪Windows/Windows XP以上、INTEL Pentium III以上のCPU、512MB以上のメモリー、VST/RTAS対応のアプリケーション、iLok、Pro Tools 7以降が動作するPro Tools|HD Core/Accelシステム(TDM版)▪Mac/Mac OS X 10.4以降、INTEL製プロセッサーまたはPowerPC G4以上のCPU、512MB以上のメモリー、iLok、Pro Tools 7以降が動作するPro Tools|HD Core/Accelシステム(TDM版)

TUNECORE JAPAN